「次のスプリントでは、何に取り組むのか?」
スクラムでは、決められた期間であるスプリントを繰り返しながら、少しずつプロダクトを成長させていきます。
そのスプリントを始める前に、「今回のスプリントで何を実現するのか」「そのために何をするのか」を計画するイベントがあります。
それがスプリントプランニングです。
一言でいうと
スプリントプランニングとは、スプリントで達成する目的と、その目的を達成するための作業を計画するイベントです。
簡単に言えば、
「今回のスプリントで、何を実現するのか?そのために何をするのか?」
をチームで考える場です。
スプリントプランニングでは、プロダクトバックログをもとに、スプリントゴールを設定し、そのゴールを達成するために取り組む項目を決めます。
スプリントプランニングの目的
スプリントプランニングの目的は、スプリントで達成したい目的と、そのために必要な作業についてチームで計画することです。
具体的には、次のようなことを行います。
- スプリントの目的を明確にする
- スプリントゴールを設定する
- プロダクトバックログから取り組む項目を検討する
- スプリントバックログを作成する
- スプリントでどのように作業を進めるかを計画する
重要なのは、単に「何件の作業をやるか」を決めることではありません。
「今回のスプリントで、どのような価値を生み出すのか」を明確にすることが重要です。
スプリントプランニングはいつ行う?
スプリントプランニングは、スプリントの開始時に行うイベントです。
スプリントを始める前に、今回のスプリントで何を目指すのかを確認し、そのために取り組む項目を決めます。
例えば2週間のスプリントであれば、2週間の開発を始めるタイミングでスプリントプランニングを行います。
スプリントプランニングの参加者
スプリントプランニングには、スクラムチームが参加します。
スクラムチームは、
- プロダクトオーナー
- スクラムマスター
- デベロッパー
で構成されます。
それぞれが異なる視点からスプリントの計画に関わります。
プロダクトオーナーは、プロダクトの価値や優先順位の観点から説明します。
デベロッパーは、技術的な観点や作業量などを踏まえて、どの程度の作業をスプリントで実施できるかを検討します。
スクラムマスターは、イベントが適切に進められるよう支援します。
スプリントプランニングで何を決める?
スプリントプランニングでは、大きく分けて次のことを考えます。
- 今回のスプリントで何を実現するのか
- その目的を達成するために何をするのか
- どのように作業を進めるのか
つまり、
目的 → 作業 → 進め方
という順番で考えると分かりやすいでしょう。
スプリントゴールを決める
まず重要なのが、スプリントゴールです。
スプリントゴールとは、今回のスプリントで達成したい目的や価値を表したものです。
例えば、ECサイトの開発であれば、
「検索画面を作る」
という作業をそのままゴールにするのではなく、
「ユーザーが目的の商品を簡単に検索できる状態にする」
といった目的を考えます。
スプリントゴールが明確になることで、チーム全員が同じ方向を向きやすくなります。
プロダクトバックログから取り組む項目を選ぶ
スプリントゴールを踏まえて、プロダクトバックログから今回のスプリントで取り組む項目を検討します。
プロダクトバックログには、プロダクトに必要な機能や改善などが整理されています。
その中から、スプリントゴールの達成に必要な項目を選択します。
ここで重要なのは、単純に上から順番に項目を選ぶのではなく、
「スプリントゴールを達成するために何が必要なのか?」
という視点で考えることです。
スプリントバックログを作成する
スプリントで取り組む項目を決めたら、スプリントバックログとして整理します。
スプリントバックログは、スプリントゴールを達成するために、スプリントで取り組む項目や計画を表したものです。
例えば、
スプリントゴール
「ユーザーが商品を簡単に検索できる状態にする」
そのために、
- 検索画面を作成する
- 検索APIを実装する
- 検索結果を表示する
- 検索機能をテストする
といった項目をスプリントバックログに含めることが考えられます。
スプリントプランニングとプロダクトバックログの関係
スプリントプランニングでは、プロダクトバックログが重要な材料になります。
関係を簡単に整理すると、
プロダクトバックログ
「プロダクトに必要なことを整理した一覧」
↓
スプリントプランニング
「今回のスプリントで何をするかを計画する」
↓
スプリントバックログ
「今回のスプリントで取り組む項目や計画」
という関係になります。
スプリントプランニングとスプリントゴールの関係
スプリントゴールも、スプリントプランニングで重要な要素です。
スプリントプランニングで、まず「今回のスプリントで何を実現するのか」を考え、その目的をスプリントゴールとして明確にします。
その後、スプリントゴールを達成するために必要な項目を検討します。
そのため、
スプリントゴール=目的
スプリントバックログ=目的を達成するための作業
と整理すると分かりやすいでしょう。
スプリントプランニングは「作業の割り当て会議」ではない
スプリントプランニングを、単純に「作業をメンバーに割り当てる会議」と考えてしまうことがあります。
しかし、それだけではありません。
重要なのは、チームとしてスプリントの目的を理解し、その目的を達成するための計画を作ることです。
例えば、
「Aさんは画面、BさんはAPI、Cさんはテスト」
と作業を割り当てるだけでは、チームとしての目的が見えにくくなります。
それよりも、
「今回のスプリントでは、ユーザーが商品を検索できる状態を実現する。そのために必要な作業は何か?」
と考えることが重要です。
スプリントプランニングでよくある失敗
作業量だけで計画する
「この2週間で何件できるか」だけを考えてしまうと、作業を完了させることが目的になってしまいます。
まずスプリントゴールを明確にし、その目的を達成するために必要な作業を考えることが重要です。
最初から計画を細かく決めすぎる
スプリント開始時点ですべての作業を細かく決め、その後の状況変化を一切考慮しないようにすると、アジャイルのメリットを活かしにくくなります。
スプリント中に得られた情報をもとに、必要に応じて作業の進め方を調整することも重要です。
スプリントゴールが曖昧
「いろいろな機能を開発する」といった曖昧なゴールでは、チームの判断基準になりません。
「今回のスプリントで、何を実現したいのか」を具体的に考えることが重要です。
プロダクトオーナーだけで決める
プロダクトオーナーが一方的に作業を決めるのではなく、デベロッパーも含めてチームで計画を考えることが重要です。
実際の作業量や技術的な制約を理解しているメンバーの意見を取り入れることで、より現実的な計画を作ることができます。
スプリントプランニングとスプリントレビューの違い
| 項目 | スプリントプランニング | スプリントレビュー |
|---|---|---|
| タイミング | スプリント開始時 | スプリント終了時 |
| 主な目的 | スプリントの計画を立てる | 成果を確認し、今後の方向性を検討する |
| 主な対象 | これから行う活動 | 作成したインクリメント |
| 重要な問い | 「何を実現し、何をするか?」 | 「何が分かり、次に何をするか?」 |
簡単に覚えるなら、
スプリントプランニング=これから何をするか決める
スプリントレビュー=やった結果を確認する
という違いです。
スプリントプランニングとレトロスペクティブの違い
レトロスペクティブは、スプリントの活動を振り返り、チームの仕事の進め方を改善するためのイベントです。
一方、スプリントプランニングは、これから始まるスプリントについて計画します。
つまり、
スプリントプランニング=これからの計画
レトロスペクティブ=これまでの振り返りと改善
と整理できます。
プロジェクトマネージャにとってのスプリントプランニング
プロジェクトマネージャがアジャイルなプロジェクトに関わる場合、スプリントプランニングの考え方は非常に参考になります。
特に重要なのは、「作業を管理する」のではなく、「目的を達成するために何をするのかを考える」という点です。
プロジェクトでは、ついWBSやスケジュールを見ながら、
「この作業は終わったか?」
「予定どおり進んでいるか?」
と考えてしまいます。
もちろん進捗管理は重要です。
しかし、それと同時に、
「この作業によって、最終的に何を実現したいのか?」
を意識することも重要です。
スプリントプランニングは、作業の計画と目的を結び付けて考える良い例です。
プロジェクトマネージャ試験ではここが重要
スプリントプランニングを学ぶときは、次の用語と関連付けて整理しておくとよいでしょう。
- スクラム
- アジャイル
- スプリント
- スプリントゴール
- プロダクトバックログ
- スプリントバックログ
- プロダクトオーナー
- スクラムマスター
- デベロッパー
- デイリースクラム
- スプリントレビュー
- レトロスペクティブ
- インクリメント
特に、
プロダクトバックログ → スプリントプランニング → スプリントゴール・スプリントバックログ
という関係を理解しておくと、スクラムの全体像を整理しやすくなります。
PM道場のワンポイント
スプリントプランニングでは、「何をやるか」より先に「何を実現したいか」を考えてみましょう。
例えば、
「検索画面を作る」
という作業だけを見ると、画面を完成させることが目的に見えます。
しかし、その先に、
「ユーザーが目的の商品を簡単に見つけられるようにする」
という目的があるかもしれません。
この目的をチームで共有できれば、途中で問題が起きたときにも判断しやすくなります。
「予定していた作業だからやる」のではなく、
「スプリントゴールを達成するために、本当に必要なのか?」
と考えることができます。
これはスクラムだけではなく、プロジェクトマネジメント全般で役立つ考え方です。
作業、スケジュール、成果物を管理するだけではなく、「その先にある目的」を意識する。
スプリントプランニングは、その考え方を実践するための重要なイベントです。
関連用語
- スクラム
- アジャイル
- スプリント
- スプリントゴール
- プロダクトバックログ
- スプリントバックログ
- プロダクトオーナー
- スクラムマスター
- デイリースクラム
- スプリントレビュー
- レトロスペクティブ
- インクリメント
- ユーザーストーリー
まとめ
スプリントプランニングとは、スプリントで達成する目的と、その目的を達成するための作業を計画するイベントです。
単純に作業を割り当てる会議ではありません。
まず、
「今回のスプリントで何を実現するのか?」
を考え、その目的をスプリントゴールとして明確にします。
そのうえで、プロダクトバックログをもとに、スプリントゴールを達成するために必要な項目を選択し、スプリントバックログを作成します。
整理すると、
プロダクトバックログ=プロダクトに必要なこと
スプリントゴール=今回のスプリントで実現したいこと
スプリントバックログ=そのために取り組むこと
という関係になります。
スプリントプランニングでは、作業そのものではなく、「何のためにその作業をするのか」を意識することが重要です。
目的を明確にし、チームで共有したうえで作業を計画することで、スプリント中の判断もしやすくなります。
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- スクラムとは?
- アジャイルとは?
- スプリントとは?
- スプリントゴールとは?
- プロダクトバックログとは?
- スプリントバックログとは?
- プロダクトオーナーとは?
- スクラムマスターとは?
- デイリースクラムとは?
- スプリントレビューとは?
- レトロスペクティブとは?
よくある質問(FAQ)
Q. スプリントプランニングとは何ですか?
A. スプリントで達成する目的と、その目的を達成するために取り組む項目や作業を計画するスクラムのイベントです。
Q. スプリントプランニングでは何を決めますか?
A. スプリントゴールを設定し、そのゴールを達成するために取り組むプロダクトバックログ項目や作業を検討します。
Q. スプリントプランニングとスプリントバックログの違いは何ですか?
A. スプリントプランニングは計画を行うイベントです。スプリントバックログは、その計画の結果として、スプリントゴールを達成するために取り組む項目や作業を表したものです。
Q. スプリントプランニングとスプリントレビューの違いは何ですか?
A. スプリントプランニングはスプリント開始時に、これから何をするかを計画するイベントです。スプリントレビューはスプリント終了時に、作成したインクリメントを確認し、今後のプロダクトの方向性を検討するイベントです。
Q. スプリントプランニングとレトロスペクティブの違いは何ですか?
A. スプリントプランニングはこれから始めるスプリントの計画を行います。一方、レトロスペクティブは終了したスプリントを振り返り、チームの仕事の進め方を改善するためのイベントです。
Q. スプリントプランニングでは作業をメンバーに割り当てますか?
A. 作業の進め方を検討することはありますが、単純に作業を個人へ割り当てることだけが目的ではありません。スプリントゴールを達成するために、チームとして何をするのかを計画することが重要です。
私は令和5年度 IPAプロジェクトマネージャ試験に合格しました。
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