「プロセス群とは何だろう?」
「立上げ、計画、実行、監視・コントロール、終結とは何が違うのだろう?」
プロジェクトマネジメントを学んでいると、プロセス群(Process Groups)という言葉が登場します。
プロセス群とは、プロジェクトマネジメントのプロセスを、プロジェクトを進めるうえでの役割や目的によって分類したものです。
PMBOK®第6版では、プロジェクトマネジメントのプロセスを次の5つのプロセス群に分類していました。
- 立上げプロセス群
- 計画プロセス群
- 実行プロセス群
- 監視・コントロール・プロセス群
- 終結プロセス群
この記事では、5つのプロセス群の意味や関係、第7版以降との違いについて解説します。
一言でいうと
プロセス群とは、プロジェクトマネジメントのプロセスを、その目的や役割によって分類したグループです。
PMBOK®第6版では、49のプロジェクトマネジメント・プロセスを5つのプロセス群に分類していました。
プロセス群とは
プロジェクトでは、プロジェクトを開始するだけでなく、計画を立て、作業を実行し、状況を確認・調整し、最後にプロジェクトを終了させる必要があります。
これらの活動を整理したものがプロセス群です。
5つのプロセス群を簡単に表すと、次のようになります。
| プロセス群 | 簡単な意味 |
|---|---|
| 立上げ | プロジェクトを開始する |
| 計画 | プロジェクトをどのように進めるか決める |
| 実行 | 計画に基づいてプロジェクト作業を実施する |
| 監視・コントロール | 状況を確認し、必要に応じて調整する |
| 終結 | プロジェクトやフェーズを正式に終了する |
イメージとしては、
「始める → 計画する → 実行する → 確認・調整する → 終わらせる」
という流れで考えると分かりやすいでしょう。
5つのプロセス群
1.立上げプロセス群
立上げプロセス群は、プロジェクトやフェーズを正式に開始するためのプロセス群です。
プロジェクトの目的や概要を確認し、プロジェクトを正式に開始します。
代表的な活動として、プロジェクト・チャーターの作成やステークホルダーの特定などがあります。
つまり、
「そもそも、このプロジェクトを始めてよいのか。そして、誰が関係するのか」
を明確にする段階です。
2.計画プロセス群
計画プロセス群は、プロジェクトの目標を達成するために、どのようにプロジェクトを進めるのかを決めるプロセス群です。
例えば、次のような計画を作成します。
- スコープ
- スケジュール
- コスト
- 品質
- 資源
- コミュニケーション
- リスク
- 調達
- ステークホルダー
プロジェクトを成功させるための「設計図」を作る段階と考えると分かりやすいでしょう。
3.実行プロセス群
実行プロセス群は、プロジェクトマネジメント計画書に基づいてプロジェクト作業を実施するプロセス群です。
例えば、
- 成果物を作成する
- チームをマネジメントする
- コミュニケーションを実施する
- 品質を保証する
- ステークホルダーと関係を築く
- 調達を実施する
といった活動を行います。
計画を実際の行動に移す段階です。
4.監視・コントロール・プロセス群
監視・コントロール・プロセス群は、プロジェクトの進捗や実績を確認し、必要に応じて是正措置や変更を行うプロセス群です。
例えば、
- スケジュールの遅延を確認する
- コストの超過を確認する
- 品質を確認する
- リスクや課題を監視する
- 変更要求を評価する
- 必要な是正措置を行う
といった活動を行います。
ここで重要なのは、監視・コントロールは「実行が終わってから行うもの」ではないということです。
実行と並行して継続的に行われることがポイントです。
5.終結プロセス群
終結プロセス群は、プロジェクトやフェーズを正式に終了するためのプロセス群です。
成果物を正式に受け入れてもらい、契約を完了し、プロジェクトの記録を整理するなど、プロジェクトを終了するための活動を行います。
また、プロジェクトで得られた教訓を整理し、組織の将来のプロジェクトに活用できるようにすることも重要です。
5つのプロセス群の関係
5つのプロセス群は、単純に一方向へ進むだけではありません。
特に重要なのが、監視・コントロール・プロセス群が、プロジェクトの実行と並行して行われるという点です。
例えば、計画に基づいてプロジェクトを実行しているときに、スケジュールの遅延が発生したとします。
監視・コントロールによって遅延を把握し、原因を分析します。
その結果、計画を変更する必要があれば、変更要求を行い、承認された変更を計画に反映して実行します。
つまり、
計画 → 実行 → 監視・コントロール → 必要に応じて計画や実行を調整
という循環が発生します。
プロセス群と知識エリアの違い
PMBOK®第6版を理解するうえで、プロセス群と知識エリアの違いを理解しておくことが重要です。
| 項目 | プロセス群 | 知識エリア |
|---|---|---|
| 分類の考え方 | プロセスの目的・役割 | プロジェクトマネジメントの専門領域 |
| 代表例 | 立上げ、計画、実行 | スコープ、スケジュール、コスト |
| 数 | 5つ | 10の知識エリア |
例えば、「リスク・マネジメント」という知識エリアの中にも、計画、実行、監視・コントロールなど、複数のプロセス群にまたがるプロセスがあります。
したがって、
プロセス群=「いつ・どのような目的で行うプロセスなのか」
知識エリア=「何について管理するプロセスなのか」
と考えると整理しやすくなります。
プロセス群と第7版の違い
ここは現在のPMBOK®を学ぶ際に注意が必要なポイントです。
PMBOK®第6版では、プロジェクトマネジメントを49のプロセスと5つのプロセス群、10の知識エリアという構造で整理していました。
一方、第7版では、プロセス中心の構成から、プロジェクトマネジメントの原則とパフォーマンス領域を中心とした構成へ大きく変わりました。
そのため、現在のPMBOK®を学ぶ場合には、「5つのプロセス群=現在のPMBOK®の中心的な構成」と考えないことが重要です。
ただし、プロジェクトマネジメントの基本的な流れを理解するうえでは、5つのプロセス群は現在でも非常に分かりやすい考え方です。
プロセス群を覚えるポイント
5つのプロセス群は、次の順番で覚えると分かりやすいでしょう。
立上げ → 計画 → 実行 → 監視・コントロール → 終結
ただし、「監視・コントロール」は実行後に一度だけ行うものではありません。
実際には、プロジェクトの実行中に継続して状況を監視し、必要に応じて調整します。
実務ではこんな場面で活用される
例えば、新しいシステムを開発するプロジェクトを考えてみます。
まず、プロジェクトの目的や関係者を整理し、正式にプロジェクトを開始します。
次に、必要な機能、スケジュール、予算、リスクなどを計画します。
その後、実際に開発作業を進めます。
実行中は、進捗やコスト、品質などを確認し、計画との差異があれば必要な対応を行います。
最終的に成果物が受け入れられ、必要な手続きを終えたら、プロジェクトを正式に終了します。
この一連の流れを整理するための考え方がプロセス群です。
よくある勘違い
プロセス群は必ず順番に一度ずつ実施するものではない
5つのプロセス群は、プロジェクトを理解するための分類です。
特に実行と監視・コントロールは並行して行われ、必要に応じて計画を見直すこともあります。
監視・コントロールは問題が起きたときだけ行うものではない
監視・コントロールは、プロジェクトの状況を継続的に確認する活動です。
問題が起きてから確認するのではなく、計画との差異を早期に把握し、必要な対応を取ることが重要です。
プロセス群と知識エリアは同じではない
プロセス群はプロセスの目的・役割による分類であり、知識エリアはプロジェクトマネジメントの専門領域による分類です。
両者を混同しないように注意しましょう。
プロジェクトマネージャ試験ではここが重要
プロジェクトマネージャ試験でPMBOK®の考え方を理解する際には、5つのプロセス群を単なる暗記項目として覚えるのではなく、それぞれの役割を理解することが重要です。
- 立上げ=プロジェクトを正式に開始する
- 計画=プロジェクトの進め方を決める
- 実行=計画に基づいて作業を行う
- 監視・コントロール=実績を確認し、必要に応じて調整する
- 終結=プロジェクトやフェーズを正式に終了する
特に、「監視・コントロールは実行と並行して行われる」という点は重要です。
PM道場のワンポイント
プロセス群は「プロジェクトをどのように動かしていくのか」を理解するための地図です。
実務では、計画を作ったらそのまま計画どおりに進むとは限りません。
実行してみると問題が発生し、監視・コントロールによってその問題を発見し、計画を修正することがあります。
そのため、プロセス群を、
「立上げ → 計画 → 実行 → 終結」という一本道
ではなく、
「計画して、実行して、確認して、必要なら修正する」
という循環を含む仕組みとして理解することが重要です。
なお、PMBOK®第7版では構成が大きく変わっているため、試験や実務で利用する際には、どの版の考え方を扱っているのかを確認するようにしましょう。
関連用語
- PMBOK®ガイド
- 知識エリア
- プロジェクトマネジメント・プロセス
- プロジェクト・チャーター
- プロジェクトマネジメント計画書
- スコープ
- スケジュール
- コスト
- リスクマネジメント
- 変更要求
- 監視・コントロール
- 終結
まとめ
プロセス群とは、プロジェクトマネジメントのプロセスを、その目的や役割によって分類したものです。
PMBOK®第6版では、次の5つのプロセス群に分類されていました。
- 立上げプロセス群
- 計画プロセス群
- 実行プロセス群
- 監視・コントロール・プロセス群
- 終結プロセス群
プロセス群を理解すると、プロジェクトマネジメントの活動を「プロジェクトのどの段階で、何のために行うのか」という視点から整理できます。
特に重要なのは、監視・コントロールが実行後に行われるのではなく、プロジェクトの実行と並行して継続的に行われるということです。
また、PMBOK®第7版では構成が大きく変更されているため、5つのプロセス群は主に第6版までのプロセス中心の考え方として理解しておくとよいでしょう。
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- PMBOK®ガイドとは?
- 知識エリアとは?
- プロジェクト・チャーターとは?
- プロジェクトマネジメント計画書とは?
- スコープとは?
- スケジュールとは?
- コストとは?
- リスクマネジメントとは?
- 変更要求とは?
- 終結とは?
よくある質問(FAQ)
Q. プロセス群とは何ですか?
A. プロジェクトマネジメントのプロセスを、その目的や役割によって分類したグループです。PMBOK®第6版では、立上げ、計画、実行、監視・コントロール、終結の5つに分類されていました。
Q. 5つのプロセス群とは何ですか?
A. 立上げプロセス群、計画プロセス群、実行プロセス群、監視・コントロール・プロセス群、終結プロセス群の5つです。
Q. プロセス群と知識エリアの違いは何ですか?
A. プロセス群はプロセスの目的・役割による分類で、知識エリアはスコープ、スケジュール、コスト、リスクなど、プロジェクトマネジメントの専門領域による分類です。
Q. 監視・コントロール・プロセス群はいつ行いますか?
A. プロジェクトの実行と並行して継続的に行います。プロジェクトの実績を確認し、計画との差異があれば必要な対応や調整を行います。
Q. PMBOK®第7版にも5つのプロセス群がありますか?
A. PMBOK®第7版では、第6版までのプロセス中心の構成から、原則やパフォーマンス領域を中心とした構成へ大きく変更されています。そのため、第6版までの5つのプロセス群を現在のPMBOK®の中心的な構成として扱うことは適切ではありません。
私は令和5年度 IPAプロジェクトマネージャ試験に合格しました。
実際に合格した経験をもとに、勉強方法やおすすめ参考書、最難関といわれる午後Ⅱ論文の対策方法を詳しく解説しています。
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