「プロジェクトマネージャの経験がないけれど、プロジェクトマネージャ試験を受験できる?」

「PM経験がないと、午後Ⅱの論文は書けないのでは?」

「プロジェクトメンバーとして参加した経験しかないけれど、合格できる?」

プロジェクトマネージャ試験を受験しようとすると、このような不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

結論から言えば、

PM経験がなくても、プロジェクトマネージャ試験に合格することは可能です。

私自身は、PM経験がないことが、プロジェクトマネージャ試験を受験するうえで絶対的なハードルになるとは考えていません。

たとえプロジェクトの一担当者として参加した経験しかなかったとしても、そのプロジェクトについてプロジェクトマネジメントを学び、PMの視点からプロジェクトを整理することができれば、午後Ⅱの論文を書くための材料にできます。

この記事では、PM経験がない方が、どのように自分の経験を午後Ⅱの論文につなげればよいのかを解説します。

PM経験がなくてもプロジェクトマネージャ試験は受験できる

まず知っておいてほしいのは、

「PM経験がないからプロジェクトマネージャ試験を受験してはいけない」ということはありません。

プロジェクトマネージャ試験では、プロジェクトマネジメントに関する知識だけではありません。

プロジェクトマネージャとしてどのように考え、どのような行動を取るのかも問われます。

そのため、実際にPMという役職に就いていたかどうかだけで、合格可能性が決まるわけではありません。

もちろん、実際にPMを経験している人のほうが、自分の経験をそのまま論文に活用しやすいというメリットはあります。

しかし、

PM経験がない=午後Ⅱの論文が書けない

というわけではありません。

「PM経験なし」とはどのような状態なのか

ここでいう「PM経験なし」は、単純に「プロジェクトに参加したことがない」という意味ではありません。

例えば、以下のような経験は「PM経験なし」に含めて考えます。

  • プロジェクトメンバーとして参加した
  • プロジェクトの一部分を担当した
  • PMOとしてプロジェクトを支援した
  • PM補佐としてPMを支援した
  • PLとしてチームを担当した

一方で、肩書きがPMでなくても、実際にPMとしてプロジェクトをマネジメントしていたのであれば、PM経験ありと考えます。

例えば、小規模なプロジェクトで、以下のような仕事をしていた場合です。

  • プロジェクト全体の計画を立てた
  • メンバーをまとめた
  • スケジュールを管理した
  • 関係者と調整した
  • リスクや問題に対応した
  • プロジェクト全体の意思決定を行った

この場合、肩書きが「PM」でなくても、実質的にはPMの仕事をしています。

重要なのは、肩書きではなく、実際にどのような役割を担ったのかです。

PM経験がない人は自分の経験をPMの視点から整理する

では、PM経験がない人は、午後Ⅱの論文をどう書けばよいのでしょうか。

ポイントは、

自分が参加したプロジェクトを、PMの視点から整理し直すことです。

例えば、あなたがプロジェクトメンバーとして、

「システムのテストを担当していました」

という経験しかなかったとします。

その場合でも、そこで終わらせる必要はありません。

そのプロジェクトについて、次のような情報を掘り起こしていきます。

  • プロジェクトの目的は何だったのか
  • どのような成果物を作るプロジェクトだったのか
  • スケジュールはどうなっていたのか
  • 誰がプロジェクトに関わっていたのか
  • どのようなステークホルダーがいたのか
  • どのような問題やリスクがあったのか
  • プロジェクトではどのような意思決定が行われていたのか
  • メンバー間でどのような調整が必要だったのか

そして、そこからさらに、

「PMなら、このプロジェクトをどのようにマネジメントするのか?」

という視点で整理していきます。

PMBOK®︎の10個の知識エリアからプロジェクトを整理する

私がおすすめするのは、プロジェクトをPMBOK®︎の知識エリアの観点から整理する方法です。

例えば、次の10個の知識エリアから、自分が経験したプロジェクトを振り返ってみます。

  1. 統合
  2. スコープ
  3. スケジュール
  4. コスト
  5. 品質
  6. 資源
  7. コミュニケーション
  8. リスク
  9. 調達
  10. ステークホルダー

例えば「リスク」であれば、

「どのようなリスクがあったのか?」

だけではありません。

  • リスクをどのように特定したのか
  • リスクの発生確率や影響をどう考えたのか
  • 誰が対応することになったのか
  • どのような対応策を考えたのか
  • リスクが実際に発生した場合、どう対応したのか
  • 対応後に何を改善したのか

といったところまで掘り下げます。

こうすることで、単なる「自分が担当した仕事」の振り返りから、

「プロジェクトをどのようにマネジメントしたのか」

というPMの視点に変えることができます。

作成した資料や成果物まで掘り下げると経験を整理しやすい

プロジェクトを振り返るときは、実際に作成した資料や成果物まで掘り下げてみるとよいでしょう。

例えば、次のようなものです。

  • WBS
  • プロジェクト計画書
  • 責任分担マトリクス
  • ステークホルダー登録簿
  • リスク登録簿
  • スケジュール
  • 課題管理表
  • コミュニケーションに関する資料
  • 品質に関する計画・記録

「こんな資料を作った」というところから、

「なぜこの資料を作ったのか?」

まで考えてみてください。

例えばWBSを作ったのであれば、次のように掘り下げます。

  • なぜWBSが必要だったのか
  • WBSによって何を管理したかったのか
  • WBSを作成したことで、プロジェクトにどのような効果があったのか

すると、単なる「WBSを作りました」という経験が、

「スコープやスケジュールをどのようにマネジメントしたのか」

という論文の材料になります。

PM経験がないなら「PMならどうするか」を考える

ここで重要なのが、

「実際に自分がPMとして何をしたか」だけにこだわらないことです。

PM経験がないのであれば、次のように考えてみましょう。

  • このプロジェクトでPMは何を考えていたのだろう?
  • 自分がPMだったら、どうマネジメントするだろう?

例えば、メンバーとして参加していたプロジェクトで、途中からスケジュールが遅れてしまったとします。

メンバーとしては、

「自分の担当作業が遅れた」

という経験しかないかもしれません。

しかしPMの視点から考えると、次のような論点が見えてきます。

  • なぜ遅延が発生したのか
  • 他の作業への影響は何か
  • クリティカルな作業は何か
  • スケジュールをどう変更するか
  • メンバーのリソースをどう再配分するか
  • ステークホルダーにどう説明するか
  • 再発を防ぐために何を改善するか

これが、PMとしての視点です。

ITプロジェクトの経験がなくても論文の材料にできる

さらに、

「そもそもITプロジェクトに参加したことがない」

という方もいるでしょう。

例えば、次のようなプロジェクトです。

  • 建設プロジェクト
  • 製造プロジェクト
  • 業務改善プロジェクト
  • 新規事業
  • 社内制度の変更
  • 営業関連のプロジェクト

この場合でも、私はプロジェクトマネジメントの経験を整理することは可能だと考えています。

なぜなら、プロジェクトマネージャ試験で重要なのは、「その人が過去に経験したプロジェクトを正確に再現できるか」だけではないからです。

PMとしてどのように考え、行動するのかを示すことも重要です。

そのため、自分が経験したプロジェクトをベースにしながら、PMとしての視点から内容を再構成していけばよいのです。

実際の経験をそのまま書くのではありません。

試験で問われているPM像に合わせて、必要な情報を整理していきます。

午後Ⅱでは「PMとしての行動」を示すことが重要

IPAが示しているプロジェクトマネージャ像を見ると、単にプロジェクトを予定通り終わらせるだけではありません。

※IPAが示しているプロジェクトマネージャ像の詳細は下記リンクからご確認ください。

https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/pm.html

例えば、次のような行動が求められています。

  • プロジェクトの目的を実現するために計画する
  • 必要なメンバーや資源を確保する
  • チームを編成する
  • メンバーと目的を共有する
  • 問題やリスクに対応する
  • 変化に適応する
  • ステークホルダーとコミュニケーションを取る
  • プロジェクトの計画と実績を分析・評価する
  • その後のマネジメントを改善する
  • 他のプロジェクトの参考に資する

つまり、午後Ⅱの論文を書くときも、

「私はこの仕事をしました」

だけではありません。

「プロジェクトの目的を実現するために、PMとして何を考え、どのような行動を取ったのか」

を意識する必要があります。

私がPM試験に合格したときに意識したこと

私自身も、午後Ⅱの論文を書くときには、プロジェクトを知識エリアごとに整理していました。

こうしておくことで、午後Ⅱでどのようなテーマが出題されても、

「この問題は、どの知識エリアと結びつくのか」

と考えながら、自分の経験を回答に結びつけることができます。

また、単に自分の経験を整理するだけではありません。

「この問題では、PMとして何をすることが求められているのか」を理解することも重視しました。

そして、論文を書く際には、IPAが示している「求められるPM像」を自分の答案の中で示せるように意識しました。

私の場合、特に印象に残っているのが、

プロジェクト終了後の経験を、他のプロジェクトにも活用できる形にする

という考え方です。

自分のプロジェクトで得られた経験や教訓を、そのプロジェクトだけで終わらせるのではありません。

次のプロジェクトにも活かすのです。

この点を論文の中で示すことができたことが、私自身の合格につながったのではないかと考えています。

PM経験がない人におすすめの午後Ⅱ論文準備方法

では、実際に何から始めればよいのでしょうか。

私なら、次の順番で準備します。

STEP1 経験したプロジェクトを1つ選ぶ

まずは、自分が参加したプロジェクトを1つ選びます。

大規模なプロジェクトである必要はありません。

自分が内容をよく覚えていて、できるだけ多くの情報を思い出せるプロジェクトを選びましょう。

STEP2 プロジェクトの全体像を整理する

次に、以下の内容を整理します。

  • プロジェクトの目的
  • プロジェクトの背景
  • 成果物
  • 期間
  • 体制
  • 自分の役割
  • ステークホルダー
  • スケジュール
  • 問題
  • リスク

STEP3 10個の知識エリアで整理する

次に、PMBOK®︎の知識エリアを使ってプロジェクトを整理します。

「実際に何をしたのか」だけではありません。

「PMなら何をするのか」という視点で整理することがポイントです。

STEP4 作成物を掘り起こす

WBSや責任分担マトリクス、ステークホルダー登録簿、リスク登録簿など、実際に作ったものを思い出します。

資料が残っているのであれば、それを見ながら整理するとよいでしょう。

STEP5 PMとしての行動に変換する

最後に、

「自分が担当した仕事」

「PMとしてどのようにプロジェクトをマネジメントしたか」

に変換します。

ここまで整理できれば、PM経験がなくても午後Ⅱの論文を書くための材料がかなり揃ってきます。

PM経験がないなら、午後Ⅱの準備を早めに始めよう

PM経験がない人にとって、午後Ⅱの論文対策は後回しにしないことをおすすめします。

「まず午前Ⅱと午後Ⅰを勉強して、それから午後Ⅱをやろう」と考えてしまいがちです。

しかし、PM経験がない人ほど、自分の経験を整理する時間が必要です。

最初から完璧な論文を書く必要はありません。

まずは1つのプロジェクトを選んで、

「このプロジェクトをPMの視点から見るとどうなるだろう?」

と考えてみてください。

PM基礎を勉強していくと、それまで気づかなかったプロジェクトの問題や意思決定、リスク、ステークホルダーなどが見えてくるようになります。

そのたびに、自分のプロジェクトの整理を更新していけばよいのです。

PM経験なしでも合格できる。ただし「PMの視点」は必要

ここまで説明したように、

PM経験がないこと自体は、プロジェクトマネージャ試験に合格できない理由にはなりません。

一方で、PM経験がないから何も準備しなくてよい、という意味でもありません。

重要なのは、次の流れです。

  1. 自分が経験したプロジェクトを選ぶ
  2. PMBOK®︎などのプロジェクトマネジメント知識を学ぶ
  3. PMの視点からプロジェクトを再整理する
  4. 試験で求められるPMとしての行動に変換する
  5. 午後Ⅱの論文にする

つまり、PM経験がない人がやるべきなのは、PM経験を無理に作ることではありません。

すでに持っているプロジェクト経験を、PMとして使える経験に変換することです。

まとめ:PM経験がなくてもプロジェクトマネージャ試験は目指せる

PM経験がなくても、プロジェクトマネージャ試験に合格することは可能です。

ポイントをまとめると、次のとおりです。

  • PM経験がないことだけで受験を諦める必要はない
  • 肩書きよりも、実際にどのような仕事をしていたかが重要
  • プロジェクトメンバーとしての経験も論文材料にできる
  • PMBOK®︎の知識エリアを使って経験を整理する
  • WBSや責任分担マトリクスなどの作成物も掘り下げる
  • 「自分が何をしたか」だけでなく「PMならどうするか」を考える
  • IT以外のプロジェクト経験もPMの視点から整理できる
  • IPAが示す「求められるPM像」を意識して論文を書く
  • プロジェクトの経験や教訓を他のプロジェクトに活かす視点も重要
  • 午後Ⅱの準備は早い段階から始める

そして何より、

「PM経験がないから無理」ではなく、「PM経験がないからこそ、自分の経験をPMの視点から整理する」

ことが大切です。

あなたの場合の勉強法も診断できます

ここまで読んで、

「PM経験はないけれど、自分の場合はどう勉強すればいい?」

と思った方は、PM道場の「プロジェクトマネージャ試験の勉強法診断」も活用してください。

PM経験だけでなく、次の要素を組み合わせて、あなたに合った受験対策を確認できます。

  • IT知識
  • 午前Ⅰ免除の有無
  • 試験までの期間

同じ「PM経験なし」でも、IT知識がある人とない人では勉強方法が変わります。

試験まで半年以上ある人と、半年未満の人でも変わります。

自分の現在地を把握して、必要な勉強に集中しましょう。

ABOUT ME
まーも
はじめまして。 当ブログをご覧いただきありがとうございます。 私は EPCプロジェクトで10年間の実務経験 を積み、その後 企業研修の講師として4年目 になります。 現在は、年間300名以上の受講者に向けて、プロジェクトマネジメント研修の企画・開発・講師 を担当しています。 資格としては、 IPAプロジェクトマネージャ試験 合格 PMP®(Project Management Professional) CSM®(Certified ScrumMaster) FP2級 を取得しており、実務と理論の両面から「プロジェクトを成功に導くスキル」を伝えることを得意としています。 EPC業界で培った現場のマネジメント力と、研修講師としての教育経験を活かし、 プロジェクトを円滑に進めるための実践ノウハウ チームをまとめるコミュニケーション術 若手育成やキャリア形成のヒント などを、わかりやすく発信しています。 「現場で役立つ知識を、誰でも理解できる形で」 をモットーに、皆さまの成長と成功をサポートします。
プロジェクトマネージャ試験に合格したい方へ

私は令和5年度 IPAプロジェクトマネージャ試験に合格しました。
実際に合格した経験をもとに、勉強方法やおすすめ参考書、最難関といわれる午後Ⅱ論文の対策方法を詳しく解説しています。

「これから勉強を始めたい」「効率よく合格したい」という方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。