「PMになるために資格は必要なのか?」
PMを目指している人なら、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
実際、PMの仕事では資格がなくてもプロジェクトをマネジメントすることはできます。
では、資格を取る意味はないのでしょうか。
私はそうは考えていません。
むしろ、PMとして強くなりたいのであれば、資格は取ったほうがいいと考えています。
ただし、資格そのものがPM戦闘力になるわけではありません。
私は資格を、
「PM戦闘力の装備」
だと考えています。
資格という装備を身につけることで、対外的な評価を高めることができます。
そして、資格取得のために学んだ知識は、自分自身のPMとしての実力になります。
今回は、PM戦闘力という考え方から、PM資格の意味について考えてみます。
PM資格は「装備」である
RPGのキャラクターをイメージしてみてください。
キャラクター自身の能力値が、
- 経験
- スキル
- 判断力
- 適用力
だとします。
そこに武器や防具を装備することで、さらに強くなります。
PMにとって、その「装備」にあたるものの一つが資格です。
例えば、
- IPAプロジェクトマネージャ試験
- PMP®
- CSM®
- その他のPM・アジャイル・スクラム関連資格
などがあります。
資格を取得したからといって、突然PMとしての実力が上がるわけではありません。
しかし、資格を取得することで、
「この人は一定の知識を持っている」
ということを、第三者に示しやすくなります。
これが資格の大きな価値です。
資格には「見栄え」の価値もある
資格を「装備」と表現する理由は、もう一つあります。
対外的に見栄えがするからです。
少し身も蓋もない話に聞こえるかもしれません。
しかし、PMとして仕事をするうえで、これは非常に重要です。
例えば、初対面の人から、
「あなたはどのくらいPMができますか?」
と聞かれたとします。
PMの実力を正確に伝えることは簡単ではありません。
「10年間PMをやっています」と伝えても、相手はその10年間にどのような経験をしたのか分かりません。
一方、
- 「IPAプロジェクトマネージャ試験に合格しています」
- 「PMP®を取得しています」
と伝えれば、相手は一定の評価をしやすくなります。
つまり資格には、
自分の実力を第三者に分かりやすく伝える
という機能があります。
これは転職でも、社内評価でも、顧客との関係でも役立ちます。
「プロジェクトで強い」と「市場で強い」は違う
ここはPM戦闘力を考えるうえで重要なポイントです。
私は以前の記事で、
プロジェクトの中で強いPMと、市場で強いPMは必ずしも同じではない
と考えました。
例えば、実際のプロジェクトでは非常に優秀なのに、その実力を客観的に示せる資格や実績を持っていないPMもいるでしょう。
逆に、資格をたくさん持っていても、実際のプロジェクトではうまくマネジメントできない人もいます。
理想は、
プロジェクトでも強く、市場でも強いPM
です。
そのためには、
- 経験
- スキル
- 適用力
- 資格
- 実績
が必要になってきます。
資格は、その「市場での強さ」を支える装備の一つなのです。
なぜ資格を取ったほうがいいのか?
私が資格を取ったほうがいいと考える理由は、大きく2つあります。
① 対外的な評価につながる
これは先ほど説明した通りです。
資格を持っていることで、
- 転職時のアピール
- 社内での評価
- 顧客からの信用
- PMとしての能力の証明
- 官公庁などの案件での要件への対応
などにつながります。
特に案件によっては、PMに資格保有者を配置することが条件になっているケースもあります。
つまり、資格は単なる自己満足ではありません。
実際の仕事の機会につながる可能性がある装備です。
② 資格取得を目的にすると、知識が身につきやすい
もう一つ、私が資格をおすすめする大きな理由があります。
それは、
資格取得を目的にすることで、体系的に知識を学びやすくなる
ことです。
PMについて勉強しようと思っても、
「今日は何を勉強しよう?」
となってしまうことがあります。
一方、資格試験には試験範囲があります。
合格という明確な目標もあります。
そのため、
「資格に合格する」という目的を持って勉強することで、PMに必要な知識を体系的に学びやすくなる
のです。
私は、これが資格の非常に大きな価値だと考えています。
私が取得して感じた資格の価値
私自身も、
- IPAプロジェクトマネージャ
- PMP®
- CSM®
などの資格を取得しました。
それぞれ、得られたものが違いました。
IPAプロジェクトマネージャ試験
IPAプロジェクトマネージャ試験を取得したことで、ITプロジェクトのPMとして必要な知識を体系的に整理できました。
特に良かったのは、
自分が経験していない分野のプロジェクトについても理解しやすくなった
ことです。
自分が実際に経験しているプロジェクトだけでは、どうしても経験できる領域に限界があります。
しかし、試験勉強を通じてさまざまなITプロジェクトについて学ぶことで、
「こういうプロジェクトでは、こういう問題が起きる可能性があるのか」
と、自分の経験の外側にある知識を得ることができました。
これは、私が講師としてPMを教える際にも役立ちました。
受講者にはIT系の方も多かったため、自分自身が経験していないITプロジェクトについても理解するための土台になったからです。
PMP®
PMP®では、PMBOK®︎を中心としたプロジェクトマネジメントの体系を学ぶことができました。
実際にPMとして仕事をしていると、目の前のプロジェクトを何とか成功させることに集中しがちです。
その結果、
「自分はこの方法でやっているけど、本当にこれが一般的なプロジェクトマネジメントなのだろうか?」
と感じることもあります。
資格取得の勉強をすることで、自分の経験を体系的なプロジェクトマネジメントの知識と照らし合わせることができました。
これは非常に大きな意味があったと感じています。
CSM®
CSM®では、アジャイルやスクラムの考え方を学びました。
これも、自分が経験してきたプロジェクトだけでは得られなかった知識です。
資格を取ることそのものだけではなく、
「自分が知らなかったプロジェクトマネジメントの考え方を学ぶきっかけになる」
というところに資格の価値があります。
ただし、資格を取っただけではPMとして強くならない
ここは非常に重要です。
資格はおすすめします。
しかし、
資格を取れば優秀なPMになれる
とは思っていません。
むしろ、資格を取得して初めて、
「ここからが実践だ」
と考えるべきだと思っています。
資格取得の勉強では、プロジェクトマネジメントの体系を学ぶことができます。
しかし、それを実際のプロジェクトで使うのは別の話です。
「リスク登録簿」を作れることと、リスクをマネジメントできることは違う
例えば、リスクマネジメントについて考えてみます。
PMP®の資格取得に向けて勉強すると、
- リスクを特定する
- リスクを分析する
- 対応策を検討する
- リスクを監視する
といった、リスクマネジメントの考え方を学ぶことができます。
リスク登録簿についても、
「こういう項目を整理して管理する」
という方法を知ることができます。
しかし、実際のプロジェクトでリスク登録簿を作ろうとすると、話が変わります。
例えば、
そもそも、どんなリスクを洗い出せばいいのか?
という問題があります。
さらに、
- そのリスクの発生確率や影響度をどう判断するのか?
- どんな対応策が本当に有効なのか?
- どのリスクを優先して対応するべきなのか?
といった判断が必要になります。
ここには、単純な知識だけでは対応できない部分があります。
つまり、
資格で学んだ知識を、実際のプロジェクトで使えるスキルに変える必要がある
のです。
資格は「装備」、実務は「使いこなす場所」
ここまでをRPGに例えると、さらに分かりやすいと思います。
資格を取得する。
↓
新しい装備を手に入れる。
しかし、強い武器を手に入れただけでは、強いキャラクターにはなりません。
その武器を使って実際に戦う必要があります。
PMで言えば、
資格取得
↓
PM知識を身につける
↓
実際のプロジェクトで使う
↓
経験を積む
↓
失敗・成功から学ぶ
↓
スキルとして定着する
という流れです。
だから、
資格はPM戦闘力そのものではなく、PM戦闘力を高めるための装備
なのです。
資格取得によって「自信」という装備も増えた
私自身、資格を取得して感じたことがあります。
それは、
自信がついた
ということです。
資格を取得したことで、
- 「自分はこれだけ勉強した」
- 「一定の基準をクリアした」
という感覚を持てるようになりました。
これも「装備」の一つだと思っています。
もちろん、自信だけでプロジェクトを成功させることはできません。
しかし、PMとして難しい判断をするときに、
「自分はPMについて体系的に勉強してきた」
という感覚があることは、心理的な支えになります。
資格という目に見える装備が加わったことで、自分自身の自信にもつながりました。
PM経験によって、取得すべき資格は変わる
では、どんな人がどんな資格を目指せばよいのでしょうか。
私は、PM経験によって考え方を変えるとよいと思います。
PM経験が浅い人
まだPM経験が浅いのであれば、
PMOなどの立場でプロジェクトマネジメントを学びながら、資格取得を目指す
という方法が考えられます。
まずは、
- プロジェクトとは何か
- PMは何をするのか
- スコープとは何か
- リスクとは何か
- ステークホルダーとは何か
といった基本的な知識を体系的に学ぶ。
資格勉強を、そのためのきっかけとして使うのも良いでしょう。
PM経験がある人
すでにPM経験があるのであれば、
自分の経験を体系化するために資格を活用する
という考え方がおすすめです。
例えば、
- IPAプロジェクトマネージャ
- PMP®
- アジャイル関連資格
- スクラム関連資格
など、自分が携わっているプロジェクトや、今後目指したいキャリアに合った資格を選ぶ。
実務経験があるからこそ、
「あのプロジェクトで起きていたことは、この考え方だったのか」
と、資格勉強で得た知識を自分の経験と結びつけることができます。
PM経験が豊富な人
PM経験が豊富になってくると、
資格取得だけを目的にするのではなく、実践と知識習得を同時に進める
ことが重要だと思います。
実際のプロジェクトで課題を感じる。
↓
その課題について学ぶ。
↓
資格や研修などで体系的な知識を得る。
↓
実際のプロジェクトで使ってみる。
↓
結果を振り返る。
こうした循環を作ることで、資格が単なる「肩書き」ではなく、PM戦闘力につながっていきます。
資格は「市場での強さ」を高める装備でもある
ここまで、資格の知識面について話してきました。
しかし、もう一つ忘れてはいけないのが、
対外的な評価
です。
PMとしての実力を第三者に伝えるのは簡単ではありません。
「私はプロジェクトを成功させられます」
と言っても、それだけでは判断できません。
しかし、
- PMP®を取得している
- IPAプロジェクトマネージャ試験に合格している
といった情報があれば、相手は一定の評価をしやすくなります。
転職でも同じです。
資格だけで採用が決まるわけではありません。
しかし、
経験+スキル+資格
が揃っていれば、自分のPMとしての強さをより説明しやすくなります。
資格は、
「自分のPM戦闘力を市場に見せるための装備」
でもあるのです。
だから、PM資格は「取ったほうがいい」
ここまでの話を踏まえて、私は、
PM資格は取ったほうがいい
と考えています。
理由はシンプルです。
資格には、
① 対外的な評価につながる
という価値があります。
そして、
② 資格取得を目標にすることで、PM知識を体系的に学べる
という価値があります。
さらに、資格取得によって得た知識を実務で使えば、
③ 経験とスキルを高めることができる
可能性があります。
つまり、
資格 → 知識 → 実践 → スキル → 経験
という流れを作ることができます。
そして資格という「装備」は、
自分のPMとしての実力を対外的に示す
ことにも役立ちます。
まとめ:資格はPM戦闘力そのものではなく、「戦闘力を高める装備」
PM資格は必要なのか。
私は、
取ったほうがいい
と考えています。
ただし、
資格を持っている=強いPM
ではありません。
資格はあくまで「装備」です。
資格証や合格実績は、対外的に自分の能力を示すための装備です。
そして、資格取得のために学んだ知識は、自分自身のPMとしての実力になります。
しかし、その知識を実際のプロジェクトで使えるようにするには、さらに経験と実践が必要です。
だからこそ、
資格を取って終わりではなく、資格で得た知識をプロジェクトで使う。
これが重要です。
資格という装備を手に入れる。
↓
知識を身につける。
↓
実際のプロジェクトで使う。
↓
経験を積む。
↓
スキルとして定着させる。
↓
さらに強いPMになる。
私は、このサイクルを回すことがPM戦闘力を高める一つの方法だと考えています。
あなたは今、どんな「装備」を持っていますか?
そして、その装備を実際のプロジェクトで使いこなせているでしょうか?
PM戦闘力シリーズ
- PM戦闘力とは?PMとしての強さを決める要素を考えてみた
- PM経験年数だけでは戦闘力は上がらない?経験の質が重要な理由
- PM戦闘力を高めるPMスキルとは?重要な4つのスキルを考えてみた
- PMの実績とは何か?「トラブルを解決した」だけが実績ではない
- なぜトラブルを起こさないPMは評価されにくいのか?
- あなたのPM戦闘力はどれくらい?PM戦闘力を自己診断してみる
- PM戦闘力を高めるには?
- PM戦闘力と転職・市場価値の関係
私は令和5年度 IPAプロジェクトマネージャ試験に合格しました。
実際に合格した経験をもとに、勉強方法やおすすめ参考書、最難関といわれる午後Ⅱ論文の対策方法を詳しく解説しています。
「これから勉強を始めたい」「効率よく合格したい」という方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。

