「自分の市場価値はどれくらいあるのだろう?」
PMとして仕事をしていると、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
転職を考えている人なら、特に気になるところです。
「PM経験10年」
「大規模プロジェクトを担当」
「PMP®を取得」
こうした経歴があれば、市場価値は高いのでしょうか。
私は、PM戦闘力が高いほど、市場価値も高くなると考えています。
ただし、ここには一つ重要なポイントがあります。
それは、
自分のPMとしての価値を、相手にきちんと説明できるか
ということです。
どれだけ高いPM戦闘力を持っていても、それを相手に伝えられなければ、転職市場では正しく評価されない可能性があります。
PM戦闘力が高いほど市場価値も高くなる
これまでの記事で、私はPM戦闘力を次のように考えてきました。
PM戦闘力 ≒(経験 × スキル × 適用力)+(資格 + 実績)
この考え方からすると、PMとしての経験を積み、スキルを磨き、適用力を高め、資格や実績を積み重ねるほど、PM戦闘力は高くなっていきます。
そして、そのPM戦闘力が高くなれば、基本的には市場価値も高くなっていくと考えられます。
例えば、次のような能力です。
- 大規模プロジェクトをマネジメントできる
- 多数のステークホルダーを調整できる
- 複数チームをまとめられる
- トラブルを解決できる
- リスクを先回りして管理できる
- プロジェクトの状況に応じてマネジメント方法を変えられる
- プロジェクトを成功に導いた実績がある
こうした能力を持っているPMは、企業から見ても価値のある人材になりやすいでしょう。
つまり、
PM戦闘力を高めることは、市場価値を高めることにもつながる
と考えられます。
「PM経験10年」だけでは市場価値は分からない
では、
「PM経験10年です」
と言えば、それだけで高い市場価値を示せるでしょうか。
私は、そうではないと思います。
同じ「PM経験10年」でも、その中身は人によって大きく違います。
例えば、
- Aさんは、10年間ほぼ同じ規模・同じようなプロジェクトを担当してきた。
- Bさんは、10年間で小規模から大規模まで経験し、複数ベンダー、難しいステークホルダー、トラブルプロジェクトなどにも挑戦してきた。
どちらもPM経験10年です。
しかし、経験の質は同じではありません。
だからこそ、転職などで自分の価値を伝えるときには、
「何年PMをやってきたか」だけではなく、「何を経験して、何ができるようになったのか」
を説明する必要があります。
「どんなプロジェクトを経験したか」が重要
PMの市場価値を考えるとき、経験年数だけでなく、経験の質が重要になります。
例えば、次のような要素です。
- プロジェクトの規模
- メンバー数
- プロジェクト期間
- 予算
- ステークホルダーの数
- ベンダー数
- 技術的な難易度
- 業務上の難易度
- 納期の厳しさ
- トラブルの有無
特に、自分がこれまで経験したことのない難しいプロジェクトに挑戦してきた経験は、PM戦闘力を高める要素になります。
大規模プロジェクトを経験した。
複数ベンダーをマネジメントした。
難しいステークホルダーとの調整を行った。
トラブルプロジェクトを立て直した。
こうした経験は、自分のPMとしての対応力を示す材料になります。
スキルは「持っている」だけではなく「使える」ことが重要
市場価値を考えるうえでは、PMスキルも重要です。
例えば、
「コミュニケーション能力があります」
「リスクマネジメントが得意です」
と言うだけでは、その能力を評価するのは難しいでしょう。
重要なのは、
そのスキルを使って、実際に何をしたのか
です。
例えば、
「プロジェクトの途中で関係者間の認識にズレがあることを発見し、関係者を集めて合意形成を行った」
「重大なリスクを早期に発見し、事前に対応策を実施した」
といった具体的な経験があれば、スキルを実務で使えることを説明できます。
つまり、
スキル → 実践 → 成果
までつなげることが重要です。
適用力も市場価値につながる
PM戦闘力の中でも、私は適用力が重要だと考えています。
PMの仕事では、
「この方法が正解」
というものが必ずしも存在しません。
プロジェクトによって、
- 規模
- 組織
- メンバー
- ステークホルダー
- 技術
- 納期
- リスク
が違うからです。
そのため、
「過去のプロジェクトではこの方法でうまくいった」
だけでは不十分です。
「今回のプロジェクトでは何が違うのか?」
「今回は何を重視すべきなのか?」
を考え、マネジメント方法を変えられる。
この適用力が高いPMほど、さまざまな環境で活躍できる可能性が高くなります。
そして、それは市場価値にもつながっていくでしょう。
資格は「装備」として市場価値を補強する
資格については、これまでの記事でも書いてきました。
私は、資格をPM戦闘力の「装備」だと考えています。
資格そのものがPMの実力ではありません。
しかし、
「PMP®を取得している」
「IPAのプロジェクトマネージャ試験に合格している」
といった資格は、自分が一定の知識を持っていることを示す材料になります。
特に、初対面の企業や採用担当者には、自分の実力をすべて理解してもらうことはできません。
そのとき、資格は自分の知識を示す一つの材料になります。
ただし、ここでも重要なのは、
資格を持っていることだけをアピールするのではなく、そこで学んだ知識を実務でどう活用したのかを説明すること
です。
資格という「装備」を、実際のPM戦闘力につなげていることを伝える。
これが重要だと思います。
最も重要なのは「実績」を説明できること
PMの市場価値を考えるうえで、特に重要なのが実績です。
例えば、
「大規模プロジェクトを担当しました」
だけではなく、
「100人規模のプロジェクトでPMを担当し、○○という課題に対して○○を実施し、結果として○○を達成しました」
というところまで説明できると、自分の価値が伝わりやすくなります。
実績とは、
自分が何をしたのか
だけではありません。
その結果、どんな価値を生み出したのか
まで含めて考えることが重要です。
例えば、
- コストを削減した
- 納期を守った
- 品質を改善した
- トラブルを解決した
- チームを育成した
- プロセスを改善した
- 仕組みを作った
- 再発防止につなげた
などです。
そして、できるだけ数字で説明できるようにしておく。
これが、PMとしての市場価値を伝えるうえで非常に重要になります。
PM戦闘力が高くても、市場価値が正しく伝わらないことがある
ここが、今回の記事で一番伝えたいポイントかもしれません。
PM戦闘力と市場価値は、基本的には比例すると考えています。
しかし、
PM戦闘力が高い人=必ず市場で高く評価される人
とは限りません。
なぜなら、
自分の価値を説明できなければ、相手はその価値を判断できないからです。
例えば、非常に難しいプロジェクトを成功させたPMがいたとします。
しかし、その人が、
「大変でしたが、なんとか終わりました」
としか説明できなかったらどうでしょうか。
採用する側からすると、
- 何が大変だったのか?
- 何をしたのか?
- どんな能力があるのか?
- どんな成果を出したのか?
が分かりません。
一方で、
「プロジェクトには○○という課題がありました。私はPMとして○○を実施し、その結果○○を達成しました」
と説明できれば、その人のPM戦闘力をイメージしやすくなります。
だからこそ、
PM戦闘力を高めることと、自分のPM戦闘力を言語化すること。
この2つが重要なのです。
「市場価値を高めるため」ではなく「PMとして強くなる」
では、市場価値を高めるためには何をすればよいのでしょうか。
私は、
まずPMとしての実力を高めること
だと思っています。
転職市場で評価されるために、資格だけを集める。
転職市場で評価されるように、肩書きを増やす。
これだけでは、本当の意味でPM戦闘力が高まったとは言えません。
まずは、
- 質の良い経験を積む
- スキルを磨く
- 適用力を高める
- 資格という装備を身につける
- 実績を作る
そして、その結果としてPM戦闘力が高まる。
PM戦闘力が高まれば、市場価値も高まっていく。
私は、この順番が重要だと考えています。
転職する予定がなくても「市場価値」を考えてみる
「今の会社を辞めるつもりはないから、市場価値なんて考えなくてもいい」
そう思う人もいるかもしれません。
しかし、私は転職する予定がなくても、一度自分の市場価値を考えてみることをおすすめします。
なぜなら、
自分のPMとしての実力を客観的に見るきっかけになるからです。
「自分は何ができるのか?」
「どんなプロジェクトを経験してきたのか?」
「どんな成果を出してきたのか?」
「それを第三者に説明できるのか?」
こうしたことを考えるだけでも、自分の現在地が見えてきます。
そして、もし、
- 意外と自分の実績を説明できない
- 数字で成果を説明できない
- 経験はあるけれど、強みが言語化できない
と気づいたなら、それも一つの発見です。
一度、転職エージェントに相談してみるのも面白い
自分の市場価値を知る方法として、私は一度転職エージェントと面談してみることも良い方法だと思っています。
もちろん、転職することが目的ではありません。
自分の経歴や経験を伝えて、
- 自分は転職市場でどのように評価されるのか?
- どんな求人が考えられるのか?
- 自分の経験のどこが評価されるのか?
- 逆に、何が足りないのか?
を聞いてみる。
そうすることで、自分では気づかなかった強みや弱みに気づけるかもしれません。
また、
「自分の価値をきちんと説明できているか」
を確認する機会にもなります。
転職する予定がなくても、自分の市場価値を確認するための一つの方法として活用してみるのもよいでしょう。
PM戦闘力は「自分の現在地」を知るために使う
PM戦闘力という考え方を作ったのも、まさにこのためです。
PM戦闘力は、
「あなたは○○点だから優秀」
と人をランキングするためのものではありません。
自分が今どこにいるのかを客観的に見るためのツールです。
例えば、
- 「経験は十分だけど、適用力が弱い」
→プロジェクトごとにマネジメント方法を変えることを意識する。 - 「スキルはあるけれど、経験が足りない」
→少し難しいプロジェクトに挑戦する。 - 「実績はあるけれど、うまく説明できない」
→自分の成果を言語化する。 - 「資格がない」
→必要な資格を検討する。
このように、
足りないものを把握する → 補う → 実践する
ためにPM戦闘力を使ってほしいと思っています。
PM戦闘力を高めることが、結果として市場価値を高める
PMとしての市場価値を高めたい。
そう思ったときに、まず考えてほしいのは、
「どうすれば転職市場で評価されるか?」
ではありません。
「どうすればPMとしてもっと強くなれるか?」
です。
質の良い経験を積む。
スキルを磨く。
適用力を高める。
資格という装備を身につける。
実績を積み上げる。
そして、その経験や実績を自分の言葉で説明できるようにする。
そうすることで、PM戦闘力が高まり、その結果として市場価値も高まっていくのだと思います。
転職する予定がなくても、自分のPM戦闘力を確認してみよう
PMとして働いているなら、一度立ち止まって考えてみてください。
「自分のPM戦闘力は、今どれくらいあるのだろう?」
そして、
「その戦闘力を、第三者にきちんと説明できるだろうか?」
もし説明できないのであれば、それは自分のPM戦闘力を整理する良い機会です。
自分の強みは何か。
足りないものは何か。
どんな経験があるのか。
どんな実績を残したのか。
それを整理する。
必要であれば、転職エージェントなど第三者に話を聞いてもらう。
そこで自分の市場価値を知り、足りないものを見つける。
そして、それをまた次の経験や学びにつなげていく。
PM戦闘力に完成はありません。
自分の現在地を知り、足りないものを補い、実践する。
その不断の努力こそが、PMとしての成長につながり、結果として市場価値も高めていくのだと思います。
あなたは、自分のPM戦闘力と市場価値を、どれくらい客観的に説明できますか?
まとめ:PM戦闘力を高め、自分の価値を言葉にしよう
PMとしての市場価値を高めるために重要なのは、転職市場で評価されるためのテクニックだけではありません。
まずPMとして強くなること。そして、その強さを相手に伝えられるようにすること。
この2つが重要です。
- 質の良いPM経験を積む
- PMスキルを実践で磨く
- プロジェクトに応じた適用力を高める
- 資格を「装備」として活用する
- 実績を作る
- 自分の経験や成果を言語化する
PM戦闘力が高まれば、市場価値も高まっていきます。
ただし、自分の価値を説明できなければ、その戦闘力が正しく評価されないこともあります。
だからこそ、
PM戦闘力を高めることと、自分のPM戦闘力を言語化すること。
この両方を意識してみてください。
市場価値を知ることは、転職するためだけのものではありません。
自分のPMとしての現在地を知り、次に何を伸ばすべきなのかを考えるためにも役立ちます。
あなた自身のPM戦闘力を、一度整理してみてはいかがでしょうか。
PM戦闘力シリーズ
- PM戦闘力とは?PMとしての強さを決める要素を考えてみた
- PM経験年数だけでは戦闘力は上がらない?経験の質が重要な理由
- PM戦闘力を高めるPMスキルとは?重要な4つのスキルを考えてみた
- PM資格は本当に必要?資格を「戦闘力の装備」として考える
- PMの実績とは何か?「トラブルを解決した」だけが実績ではない
私は令和5年度 IPAプロジェクトマネージャ試験に合格しました。
実際に合格した経験をもとに、勉強方法やおすすめ参考書、最難関といわれる午後Ⅱ論文の対策方法を詳しく解説しています。
「これから勉強を始めたい」「効率よく合格したい」という方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。














