「インプット・ツール・アウトプット(ITTO)とは何だろう?」
「PMBOK®のプロセスごとに、インプットやツール、アウトプットを覚えないといけないの?」
プロジェクトマネジメントを学んでいると、インプット・ツール・アウトプット(ITTO)という言葉が登場します。
ITTOとは、プロジェクトマネジメントの各プロセスについて、何を使って、どのような方法で作業を行い、その結果として何を作り出すのかを整理した考え方です。
PMBOK®第6版までのプロセスベースの考え方を理解するうえで重要な概念でした。
この記事では、ITTOの意味や3つの構成要素、具体例、覚え方、プロジェクトマネージャ試験でのポイントについて解説します。
一言でいうと
ITTOとは、プロジェクトマネジメントのプロセスにおける「インプット(入力)」「ツールと技法(処理方法)」「アウトプット(成果)」を整理したものです。
簡単に表すと、
インプット → ツールと技法 → アウトプット
という関係になります。
例えば、ある資料をインプットとして受け取り、会議や分析などのツールと技法を使って処理し、新しい計画書などのアウトプットを作成する、というイメージです。
ITTOの3つの要素
ITTOは、次の3つから構成されています。
| 項目 | 意味 | 簡単にいうと |
|---|---|---|
| Input | インプット | 何を使うのか |
| Tools and Techniques | ツールと技法 | どのように処理するのか |
| Output | アウトプット | 何ができるのか |
1.インプット(Input)
インプットとは、そのプロセスを実施するために必要となる情報、文書、計画、データなどです。
例えば、プロジェクトのスケジュールを作成するのであれば、作業内容や作業期間などの情報が必要になります。
そのプロセスだけで突然結果が生まれるわけではなく、前のプロセスで作られた情報や、プロジェクトを取り巻く環境などをインプットとして利用します。
つまり、インプットは「このプロセスを実施するために何が必要なのか」と考えると分かりやすいでしょう。
2.ツールと技法(Tools and Techniques)
ツールと技法とは、インプットを利用して、目的のアウトプットを作るために使用する方法や手段です。
例えば、
- 専門家の判断
- 会議
- データ分析
- データ収集
- 意思決定
- コミュニケーション
- 見積もり
- ファシリテーション
などがあります。
つまり、ツールと技法は「インプットをどのように処理するのか」を表しています。
3.アウトプット(Output)
アウトプットとは、プロセスを実施した結果として作成・更新される成果物や情報です。
例えば、
- プロジェクト・チャーター
- プロジェクトマネジメント計画書
- スコープ・ベースライン
- スケジュール
- リスク登録簿
- 変更要求
- 教訓登録簿
などがあります。
つまり、アウトプットは「このプロセスを実施した結果、何ができたのか」と考えることができます。
ITTOの基本的な流れ
ITTOを理解するには、料理に例えると分かりやすいでしょう。
- インプット:材料
- ツールと技法:調理方法・調理器具
- アウトプット:完成した料理
プロジェクトマネジメントのプロセスも基本的には同じです。
必要な情報をインプットとして受け取り、それを適切なツールや技法によって処理し、その結果としてアウトプットを作ります。
この関係を理解すると、ITTOを単なる暗記項目として捉える必要がなくなります。
ITTOの具体例
例えば、PMBOK®第6版の「リスクの特定」というプロセスを考えてみます。
リスクを特定するためには、プロジェクトに関するさまざまな情報が必要になります。
それらをインプットとして利用し、専門家の判断やデータ分析、会議などのツールと技法を使ってリスクを特定します。
その結果として、リスク登録簿などが作成・更新されます。
つまり、
プロジェクトに関する情報
↓
分析・会議・専門家の判断など
↓
特定されたリスクを記録した情報
という流れになります。
これがITTOの基本的な考え方です。
ITTOはプロセス同士をつなぐ
ITTOを理解するうえで特に重要なのが、あるプロセスのアウトプットが、別のプロセスのインプットになるという関係です。
例えば、あるプロセスで作成された計画書が、次のプロセスで利用されることがあります。
このようにプロセスは独立しているわけではなく、アウトプットとインプットを通じてつながっています。
そのため、ITTOを理解すると、プロジェクトマネジメントのプロセス全体がどのようにつながっているのかを理解しやすくなります。
ITTOとプロセス群・知識エリアの関係
ITTOは、プロセス群や知識エリアとは異なる概念です。
| 分類 | 何を表すか |
|---|---|
| プロセス群 | プロセスの目的や役割による分類 |
| 知識エリア | 何を管理するのかという専門領域 |
| ITTO | 各プロセスで何を使い、どのように処理し、何を作るのか |
例えば、「リスク・マネジメント」という知識エリアの中に複数のプロセスがあります。
それぞれのプロセスには、インプット、ツールと技法、アウトプットがあります。
このように、
知識エリア → プロセス → ITTO
という構造で考えると、PMBOK®第6版までの体系を整理しやすくなります。
ITTOは暗記するべき?
ITTOについて、よくある疑問が「すべて暗記する必要があるのか」ということです。
結論として、ITTOを単純に丸暗記することはおすすめしません。
プロセスごとのインプット、ツールと技法、アウトプットをすべて暗記しようとすると、非常に多くの項目を覚える必要があります。
それよりも、
「このプロセスでは何をするのか?」
をまず理解することが重要です。
そのうえで、
- 何を材料として使うのか
- どのような方法で処理するのか
- その結果、何を作るのか
と考えると、ITTOの関係を自然に理解しやすくなります。
ITTOを理解するための覚え方
「何を使って、どうやって、何を作る?」と考える
ITTOを覚えるときには、次の3つの質問に置き換えると分かりやすくなります。
- 何を使う? → インプット
- どうやって処理する? → ツールと技法
- 何ができる? → アウトプット
この3つを意識するだけでも、ITTOの意味を理解しやすくなります。
アウトプットから逆算する
「このプロセスでは何ができるのか?」を考える方法も有効です。
例えば、リスク登録簿がアウトプットになるのであれば、そこにはリスクを特定するためのプロセスが必要だと考えることができます。
アウトプットからプロセスを逆算すると、プロセス同士のつながりも見えてきます。
実務と結び付ける
ITTOは、実務に置き換えると非常に分かりやすくなります。
例えば、「リスク登録簿を作る」という作業を考えた場合、過去の資料やプロジェクト計画などを確認し、会議や分析を行い、その結果としてリスク登録簿を作成します。
これだけでも、ITTOの基本的な考え方を実感できます。
プロジェクトマネージャ試験ではここが重要
プロジェクトマネージャ試験では、PMBOK®の用語やプロセスについて問われることがあります。
ただし、ITTOを単純に暗記するだけでは、実際のプロジェクトの問題に対応しにくくなります。
重要なのは、
「なぜこのプロセスが必要なのか」
「このプロセスでは何をインプットとして使うのか」
「どのような活動を行い、何をアウトプットするのか」
という流れを理解することです。
特に記述式の問題では、単語を知っているだけではなく、プロジェクトの状況に応じて、どのような活動を行うべきかを説明する力が重要になります。
現在のPMBOK®との関係
ここは注意が必要です。
ITTOは、特にPMBOK®第6版までのプロセスベースの考え方と強く結び付いています。
PMBOK®第7版では、従来のプロセス中心の構成から、プロジェクトマネジメントの原則やパフォーマンス領域を中心とする構成へ大きく変更されました。
そのため、第7版以降のPMBOK®を理解するうえで、ITTOを従来と同じ形で暗記することを中心的な学習方法とするのは適切ではありません。
一方で、
「何をインプットとして受け取り、どのような活動を行い、どのような結果を生み出すのか」
という考え方自体は、プロジェクトマネジメントの実務でも有用です。
よくある勘違い
ITTOは単なる暗記項目ではない
ITTOは、プロセスを理解するための構造として捉えることが重要です。
「このプロセスでなぜこのインプットが必要なのか」「なぜこのアウトプットが生まれるのか」と考えることで、プロセスの目的を理解できます。
ツールと技法は道具だけを意味するわけではない
「Tools」という言葉から、ソフトウェアなどの道具をイメージしがちですが、ITTOにおけるツールと技法には、専門家の判断、会議、分析、意思決定なども含まれます。
アウトプットは必ず新しい文書とは限らない
アウトプットには、新たに作成される文書だけでなく、既存の文書や計画、記録などの更新も含まれます。
PM道場のワンポイント
ITTOは「プロセスの仕事の流れ」を表していると考えると分かりやすくなります。
例えば、仕事を依頼されたとき、いきなり成果物を作るわけではありません。
まず必要な情報を集め、その情報を分析したり、関係者と話し合ったりして、最終的な成果物を作ります。
プロジェクトマネジメントのプロセスも同じです。
「何を受け取り、どう処理して、何を生み出すのか」
この視点で考えると、ITTOは単なる試験対策の暗記項目ではなく、プロセスを理解するための非常に分かりやすいフレームワークになります。
特にプロジェクトマネージャ試験では、ITTOを丸暗記するよりも、プロセスの目的と、その前後のつながりを理解することを意識するとよいでしょう。
関連用語
- PMBOK®ガイド
- プロセス群
- 知識エリア
- プロジェクトマネジメント・プロセス
- プロジェクト・チャーター
- プロジェクトマネジメント計画書
- リスク登録簿
- 変更要求
- 教訓登録簿
- 専門家の判断
まとめ
インプット・ツール・アウトプット(ITTO)とは、プロジェクトマネジメントのプロセスについて、
- インプット:何を使うのか
- ツールと技法:どのように処理するのか
- アウトプット:何ができるのか
という3つの観点から整理する考え方です。
ITTOを理解すると、各プロセスが単独で存在しているのではなく、あるプロセスのアウトプットが、別のプロセスのインプットになるというプロセス同士のつながりも理解できます。
ただし、ITTOをすべて丸暗記することが目的ではありません。
「何を使って、どう処理し、その結果何を作るのか」というプロセスの流れを理解することが重要です。
なお、PMBOK®第7版ではプロセス中心の構成から大きく変更されているため、ITTOは主に第6版までのプロセスベースの考え方として理解しておくとよいでしょう。
関連記事
- PMBOK®ガイドとは?
- プロセス群とは?
- 知識エリアとは?
- 要求事項とは?
- 要求事項トレーサビリティマトリクス(RTM)とは?
- リスクマネジメントとは?
- リスク登録簿とは?
- 変更要求とは?
- 教訓登録簿とは?
よくある質問(FAQ)
Q. ITTOとは何ですか?
A. ITTOは、Input(インプット)、Tools and Techniques(ツールと技法)、Output(アウトプット)の頭文字を取った言葉です。各プロセスで「何を使い、どのように処理し、何を作るのか」を整理したものです。
Q. ITTOはすべて暗記する必要がありますか?
A. ITTOをすべて丸暗記することはおすすめしません。各プロセスの目的を理解し、「何を使って、どう処理し、何を作るのか」という流れを理解することが重要です。
Q. ITTOのインプットとは何ですか?
A. プロセスを実施するために必要な情報、文書、計画、データなどです。前のプロセスで作成されたアウトプットがインプットとして利用されることもあります。
Q. ITTOのツールと技法とは何ですか?
A. インプットを利用してアウトプットを作成するための方法や手段です。専門家の判断、会議、データ分析、意思決定などが含まれます。
Q. ITTOのアウトプットとは何ですか?
A. プロセスを実施した結果として作成・更新される成果物や情報です。計画書、リスク登録簿、変更要求などが代表的な例です。
Q. ITTOは現在のPMBOK®でも重要ですか?
A. ITTOは特にPMBOK®第6版までのプロセスベースの考え方と強く結び付いています。第7版では構成が大きく変更されたため、現在のPMBOK®を学ぶ際には、ITTOの丸暗記よりもプロジェクトマネジメントの原則やパフォーマンス領域、そして実務での適用を理解することが重要です。
ら
私は令和5年度 IPAプロジェクトマネージャ試験に合格しました。
実際に合格した経験をもとに、勉強方法やおすすめ参考書、最難関といわれる午後Ⅱ論文の対策方法を詳しく解説しています。
「これから勉強を始めたい」「効率よく合格したい」という方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。

