プロジェクトマネジメント用語集

要求事項トレーサビリティマトリクス(RTM)とは?目的や使い方を初心者向けにわかりやすく解説

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「この機能は、どの要求事項を実現するためのものなのか?」

「この要求事項は、本当にテストまで確認できているのか?」

プロジェクトが大きくなるほど、このような確認は難しくなります。

要求事項と設計・開発・テストが正しく結び付いていなければ、必要な機能が実装されなかったり、不要な機能を開発してしまったりする可能性があります。

そこで活用されるのが要求事項トレーサビリティマトリクス(Requirements Traceability Matrix:RTM)です。

この記事では、RTMの意味や目的、実務での活用方法までわかりやすく解説します。

一言でいうと

要求事項トレーサビリティマトリクス(RTM)とは、「要求事項が設計・開発・テストまで適切に反映されているかを追跡(トレース)するための管理表」です。

要求事項トレーサビリティマトリクス(RTM)とは

RTM(Requirements Traceability Matrix)は、要求事項と成果物との対応関係を管理するための一覧表です。

要求事項ごとに設計書・WBS・プログラム・テストケースなどを紐付けることで、「要求事項が最後まで実現されているか」を確認できます。

PMBOKでも、要求事項をライフサイクル全体を通じて管理するための重要な成果物として位置付けられています。

RTMのイメージ

要求ID 要求事項 設計書 開発 テストケース
REQ-001 会員登録ができる 基本設計-01 PG-15 TC-101
REQ-002 商品検索ができる 基本設計-05 PG-28 TC-126

このように、要求事項から成果物までを一貫して追跡できるように管理します。

RTMを作成する目的

  • 要求事項の漏れを防ぐ
  • 不要な機能の開発を防ぐ
  • 変更時の影響範囲を把握しやすくする
  • テスト漏れを防ぐ
  • 要求事項と成果物の整合性を確認する

つまり、「要求事項が確実に成果物へ反映されていること」を保証するための仕組みです。

実務ではこんな場面で活用される

例えば、顧客から「CSV出力機能を追加してほしい」という要求事項が追加されたとします。

RTMがあれば、その要求事項に対応する設計書、プログラム、テストケースをすぐに確認できます。

また、仕様変更が発生した場合も、影響を受ける成果物を素早く特定できるため、変更漏れを防ぐことができます。

RTMを作成するメリット

  • 要求事項の実装漏れを防げる
  • 変更時の影響分析がしやすい
  • レビューの効率が向上する
  • テストの網羅性を確認できる
  • 品質向上につながる

よくある勘違い

RTMはテスト担当者だけが使うものではない

RTMは、要件定義から設計・開発・テストまで、プロジェクト全体で利用する管理資料です。

プロジェクトマネージャも変更管理や進捗管理で活用します。

RTMは一度作成したら終わりではない

要求事項が変更された場合は、RTMも更新する必要があります。

最新状態を維持することで、トレーサビリティが保たれます。

プロジェクトマネージャ試験ではここが重要

IPAのプロジェクトマネージャ試験では、「要求事項の管理」や「変更管理」「品質管理」と関連付けて理解することが重要です。

午後試験では、「要求事項が確実に成果物へ反映されていることをどのように確認したか」を説明できると評価につながります。

RTMは単なる一覧表ではなく、品質保証と変更管理を支える重要な管理ツールです。

PM道場のワンポイント

RTMは、「要求事項を管理する表」ではなく、「約束を守るための地図」です。プロジェクトでは、要求事項が増えるほど、「この機能は何のために作ったのか」が分からなくなることがあります。逆に、「要求したはずなのに実装されていない」という事態も起こります。

RTMがあれば、要求事項から設計・開発・テストまで一本の線で追跡できます。

優れたプロジェクトマネージャは、RTMを単なる成果物として作るのではなく、「変更時の影響分析」や「レビュー」で積極的に活用しています。

RTMは、要求事項を見える化するだけでなく、プロジェクト全体の品質を見える化するためのツールでもあるのです。

関連用語

  • 要求事項
  • スコープ
  • スコープマネジメント
  • 変更管理
  • 品質管理
  • WBS
  • 成果物(Deliverable)
  • テストケース

まとめ

要求事項トレーサビリティマトリクス(RTM)とは、要求事項が設計・開発・テストまで適切に反映されていることを追跡・管理するための管理表です。

要求事項と成果物を紐付けることで、実装漏れやテスト漏れを防ぎ、変更時の影響分析も容易になります。

重要なのは、RTMを「作ること」ではなく、「常に最新の状態に保ち、プロジェクト全体で活用すること」です。


関連記事

  • 要求事項とは?
  • スコープとは?
  • 変更管理とは?
  • 品質管理とは?

よくある質問(FAQ)

Q. 要求事項トレーサビリティマトリクス(RTM)とは何ですか?

A. 要求事項と設計・開発・テストなどの成果物を関連付け、要求事項が確実に実現されていることを追跡・管理するための管理表です。

Q. RTMを作成する目的は何ですか?

A. 要求事項の実装漏れやテスト漏れを防ぎ、変更時の影響範囲を把握しやすくすることです。

Q. RTMはどの工程で利用しますか?

A. 要件定義だけでなく、設計・開発・テスト・変更管理まで、プロジェクト全体を通じて活用されます。

ABOUT ME
まーも
はじめまして。 当ブログをご覧いただきありがとうございます。 私は EPCプロジェクトで10年間の実務経験 を積み、その後 企業研修の講師として4年目 になります。 現在は、年間300名以上の受講者に向けて、プロジェクトマネジメント研修の企画・開発・講師 を担当しています。 資格としては、 IPAプロジェクトマネージャ試験 合格 PMP®(Project Management Professional) CSM®(Certified ScrumMaster) FP2級 を取得しており、実務と理論の両面から「プロジェクトを成功に導くスキル」を伝えることを得意としています。 EPC業界で培った現場のマネジメント力と、研修講師としての教育経験を活かし、 プロジェクトを円滑に進めるための実践ノウハウ チームをまとめるコミュニケーション術 若手育成やキャリア形成のヒント などを、わかりやすく発信しています。 「現場で役立つ知識を、誰でも理解できる形で」 をモットーに、皆さまの成長と成功をサポートします。
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