「PMとしてもっと強くなりたい」と思ったら、あなたなら何をしますか?
PMの資格を取る。
PMBOK®︎を勉強する。
コミュニケーションスキルを磨く。
難しいプロジェクトに挑戦する。
どれもPMとして成長するために重要なことです。
しかし、私はそれだけでは不十分だと考えています。
なぜなら、PM戦闘力は一つのスキルや資格だけで決まるものではないからです。
以前の記事で、私はPM戦闘力を次のように考えました。
PM戦闘力 ≒(経験 × スキル × 適用力)+(資格 + 実績)
では、このPM戦闘力をどうすれば高めることができるのでしょうか。
私が考える答えは、
「質の良い経験を積み、実践し、振り返る」というサイクルを回し続けること
です。
PM戦闘力は「経験→実践→振り返り」で高めていく
PM戦闘力を高める流れを簡単にすると、次のようになります。
- 質の良い経験を積む
- 経験の中で実践する
- プロジェクトを振り返る
- 必要なスキルや知識を身につける
- 再び実践する
- より難しいプロジェクトに挑戦する
- 経験が実績になる
そして、そこで得た経験をまた次のプロジェクトに活かします。
つまり、PM戦闘力は一度上げたら終わりではありません。
このサイクルを繰り返すことで、少しずつ高まっていくものだと考えています。
① PM戦闘力を高めるには、まず「質の良い経験」を積む
PM戦闘力を高めるうえで、私が最も重要だと考えているのが経験です。
ただし、ここでいう経験は「PM経験年数」だけではありません。
重要なのは、どのような経験をしたかです。
例えば、
「PMを10年間やっています」
という人と、
「5年間のPM経験ですが、大規模プロジェクト、複数ベンダー、難しいステークホルダーがいるプロジェクトなど、さまざまな状況を経験してきました」
という人がいたら、単純に経験年数だけではPMとしての強さを判断できません。
では、どうすれば質の良い経験を積めるのでしょうか。
私は、良い経験は自分で作るものだと考えています。
② 良い経験は「自分で作る」
同じプロジェクトでも、そこから何を学ぶかはPMによって変わります。
例えば、プロジェクトが無事に終了したとします。
そこで、
「無事に終わった。よかった」
で終わってしまえば、その経験から得られるものは限られます。
一方で、プロジェクトの最初から、
- 今回のプロジェクトでは何を達成するのか?
- 成功とは何か?
- そのために何をするのか?
を考えておく。
そして、プロジェクトを進めながら、
- 計画通りに進んでいるか?
- 想定していたリスクはどうなっているか?
- このプロジェクトでは何が重要なのか?
を考え続けます。
最後には、
- 何が良かったのか?
- 何がうまくいかなかったのか?
- なぜうまくいかなかったのか?
- 次のプロジェクトではどうするのか?
を振り返ります。
そして、それを教訓として次のプロジェクトに活かします。
ここまでできれば、どんなプロジェクトでも良い経験に変えることができます。
つまり、
良いプロジェクトに参加することだけが、良い経験を積む方法ではない。
ということです。
経験をどう捉え、どう活かすかによって、経験の質は自分で高められます。
私はそう考えています。
③ 経験の中で「適用力」を高める
経験を積むことで、PMの引き出しが増えていきます。
しかし、経験が増えれば自動的にPM戦闘力が高まるわけではありません。
重要なのが適用力です。
例えば、以前のプロジェクトで、
「毎週定例会議を開催したらうまくいった」
という経験があったとします。
そこで次のプロジェクトでも、
「前回うまくいったから、今回も毎週定例会議をやろう」
と、そのまま同じ方法を使う。
これは経験を活かしているように見えます。
しかし、本当に重要なのは、
「前のプロジェクトと今回のプロジェクトは何が違うのか?」
と考えることです。
例えば、次のような違いがあります。
- メンバーが違う
- ステークホルダーが違う
- プロジェクトの規模が違う
- 納期が違う
- 技術が違う
- 組織が違う
そうであれば、最適なマネジメント方法も変わるかもしれません。
過去の経験をそのまま使うのではなく、
「このプロジェクトでは何が重要なのか?」
を考えて、経験や知識を使い分ける。
それがPMにとっての適用力だと思います。
④ 振り返ることで「経験」を「成長」に変える
プロジェクトが終わったら、それで経験が完成するわけではありません。
むしろ、ここからが重要です。
プロジェクトを振り返ります。
例えば、次のように整理します。
良かったこと
- ステークホルダーとの合意形成が早かった
- リスクを早期に発見できた
- チーム内の役割分担が明確だった
悪かったこと
- 初期計画が甘かった
- 情報共有が遅れた
- 問題への対応が後手に回った
さらに、
「なぜそうなったのか?」
まで考えます。
そして、
「次のプロジェクトではどうするか?」
という具体的な教訓に変えていきます。
これを繰り返すことで、
経験 → 振り返り → 教訓 → 次の実践
というサイクルが生まれます。
ここまでやって初めて、経験が次のPM戦闘力につながっていくのだと思います。
⑤ 必要なスキルは「実践」して身につける
振り返りをしていると、
「自分にはこのスキルが足りない」
と気づくことがあります。
例えば、
- 「ステークホルダーとの調整が苦手だった」
- 「問題を整理するのに時間がかかった」
- 「リスクへの対応が後手に回った」
のであれば、それぞれに必要な知識を学びます。
- コミュニケーションや交渉について学ぶ
- ロジカルシンキングや問題解決について学ぶ
- リスクマネジメントについて学ぶ
ここで重要なのは、学んで終わりにしないことです。
本を読む。
研修を受ける。
資格の勉強をする。
これらは基本的にインプットです。
インプットしただけでは、まだPMのスキルになったとは言えません。
学んだことを実際のプロジェクトで使ってみる。
つまり、
インプット → 実践 → アウトプット
まで行います。
これによって、知識が少しずつ自分のスキルになっていきます。
⑥ PM資格は「実務につなげて」こそ意味がある
資格についても同じです。
PM資格を取得することは、PM戦闘力の「装備」を増やすことになります。
しかし、
「資格を取ったからPMとして強くなった」
とは限りません。
資格取得のために学んだ知識を、
「この考え方は自分のプロジェクトでも使えるのでは?」
と考えて、実務で試してみる。
そこでうまくいかなければ、なぜうまくいかなかったのかを考えます。
そして、プロジェクトに合わせて方法を変えます。
この繰り返しが重要です。
資格はゴールではなく、実践するためのきっかけとして使う。
そうすることで、資格という「装備」が実際のPM戦闘力につながっていくのだと思います。
⑦ 少し難しいプロジェクトに挑戦してPMの引き出しを増やす
経験を積み、スキルを磨き、適用力を高めてきたら、次はより難しいプロジェクトに挑戦することです。
例えば、次のようなプロジェクトです。
- これまでより大規模なプロジェクト
- ステークホルダーが多いプロジェクト
- 複数ベンダーが関わるプロジェクト
- 技術的な難易度が高いプロジェクト
- 納期が厳しいプロジェクト
- 組織間の調整が難しいプロジェクト
もちろん、いきなり自分の能力を大きく超えるプロジェクトに挑戦する必要はありません。
重要なのは、
「今の自分なら何とか対応できそうだけれど、少し難しい」
くらいのプロジェクトに挑戦することです。
そこで新しい経験を積み、足りないスキルに気づき、学び、実践する。
そしてまた次の難しいプロジェクトへ進む。
この繰り返しによって、PMとしての引き出しが増えていきます。
⑧ 経験を「実績」に変える
そして、これまで積み重ねてきた経験は、やがて実績になります。
ただし、
「プロジェクトを担当しました」
だけでは、PMとしての実績とは言いにくいかもしれません。
重要なのは、
「自分が何をして、どんな価値を生み出したのか」
です。
例えば、次のようなものがあります。
- プロジェクトの目標を達成した
- 納期を守った
- コストを削減した
- 品質を改善した
- チームを育成した
- プロセスを改善した
- 再発防止の仕組みを作った
- PMの方法を標準化した
さらに、
- ○人のチームをマネジメントした
- ○か月のプロジェクトを完遂した
- ○%の工数削減につなげた
など、数字で説明できるようにしておくと、自分のPMとしての価値を客観的に伝えやすくなります。
こうして、
経験 → 実績
へと変わっていきます。
PM戦闘力を高めるために必要なのは「成長サイクル」
ここまでの話をまとめると、PM戦闘力を高める方法は次のようになります。
- 質の良い経験を積む
- 経験の中で実践する
- プロジェクトを振り返る
- 自分に足りないものを見つける
- スキルや知識を学ぶ
- 実務でアウトプットする
- 適用力を高める
- より難しいプロジェクトに挑戦する
- 経験を実績に変える
- また次のプロジェクトへ進む
このサイクルを回し続ける。
これが、PM戦闘力を高めるための基本的な考え方だと思います。
PM戦闘力は「自分を客観的に見るためのツール」
ここで、PM戦闘力という考え方の意味についても触れておきたいと思います。
PM戦闘力は、
「あなたは○○点だから優秀です」
と人を評価するためのものではありません。
むしろ、
自分のPMとしての現在地を客観的に見るためのツール
だと私は考えています。
例えば診断をして、
「経験は十分だけれど、適用力が低い」
と分かったとします。
それなら、
「過去の成功パターンをそのまま使っていないか?」
と、自分の仕事を振り返ってみる。
あるいは、
「実績はあるけれど、資格や体系的な知識が足りない」
と分かったなら、必要な知識を学んでみる。
「スキルはあるけれど、経験が足りない」
のであれば、少し難しいプロジェクトに挑戦してみる。
このように、
足りないものを見つける → 補う → 実践する
ためにPM戦闘力を使ってほしいと思っています。
PM戦闘力に「完成」はない
PMとして働いている限り、PM戦闘力に完成はありません。
経験を積めば、今まで経験したことのない問題に出会います。
スキルを身につければ、それをさらに難しい状況で使う必要が出てきます。
資格を取れば、それを実務でどう活かすかという課題が出てきます。
実績を積めば、さらに難しいプロジェクトに挑戦したくなります。
だからこそ、PMには不断の努力が必要なのだと思います。
PM戦闘力を高めるというのは、
「SランクPMになったら終わり」というゲームではありません。
自分の弱点を見つけ、それを補い、実践し、また次の課題を見つける。
この繰り返しです。
あなたのPM戦闘力を上げるために、まず何をしますか?
PM戦闘力を高めるために、特別なことを始める必要はないかもしれません。
まずは、今担当しているプロジェクトについて考えてみてください。
「このプロジェクトで、自分は何を経験しようとしているのか?」
そして、
「プロジェクトが終わったとき、何を教訓として残すのか?」
を考えてみる。
そこから、自分に足りないスキルを見つけて、学び、実践する。
そして、次は少し難しいプロジェクトに挑戦する。
そうやって一つずつ経験を積み重ねていけば、PM戦闘力は少しずつ高まっていくはずです。
あなたなら、今のPM戦闘力をさらに高めるために、まず何に取り組みますか?
まとめ:PM戦闘力は「経験→実践→振り返り」の繰り返しで高まる
PM戦闘力を高めるために、資格を取ったりスキルを学んだりすることは重要です。
しかし、それだけでPMとして強くなるわけではありません。
重要なのは、学んだことを実務で使い、経験を振り返り、次のプロジェクトに活かすことです。
PM戦闘力を高める流れをまとめると、次のようになります。
- 質の良い経験を積む
- 経験の中で実践する
- プロジェクトを振り返る
- 足りない知識やスキルを学ぶ
- 学んだことを実務で使う
- 適用力を高める
- 少し難しいプロジェクトに挑戦する
- 経験を実績に変える
- また次のプロジェクトに活かす
このサイクルを回し続けることで、PMとしての引き出しは少しずつ増えていきます。
PM戦闘力に完成はありません。
だからこそ、今の自分に足りないものを見つけ、学び、実践することが大切です。
「経験→実践→振り返り」のサイクルを、今日のプロジェクトから始めてみてはいかがでしょうか。
PM戦闘力シリーズ
- PM戦闘力とは?PMとしての強さを決める要素を考えてみた
- PM経験年数だけでは戦闘力は上がらない?経験の質が重要な理由
- PM戦闘力を高めるPMスキルとは?重要な4つのスキルを考えてみた
- PM資格は本当に必要?資格を「戦闘力の装備」として考える
- PMの実績とは何か?「トラブルを解決した」だけが実績ではない
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