まーもの考え方

PMの実績とは何か?「トラブルを解決した」だけが実績ではない

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「PMとして、どんな実績がありますか?」

転職活動などで、こう聞かれることがあります。

そのとき、あなたなら何を答えるでしょうか。

「大規模プロジェクトを成功させました」

「トラブルになったプロジェクトを立て直しました」

「○億円規模のプロジェクトを担当しました」

こうした経験は、確かに分かりやすい実績です。

特にPMの場合、トラブルが発生したプロジェクトを立て直した経験は、非常に目立つ実績になります。

しかし、私はそれだけがPMの実績ではないと考えています。

トラブルを起こさず、プロジェクトを当初の目標通りに成功させたことも、立派なPMの実績です。

では、PMにとって「実績」とは何なのでしょうか。

今回は、PM戦闘力という考え方から、PMの実績について考えてみます。

PMの実績とは「プロジェクトの目標を達成したこと」

私は、PMの実績をシンプルに考えています。

プロジェクトの開始時に掲げた目標を達成したかどうか。

これがPMの実績の基本だと思います。

例えば、プロジェクトの目標が、

  • システムを予定通りリリースする
  • 顧客の要求を満たす
  • 予算内で完成させる
  • 品質基準を満たす
  • 新しい技術を実用化する
  • 新規顧客との関係を構築する
  • 若手メンバーが自律的にプロジェクトを進められるようにする

というものであれば、それを達成することが成果になります。

つまり、

「何を達成したのか」ではなく、「そのプロジェクトで何を目標としていたのか」が重要なのです。

実績の「強さ」は目標の難易度で変わる

もちろん、目標を達成すればすべて同じ価値の実績になるわけではありません。

目標の難易度によって、実績の強さは変わります。

例えば、2人のチームで定型的なプロジェクトを予定通り完了させた。

これも立派な実績です。

一方で、

100人規模のメンバーを複数チームに分け、複数のベンダーを管理しながら、難しい顧客とのプロジェクトを成功させた。

となれば、求められるPM能力は大きく異なります。

さらに、前例のない技術を使い、成功確率が低いプロジェクトを、重大なトラブルを起こすことなく成功させた。

となれば、さらに難易度は高くなります。

だから私は、

PMの実績は「何を達成したか」だけでなく、「どれだけ難しい目標を達成したか」まで考える必要があると思っています。

なぜ「トラブルを解決した実績」は目立つのか?

では、なぜPMの実績というと、「トラブルになったプロジェクトを立て直した」という話が目立つのでしょうか。

理由は単純です。

多くの関係者の目に触れるからです。

特に大きなトラブルになると、プロジェクト内部だけの問題ではなくなります。

  • 顧客が問題を認識する
  • 上司が問題を認識する
  • 部門長が問題を認識する
  • 場合によっては、さらに上位のマネジメントまで報告される

つまり、

トラブルが大きくなるほど、そのプロジェクトを担当しているPMも目立つのです。

そこでPMがプロジェクトを立て直せば、「あのPMが問題を解決した」という評価につながります。

これは決して悪いことではありません。

実際、難しいトラブルを解決することは高いPM能力を必要とします。

しかし、ここには一つの問題があります。

「トラブルを起こさないPM」は目立たない

プロジェクトで何も問題が起きなかったとします。

  • 顧客から大きなクレームもない
  • スケジュールも遅れない
  • 予算も超過しない
  • 品質問題も起きない
  • プロジェクトメンバーも大きな不満を抱えていない
  • 予定通りプロジェクトが完了した

これはPMとして素晴らしい成果です。

しかし、周囲から見ると、「特に問題はなかった」だけに見えてしまうことがあります。

PMが、

  • リスクを事前に洗い出していた
  • ステークホルダーの認識を合わせていた
  • メンバーの不満を早期に拾っていた
  • 問題が起きる前に対策していた
  • プロジェクトで重要なポイントを見極めていた

としても、問題が起きなければ、それらの努力は見えにくくなります。

これが、PMの評価の難しいところだと思います。

「何も起きなかった」は「何もしなかった」ではない

ここは、PMの実績を考えるうえで非常に重要なポイントです。

何も起きなかった。

この結果だけを見ると、PMは何もしていなかったようにも見えます。

しかし実際には、

「何も起きないようにしていた」

可能性があります。

例えば、プロジェクト開始時にリスクを洗い出していた。

重要なステークホルダーと事前に認識を合わせていた。

メンバーが困っていることを早期に把握していた。

問題が大きくなる前にエスカレーションしていた。

こうしたPMの行動によって、トラブルが発生しなかった可能性があります。

つまり、

トラブルが起きなかったこと自体が、PMのマネジメントの成果である場合があるのです。

トラブルを解決することと、トラブルを起こさないこと

もちろん、トラブルを解決する能力は重要です。

プロジェクトでは、どれだけ準備しても予想外の問題が発生することがあります。

そのときに冷静に状況を整理し、関係者を巻き込み、解決に導くことができるPMは強いPMです。

しかし、

そもそもトラブルを発生させないこと

も同じくらい、あるいはそれ以上に重要ではないでしょうか。

顧客はトラブルを望んでいません。

プロジェクトメンバーも望んでいません。

会社も望んでいません。

それなら、

トラブルを解決できるPMより、トラブルを起こさせないPMのほうがプロジェクトにとって価値がある

と考えることもできます。

「トラブルを起こさない」は何もしないことではない

もちろん、「トラブルを起こさないPM」と言っても、「何もしなかったら問題が起きなかった」という意味ではありません。

むしろ逆です。

プロジェクトにとって何が重要なのかを見極め、その重要なポイントに対して適切なマネジメントを行う必要があります。

例えば、

あるプロジェクトでは、リスクを事前に潰すことが重要かもしれません。

別のプロジェクトでは、ステークホルダーの認識を合わせることが重要かもしれません。

また別のプロジェクトでは、メンバーの不満を早期に拾うことが重要かもしれません。

どんなプロジェクトでも同じことをすればよいわけではありません。

そのプロジェクトにとって何が重要なのかを把握し、それを実行する。

これがPMの重要な仕事だと私は考えています。

実績は「プロジェクトの規模」だけでは決まらない

PMの実績を語るとき、「何億円規模のプロジェクトを担当しました」「100人規模のプロジェクトをマネジメントしました」という説明をすることがあります。

確かに、規模は実績の強さを判断する一つの材料になります。

しかし、それだけではありません。

例えば、小さなプロジェクトでも、

  • 経験の浅いメンバーを育成しながら進める
  • 難しい顧客との関係を構築する
  • 新しい技術を扱う
  • 限られた期間で成果を出す
  • プロジェクトの進め方そのものを改善する

といった難しい目標が設定されていることがあります。

逆に、大規模プロジェクトだからといって、必ずしも難易度が高いとは限りません。

だから、

プロジェクトの規模は実績の一つの要素であって、実績そのものではない

と考えるべきだと思います。

「人を育てた」こともPMの実績になる

ここで、私自身の経験を紹介します。

ある小規模なプロジェクトで、私以外のメンバーは入社5年以内の若手が2人でした。

経験も浅く、そのままではプロジェクトを進めていくことに不安がありました。

そこで私は、プロジェクトを進めるだけではなく、

プロジェクトマネジメントそのものをメンバーに教えながら進める

ことにしました。

例えば、

  • なぜ計画段階でリスクを考えるのか
  • なぜスケジュールを立てるのか
  • なぜコミュニケーションのルールを決めるのか

といったことを説明しました。

単純に、「これをやってください」と指示するのではありません。

「なぜ、これをやる必要があるのか」まで理解してもらうことを意識しました。

結果として、プロジェクトだけでなくメンバーも成長した

このプロジェクトは、結果としてうまく進めることができました。

しかし、私が実績として特に価値があると感じているのは、それだけではありません。

プロジェクトを進める中で、若手メンバーがプロジェクトマネジメントについて理解するようになりました。

さらに、あるときメンバー自身が新しいリスクに気づき、「このリスクがあります」と自発的に伝えてくれるようになりました。

これは、プロジェクトマネジメントを教えたことが、単なる知識の習得で終わらず、メンバー自身の行動に変わったということです。

プロジェクトを成功させる。

そして、メンバーも成長させる。

私は、この両方がこのプロジェクトの成果だったと考えています。

そして、この若手メンバーの育成については、会社からも評価してもらうことができました。

「成果」はプロジェクトの目標によって変わる

この経験からも分かるように、「人を育てたことは実績なのか?」という問いに対する答えは、

プロジェクトの目標だったのであれば、実績になる

です。

例えば、「若手メンバーが自律的にプロジェクトを進められるようになる」ということをプロジェクトの目標として設定していたのであれば、それを達成したことは明確な成果です。

一方、プロジェクトの目標に含まれていないのに、「若手を育てました」とだけ言っても、それがどれだけPMとしての実績になるのかは判断しにくいでしょう。

だからこそ、

実績を考えるときには、まずプロジェクトの目標を見る

ことが重要です。

実績とは「何をやったか」ではなく「何を達成したか」

ここは、転職などでPMの実績を説明するときにも重要です。

例えば、「100人のプロジェクトをマネジメントしました」だけでは、実績としては十分ではありません。

重要なのは、

その100人のプロジェクトで何を達成したのか?

です。

例えば、

「100人規模のプロジェクトで、複数チームをマネジメントし、納期・品質・コストの目標を達成した」

となれば、かなり具体的になります。

さらに、

「複数ベンダー間の調整が課題だったが、役割とコミュニケーションルールを明確化し、納期遅延を発生させずに完了した」

となれば、

  • どんな難しさがあったのか
  • 何をしたのか
  • 何を達成したのか

まで分かります。

PMの実績を説明するときは、

プロジェクトの目標 → 難易度 → 自分の行動 → 結果

という順番で整理すると、自分の実績を伝えやすくなります。

資格と実績は役割が違う

前の記事では、資格を「装備」と表現しました。

では、実績は何でしょうか。

私は、

  • 資格=「この知識・能力を持っている」と示す装備
  • 実績=「実際にこれを成し遂げた」という証拠

だと考えています。

例えば、PMP®を持っている。

これは、一定の知識や経験を持っていることを対外的に示す材料になります。

一方、

「○○規模のプロジェクトで、○○という課題に対して○○を実施し、○○という目標を達成した」

という実績は、

実際にプロジェクトで何を成し遂げたのか

を示します。

だからこそ、PM戦闘力を高めるうえでは、

資格と実績の両方

が重要になります。

「市場で強いPM」は実績を説明できる

PMとして実力があっても、それを相手に伝えられなければ、市場では評価されにくいことがあります。

例えば転職活動で、「PMとして10年経験があります」だけでは、あなたの強さを十分に伝えられません。

しかし、

「難しいステークホルダーが関わるプロジェクトを担当し、事前にリスクと関係者の認識を整理することで、大きなトラブルを発生させずにプロジェクトを完了させた」

と説明できれば、PMとしてどのような力を持っているのかが見えてきます。

さらに、

「その経験を次のプロジェクトでも活かし、若手メンバーが自律的にリスクを発見できるようなマネジメントを実践した」

となれば、

経験 → スキル → 実績

というつながりも見えてきます。

これが、市場で評価されるPM戦闘力につながるのだと思います。

実績を作るために「目立つ仕事」をする必要はない

ここまで読むと、「では、転職で評価されるために、難しいトラブル案件を担当しなければならないのか?」と思うかもしれません。

私は、そうは思いません。

むしろ、トラブルを起こさないことも実績です。

重要なのは、

自分が担当したプロジェクトで、何を目標として掲げ、その目標をどのように達成したのか

を説明できることです。

そのためには、プロジェクト開始時から、

  • 何を成功とするのか
  • 何を目標とするのか
  • 何が難しいのか
  • 何に注意する必要があるのか

を意識しておくことが重要です。

そうすれば、プロジェクトが終わったときに、「このプロジェクトで自分は何を成し遂げたのか?」を振り返ることができます。

PMの実績は、プロジェクトが終わってから作るものではない

私は、実績はプロジェクト終了時に突然生まれるものではないと思っています。

プロジェクトの開始時に、

「このプロジェクトは何を達成すれば成功なのか?」

を明確にする。

そして、

「そのためにPMとして何をするのか?」

を考える。

プロジェクトを進める。

最後に、

「目標を達成できたのか?」

を振り返る。

この一連のプロセスによって、実績が生まれます。

だからこそ、

PMとしての実績を作ることは、プロジェクトの目標を達成することとほぼ同じ

だと私は考えています。

まとめ:PMの実績は「目立った出来事」ではなく「目標を達成した証拠」

PMの実績というと、「大規模プロジェクトを担当した」「トラブルプロジェクトを立て直した」といった、目立つ経験を思い浮かべるかもしれません。

もちろん、それらは価値のある実績です。

しかし、それだけではありません。

私は、

PMの実績とは、プロジェクトの開始時に掲げた目標を達成したこと

だと考えています。

その目標が、

  • 納期を守る
  • 品質を確保する
  • 予算を守る
  • 顧客の要求を満たす
  • 難しいステークホルダーをまとめる
  • リスクを事前に潰す
  • メンバーを育成する
  • メンバーが自律的に動けるようにする

など、何であっても構いません。

重要なのは、

そのプロジェクトにとって何が成功なのか

です。

そして、トラブルを解決したことだけが実績ではありません。

トラブルを起こさず、何事もなくプロジェクトを成功させたことも、PMにとって立派な実績です。

むしろ、その「何事もなかった」という結果の裏側で、PMがどれだけリスクを潰し、ステークホルダーと認識を合わせ、メンバーを支援していたのか。

そこにPMとしての実力が隠れているかもしれません。

だから、PMとしての実績を振り返るときには、

「私はどんなトラブルを解決したか?」

だけではなく、

「私はどんなプロジェクトの目標を達成したか?」

と考えてみてください。

もしかすると、あなたが「大した実績ではない」と思っていたプロジェクトの中にも、PMとしての大きな実績が眠っているかもしれません。

そして、その実績を言語化することが、PMとしての市場価値を高める第一歩になるのだと思います。

PM戦闘力シリーズ

ABOUT ME
まーも
はじめまして。 当ブログをご覧いただきありがとうございます。 私は EPCプロジェクトで10年間の実務経験 を積み、その後 企業研修の講師として4年目 になります。 現在は、年間300名以上の受講者に向けて、プロジェクトマネジメント研修の企画・開発・講師 を担当しています。 資格としては、 IPAプロジェクトマネージャ試験 合格 PMP®(Project Management Professional) CSM®(Certified ScrumMaster) FP2級 を取得しており、実務と理論の両面から「プロジェクトを成功に導くスキル」を伝えることを得意としています。 EPC業界で培った現場のマネジメント力と、研修講師としての教育経験を活かし、 プロジェクトを円滑に進めるための実践ノウハウ チームをまとめるコミュニケーション術 若手育成やキャリア形成のヒント などを、わかりやすく発信しています。 「現場で役立つ知識を、誰でも理解できる形で」 をモットーに、皆さまの成長と成功をサポートします。
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私は令和5年度 IPAプロジェクトマネージャ試験に合格しました。
実際に合格した経験をもとに、勉強方法やおすすめ参考書、最難関といわれる午後Ⅱ論文の対策方法を詳しく解説しています。

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