「このまま予定どおり進めるべきか、それともスケジュールを見直すべきか。」
「品質を優先するか、納期を優先するか。」
プロジェクトでは、このような判断を求められる場面が数多くあります。
そのような場面で重要になるのが意思決定(Decision Making)です。
この記事では、意思決定の意味や目的、代表的な意思決定手法、プロジェクトマネージャが意識すべきポイントについて解説します。
一言でいうと
意思決定とは、「複数の選択肢の中から、プロジェクトにとって最適な方針を選択し、実行すること」です。
意思決定とは
意思決定とは、課題や問題に対して複数の選択肢を比較し、最も適切な方針を決定する活動です。
プロジェクトでは、計画策定から終結まで、日々さまざまな意思決定が行われています。
PMBOK®︎では、意思決定はプロジェクトマネージャに必要なリーダーシップスキルの一つとして位置付けられており、状況に応じて適切な判断を行うことが求められます。
意思決定が重要な理由
プロジェクトでは、すべての情報がそろうまで待つことはできません。
意思決定が遅れると、プロジェクト全体に影響が広がる可能性があります。
例えば、次のようなケースです。
- 仕様変更の判断が遅れ、開発が停止する
- リスク対応を先送りし、問題が拡大する
- 担当者の決定が遅れ、作業開始が遅れる
プロジェクトマネージャには、「完璧な判断」をすることよりも、「適切なタイミングで判断すること」が求められます。
PMBOK®︎で紹介されている代表的な意思決定手法
全会一致(Unanimity)
参加者全員が賛成して決定する方法です。
全員の納得感は高くなりますが、時間がかかる場合があります。
多数決(Majority)
過半数の賛成によって決定する方法です。
比較的短時間で結論を出しやすい反面、少数意見への配慮も必要です。
相対多数(Plurality)
最も多くの票を集めた案を採用する方法です。
選択肢が3つ以上ある場合によく利用されます。
独裁型(Dictatorship)
責任者や権限を持つ人が最終判断を行う方法です。
迅速な判断が必要な場面では有効ですが、関係者への十分な説明が重要になります。
意思決定で意識したいポイント
目的を明確にする
何を実現するための意思決定なのかを明確にします。
目的が曖昧なままでは、適切な判断はできません。
選択肢を比較する
一つの案だけで判断せず、複数の選択肢を比較します。
コスト・品質・スケジュール・リスクなど、多角的な視点で評価することが重要です。
判断理由を共有する
決定内容だけではなく、「なぜその判断をしたのか」を関係者へ説明します。
理由を共有することで、合意形成がスムーズになります。
実務ではこんな場面で活用される
例えば、システム開発中に重要な不具合が発見されたとします。
プロジェクトマネージャは、次のような選択肢を比較します。
- 予定どおりリリースする
- リリースを延期して品質を優先する
- 重要機能だけ先に公開する
品質、納期、顧客への影響などを総合的に判断し、スポンサーや顧客とも調整したうえで最終的な意思決定を行います。
このように、プロジェクトでは正解を選ぶというよりも、状況に応じて最適解を選択することが重要です。
よくある勘違い
情報が100%そろうまで待つ必要はない
プロジェクトでは、不確実な状況で判断することが少なくありません。
十分な情報が得られた時点で判断し、その後必要に応じて見直すことも重要です。
意思決定は一人で行うものではない
最終判断はプロジェクトマネージャやスポンサーが行う場合でも、その前に関係者から情報や意見を集めることが重要です。
適切なコミュニケーションや合意形成が、より良い意思決定につながります。
プロジェクトマネージャ試験ではここが重要
IPAのプロジェクトマネージャ試験では、問題発生時の判断や意思決定のプロセスが頻繁に問われます。
午後試験では、次のような観点を説明できることが重要です。
- どのような選択肢を検討したか
- 判断基準は何だったか
- 関係者とどのように調整したか
- 意思決定後にどのような効果があったか
「判断した」と書くだけではなく、「なぜその判断が最適だったのか」を論理的に説明することが評価につながります。
PM道場のワンポイント
プロジェクトマネージャに求められるのは、「常に正しい判断をすること」ではなく、「限られた情報の中で最善の判断をすること」です。
迷っている間にも、プロジェクトは進み、状況は変化します。
そのため、必要な情報を集め、関係者と十分にコミュニケーションを取りながら、適切なタイミングで決断することが重要です。
優れたプロジェクトマネージャは、判断を先送りするのではなく、責任を持って意思決定し、その理由を丁寧に説明しています。
関連用語
- 合意形成
- ネゴシエーション
- ファシリテーション
- コミュニケーションマネジメント
- ステークホルダー
- エスカレーション
- リーダーシップ
- スポンサー
まとめ
意思決定とは、複数の選択肢の中から、プロジェクトにとって最適な方針を選択し、実行する活動です。
重要なのは、完璧な情報を待つことではなく、目的や状況を踏まえて適切なタイミングで判断することです。
プロジェクトマネージャにとって、意思決定はプロジェクトを前へ進めるための最も重要な役割の一つと言えるでしょう。
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よくある質問(FAQ)
Q. 意思決定とは何ですか?
A. 複数の選択肢を比較し、プロジェクトにとって最適な方針を選択して実行することです。
Q. PMBOK®︎ではどのような意思決定手法がありますか?
A. 全会一致、多数決、相対多数、独裁型などの意思決定手法が紹介されています。
Q. 良い意思決定を行うために重要なことは何ですか?
A. 目的を明確にし、複数の選択肢を比較し、判断理由を関係者へ共有することが重要です。
私は令和5年度 IPAプロジェクトマネージャ試験に合格しました。
実際に合格した経験をもとに、勉強方法やおすすめ参考書、最難関といわれる午後Ⅱ論文の対策方法を詳しく解説しています。
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