「プロジェクトでは、もっとコミュニケーションを取るべきだ。」
プロジェクトでよく聞く言葉ですが、本当に重要なのはコミュニケーションの量ではありません。
重要なのは、必要な情報を、必要な人へ、必要なタイミングで届ける仕組みを作ることです。
この仕組みづくりをコミュニケーションマネジメント(Communications Management)と呼びます。
この記事では、コミュニケーションマネジメントの意味や目的、PMBOK®︎における考え方、実務で活用するポイントについて解説します。
一言でいうと
コミュニケーションマネジメントとは、「プロジェクトで必要な情報を、適切な相手へ、適切な方法・タイミングで届ける仕組みを設計・運用する活動」です。
コミュニケーションマネジメントとは
コミュニケーションマネジメントとは、プロジェクトで必要となる情報の収集・作成・共有・保管・活用を計画し、実行・管理する活動です。
PMBOK®︎では、単に「会話を増やすこと」ではなく、情報共有の仕組みを設計することが重視されています。
例えば、次のようなことを決めます。
- 誰が誰へ情報を共有するのか
- 何を共有するのか
- いつ共有するのか
- どの手段で共有するのか
- 誰が承認するのか
これらを明確にすることで、情報共有漏れや認識のズレを防ぐことができます。
コミュニケーションマネジメントが重要な理由
プロジェクトの失敗原因として最も多いものの一つが、コミュニケーション不足ではなく、コミュニケーションの設計不足です。
例えば、次のような問題があります。
- 進捗報告の頻度が人によって異なる
- 重要な決定事項が一部のメンバーしか知らない
- 最新版ではない資料で作業してしまう
- 顧客への報告タイミングが遅れる
情報共有のルールが決まっていないと、小さな認識の違いが大きなトラブルにつながります。
そのため、プロジェクト開始時にコミュニケーションを設計しておくことが重要です。
PMBOK®︎におけるコミュニケーションマネジメント
PMBOK®︎では、コミュニケーションマネジメントは次のプロセスで構成されています。
| プロセス | 概要 |
|---|---|
| コミュニケーションマネジメントの計画 | 情報共有方法やルールを決める |
| コミュニケーションのマネジメント | 計画に沿って情報を共有する |
| コミュニケーションの監視 | 情報共有が適切に行われているか確認する |
計画・実行・改善を繰り返すことで、プロジェクト全体の情報共有品質を高めます。
コミュニケーションマネジメント計画書とは
コミュニケーションマネジメント計画書は、情報共有のルールをまとめた文書です。
一般的には次のような内容を記載します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 共有する情報 | 進捗、課題、リスク、品質など |
| 共有先 | スポンサー、顧客、チームなど |
| 共有頻度 | 毎日・毎週・毎月など |
| 共有方法 | 会議、メール、チャット、管理ツールなど |
| 責任者 | 情報作成者・承認者 |
この計画書によって、「誰が何を共有するのか」が明確になります。
実務ではこんな場面で活用される
例えば、20名規模のシステム開発プロジェクトでは、毎日全員が自由に情報共有すると、必要な情報が埋もれてしまいます。
そこで、コミュニケーションマネジメントとして次のようなルールを決めます。
- 毎朝15分の進捗確認ミーティングを実施する
- 課題は課題管理表へ登録する
- リスクは週次会議で確認する
- 仕様変更はメールではなく変更管理会議で承認する
- スポンサーへは月次報告を実施する
このように情報共有を標準化することで、認識違いや伝達漏れを防ぐことができます。
よくある勘違い
コミュニケーション量を増やせばよいわけではない
会議やチャットを増やしても、必要な情報が適切な相手へ届かなければ意味がありません。
重要なのは、情報共有の目的と方法を設計することです。
コミュニケーション能力だけの問題ではない
「話すのが苦手だからPMに向いていない」と考える人もいます。
しかし、優れたプロジェクトマネージャに必要なのは話術ではありません。
情報共有の仕組みを設計する力です。
適切なルールや仕組みがあれば、個人のコミュニケーション能力に頼らなくても、プロジェクトは円滑に進められます。
プロジェクトマネージャ試験ではここが重要
IPAのプロジェクトマネージャ試験では、関係者との情報共有や調整方法が頻繁に問われます。
午後試験では、次の観点を具体的に説明できることが重要です。
- 誰へどのような情報を共有したか
- 共有方法を選択した理由
- 共有頻度をどのように決めたか
- 情報共有によってどのような効果があったか
単に「定例会議を実施した」と書くのではなく、「情報共有の仕組みを設計した」ことまで説明できると評価が高くなります。
PM道場のワンポイント
コミュニケーションマネジメントとは、「話し上手になること」ではなく、「情報共有を仕組み化すること」です。
私は企業研修でも、「PMに必要なのはコミュニケーション能力ではなく、コミュニケーションを設計する力」とお伝えしています。
会議の目的、報告ルール、エスカレーション方法、情報共有ツールなどをあらかじめ決めておけば、チームは迷わず行動できます。
優れたプロジェクトマネージャは、人に頼るのではなく、仕組みによってコミュニケーションを円滑にしています。
関連用語
- コミュニケーションマネジメント計画書
- ステークホルダー
- エスカレーション
- キックオフミーティング
- 報告
- 課題(Issue)
- リスク(Risk)
- ステークホルダーエンゲージメント
まとめ
コミュニケーションマネジメントとは、必要な情報を、適切な相手へ、適切なタイミング・方法で届ける仕組みを設計・運用する活動です。
プロジェクト成功の鍵は、コミュニケーション量ではなく、情報共有の質にあります。
情報共有を個人の能力に任せるのではなく、チーム全体が迷わず行動できる仕組みを作ることが、優れたプロジェクトマネージャの重要な役割です。
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- エスカレーションとは?
- キックオフミーティングとは?
- リスクマネジメントとは?
- 課題(Issue)とは?
- ステークホルダーエンゲージメントとは?
よくある質問(FAQ)
Q. コミュニケーションマネジメントとは何ですか?
A. プロジェクトで必要な情報を、適切な相手へ、適切な方法・タイミングで共有する仕組みを計画・運用する活動です。
Q. コミュニケーションマネジメント計画書には何を書きますか?
A. 共有する情報、共有先、共有頻度、共有方法、責任者など、情報共有のルールを記載します。
Q. コミュニケーション能力が高くないとプロジェクトマネージャは務まりませんか?
A. いいえ。重要なのは話術ではなく、情報共有を仕組みとして設計・運用する力です。
私は令和5年度 IPAプロジェクトマネージャ試験に合格しました。
実際に合格した経験をもとに、勉強方法やおすすめ参考書、最難関といわれる午後Ⅱ論文の対策方法を詳しく解説しています。
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