「もし重要なメンバーが離脱したら、どう対応しますか?」
「もしシステム障害が発生した場合、誰が何をするのでしょうか?」
プロジェクトでは、事前にリスクを洗い出していても、実際に問題が発生する可能性があります。
そのような不測の事態に備え、あらかじめ対応方法を決めておく計画がコンティンジェンシープラン(Contingency Plan)です。
この記事では、コンティンジェンシープランの意味や目的、作成方法、リスク対応計画との違い、実務での活用方法について解説します。
一言でいうと
コンティンジェンシープランとは、「リスクが実際に発生した場合に備えて、あらかじめ決めておく対応計画」です。
コンティンジェンシープランとは
コンティンジェンシープランとは、特定のリスクが発生した場合に、どのような対応を行うかを事前に定めた計画です。
リスクマネジメントでは、リスクを完全になくすことはできません。
そのため、
- リスクが発生した場合に何をするか
- 誰が対応するか
- どのタイミングで対応を開始するか
- どのような判断が必要か
を事前に決めておきます。
PMBOK®︎では、リスク対応を計画する際に、リスクが発生した場合の対応策としてコンティンジェンシープランを準備します。
コンティンジェンシープランが重要な理由
問題が発生した後に対応方法を考えると、判断や対応が遅れる可能性があります。
例えば、以下のようなケースです。
- 担当者が不在になり、作業を引き継げない
- システム障害発生時に対応窓口が決まっていない
- 納期遅延が発生してから対応策を検討する
このような状況では、混乱が発生し、さらに大きな影響につながる可能性があります。
コンティンジェンシープランを準備しておくことで、発生時に迅速な対応が可能になります。
コンティンジェンシープランとリスク対応計画の違い
コンティンジェンシープランは、リスク対応計画の一部として扱われることがあります。
| 項目 | リスク対応計画 | コンティンジェンシープラン |
|---|---|---|
| 目的 | リスクへの対応方針を決める | リスク発生後の具体的な行動を決める |
| タイミング | リスク発生前 | リスク発生時 |
| 内容 | 回避・軽減・転嫁などの戦略 | 担当者・手順・判断基準など |
例えば、
リスク:重要メンバーが離脱する可能性がある
リスク対応:複数人が対応できるように知識共有を進める
コンティンジェンシープラン:離脱した場合は、予備メンバーを投入し、○日以内に引き継ぎを完了する
というように整理できます。
コンティンジェンシープランの作成方法
1. 対象となるリスクを選定する
すべてのリスクに対して詳細な計画を作成する必要はありません。
影響度が大きく、発生した場合に迅速な対応が必要なリスクを対象にします。
2. 発動条件(トリガー)を決める
コンティンジェンシープランでは、「いつ実行するか」を明確にすることが重要です。
この判断基準をリスクトリガー(Risk Trigger)と呼びます。
例:
- 予定日から3日以上遅延した場合
- 品質不良が一定数を超えた場合
- 主要メンバーが離脱した場合
3. 対応内容と担当者を決める
発生時の混乱を防ぐため、具体的な行動を決めます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応責任者 | 誰が判断するか |
| 対応内容 | 何を実施するか |
| 期限 | いつまでに対応するか |
| 連絡先 | 誰へ共有するか |
実務ではこんな場面で活用される
例えば、プロジェクトの主要メンバーが長期間参加できなくなるリスクを考えます。
事前に以下のようなコンティンジェンシープランを準備します。
- 副担当者を設定する
- 重要資料を共有フォルダへ保存する
- 定期的に知識共有を行う
- 離脱時は副担当者へ引き継ぐ
- 必要に応じて追加要員を依頼する
このように、発生後の行動を事前に決めることで、プロジェクトへの影響を抑えることができます。
よくある勘違い
コンティンジェンシープランは「悲観的な計画」ではない
コンティンジェンシープランを作成すると、「問題が起きる前提で考えている」と感じる人もいます。
しかし、目的は問題を予測して悲観することではありません。
不確実な状況でも、冷静に対応できる準備を整えることが目的です。
すべてのリスクに作成する必要はない
すべてのリスクへ詳細な計画を作成すると、管理負荷が大きくなります。
影響度や発生可能性を考慮し、重要なリスクに絞って作成することが重要です。
プロジェクトマネージャ試験ではここが重要
IPAのプロジェクトマネージャ試験では、リスク発生時の対応判断や危機管理が重要なテーマになります。
論文では、以下の観点を説明できることが重要です。
- どのようなリスクを想定したか
- なぜ事前に対応計画を準備したか
- どのような発動条件を設定したか
- 発生後にどのような対応を行ったか
単に「リスク対応を準備した」と書くのではなく、「発生時の混乱を防ぐために、事前に判断基準と行動を明確化した」と説明できることが重要です。
PM道場のワンポイント
コンティンジェンシープランは、問題が発生した時に慌てないための「未来への準備」です。
優れたプロジェクトマネージャは、問題が起きないようにするだけではなく、起きた場合にもプロジェクトを継続できる仕組みを作っています。
特に重要なのは、計画書を作成することではありません。
「誰が」「いつ」「どの条件で」「何をするか」を明確にしておくことです。
リスクをゼロにできないからこそ、発生後の対応力を高めることがプロジェクト成功につながります。
関連用語
- リスク(Risk)
- リスクマネジメント
- リスク対応
- リスク登録簿(Risk Register)
- リスクトリガー
- コンティンジェンシー予備
- 課題(Issue)
- エスカレーション
まとめ
コンティンジェンシープランとは、リスクが発生した場合に備えて、事前に対応方法を決めておく計画です。
重要なのは、問題発生後に慌てて対応するのではなく、あらかじめ判断基準や行動を明確にしておくことです。
プロジェクトマネージャには、不確実性をなくす力だけではなく、不確実性に備える力が求められます。
コンティンジェンシープランは、そのための重要なマネジメント手法です。
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- リスク対応とは?
- リスク登録簿(Risk Register)とは?
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よくある質問(FAQ)
Q. コンティンジェンシープランとは何ですか?
A. リスクが発生した場合に備えて、事前に対応方法を決めておく計画です。
Q. リスク対応計画との違いは何ですか?
A. リスク対応計画は対応方針を決めるもの、コンティンジェンシープランは発生時の具体的な行動を決めるものです。
Q. すべてのリスクにコンティンジェンシープランは必要ですか?
A. いいえ。影響度が大きく、発生時に迅速な対応が必要な重要リスクを対象に作成します。
私は令和5年度 IPAプロジェクトマネージャ試験に合格しました。
実際に合格した経験をもとに、勉強方法やおすすめ参考書、最難関といわれる午後Ⅱ論文の対策方法を詳しく解説しています。
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