プロジェクトマネジメント用語集

ファストトラッキング(Fast Tracking)とは?クラッシングとの違いを初心者向けにわかりやすく解説

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「納期を短縮してください。」

プロジェクトでは、このような要望を受けることがあります。

しかし、人員を増やすだけでは対応できないケースも少なくありません。

そのようなときに検討されるスケジュール短縮手法の一つがファストトラッキング(Fast Tracking)です。

この記事では、ファストトラッキングの意味や考え方、クラッシングとの違い、実務での活用方法までわかりやすく解説します。

一言でいうと

ファストトラッキングとは、「本来は順番に実施する作業を、並行して進めることでプロジェクト期間を短縮する手法」です。

ファストトラッキングとは

ファストトラッキング(Fast Tracking)は、スケジュール圧縮技法の一つです。

通常は前のアクティビティが完了してから開始する後続作業を、一部重ねて実施することで、プロジェクト全体の期間を短縮します。

PMBOKでは、クラッシングと並ぶ代表的なスケジュール圧縮技法として位置付けられています。

ファストトラッキングの具体例

例えば、システム開発では「基本設計 → 詳細設計 → 開発」という順番で進めることが一般的です。

しかし、基本設計がすべて完了するのを待たずに、完成した機能から詳細設計や開発を開始することで、プロジェクト全体の期間を短縮できます。

通常 ファストトラッキング
設計完了 → 開発開始 設計途中から開発開始

このように、作業を重ねて進めることがファストトラッキングです。

ファストトラッキングのメリット

  • 追加コストを抑えながら納期を短縮できる
  • リソースを増やさなくても実施できる場合がある
  • クリティカルパスを短縮できる可能性がある

ファストトラッキングのデメリット

  • 手戻りが発生しやすい
  • 品質低下のリスクが高まる
  • 変更管理が難しくなる
  • 関係者間のコミュニケーションがより重要になる

ファストトラッキングとクラッシングの違い

項目 ファストトラッキング クラッシング
方法 作業を並行実施する リソースを追加する
増えるもの リスク コスト
代表例 設計途中から開発開始 人員を追加する

ファストトラッキングは「リスクを取って時間を短縮する」、クラッシングは「コストをかけて時間を短縮する」という違いがあります。

実務ではこんな場面で活用される

例えば、システム開発で100画面ある場合、すべての画面設計が終わるまで待つのではなく、完成した画面から順番に開発を開始することがあります。

また、テストケースの作成も、設計書が完成した部分から進めることで、後半工程の負荷を分散できます。

このように、依存関係を見極めながら並行作業を取り入れることで、納期短縮を図ります。

よくある勘違い

ファストトラッキングは「何でも並行作業にする」ことではない

依存関係が強い作業を無理に並行実施すると、大きな手戻りにつながる可能性があります。

どの作業なら並行できるかを慎重に判断することが重要です。

リードと同じ意味ではない

リードはアクティビティ間の前倒し時間を表すスケジュール上の設定です。

一方、ファストトラッキングは、そのリードなどを活用してプロジェクト全体を短縮するスケジュール圧縮手法です。

プロジェクトマネージャ試験ではここが重要

IPAのプロジェクトマネージャ試験では、クラッシングとの違いや、ファストトラッキングによるリスク増加について理解していることが重要です。

午後試験では、「納期短縮のために並行作業を採用した理由」と、「増加したリスクに対してどのような対策を講じたか」を説明できると評価につながります。

PM道場のワンポイント

ファストトラッキングは「早く進める技術」ではなく、「リスクを管理する技術」です。並行作業を行えば、確かに納期は短縮できます。しかし、前工程で仕様変更が発生すると、後工程の作業をやり直さなければならない可能性があります。

つまり、ファストトラッキングとは「時間を短縮する代わりに、手戻りリスクを受け入れる」という意思決定でもあります。

優れたプロジェクトマネージャは、ただ並行作業を増やすのではなく、「どこなら手戻りが許容できるか」「どこは絶対に順番を守るべきか」を見極めています。

納期短縮だけを目的にするのではなく、リスクとのバランスを考えることが成功への鍵です。

関連用語

  • クラッシング
  • リード
  • ラグ
  • クリティカルパス
  • ネットワーク図
  • PDM(プレシデンスダイアグラム法)
  • アクティビティ
  • スケジュールベースライン

まとめ

ファストトラッキングとは、本来は順番に実施する作業を並行して進めることで、プロジェクト期間を短縮するスケジュール圧縮技法です。

追加コストを抑えられる一方で、手戻りや品質低下などのリスクが高まるため、慎重な判断が求められます。

重要なのは、「早く進めること」ではなく、「どのリスクなら受け入れられるか」を見極めながらプロジェクトを進めることです。


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  • クラッシングとは?
  • リードとは?
  • クリティカルパスとは?
  • ネットワーク図とは?

よくある質問(FAQ)

Q. ファストトラッキングとは何ですか?

A. 本来は順番に実施する作業を並行して進めることで、プロジェクト期間を短縮する手法です。

Q. クラッシングとの違いは何ですか?

A. ファストトラッキングは並行作業によって期間を短縮する手法で、リスクが増加します。一方、クラッシングはリソースを追加して期間を短縮する手法で、コストが増加します。

Q. ファストトラッキングはどのようなプロジェクトでも利用できますか?

A. 利用できますが、依存関係が強い作業では手戻りリスクが高くなるため、適用できる範囲を慎重に判断する必要があります。

ABOUT ME
まーも
はじめまして。 当ブログをご覧いただきありがとうございます。 私は EPCプロジェクトで10年間の実務経験 を積み、その後 企業研修の講師として4年目 になります。 現在は、年間300名以上の受講者に向けて、プロジェクトマネジメント研修の企画・開発・講師 を担当しています。 資格としては、 IPAプロジェクトマネージャ試験 合格 PMP®(Project Management Professional) CSM®(Certified ScrumMaster) FP2級 を取得しており、実務と理論の両面から「プロジェクトを成功に導くスキル」を伝えることを得意としています。 EPC業界で培った現場のマネジメント力と、研修講師としての教育経験を活かし、 プロジェクトを円滑に進めるための実践ノウハウ チームをまとめるコミュニケーション術 若手育成やキャリア形成のヒント などを、わかりやすく発信しています。 「現場で役立つ知識を、誰でも理解できる形で」 をモットーに、皆さまの成長と成功をサポートします。
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