「KPIとは何だろう?」
「プロジェクトマネジメントでは、どのようにKPIを使うの?」
プロジェクトの進捗や成果を管理していると、KPI(Key Performance Indicator)という言葉が登場します。
KPIとは、目標を達成するための進捗やパフォーマンスを測定する重要な指標です。
プロジェクトでは、スケジュール、コスト、品質、成果物、チームなど、さまざまな側面をKPIによって測定することがあります。
特にPMBOK®第7版では、測定パフォーマンス・ドメインが設けられており、プロジェクトのパフォーマンスを測定し、その結果を意思決定につなげることが重視されています。
この記事では、KPIの意味やKGIとの違い、プロジェクトにおける具体例、設定するときのポイントについて解説します。
一言でいうと
KPIとは、目標達成に向けたプロジェクトのパフォーマンスや進捗を測定するための重要な指標です。
例えば、「プロジェクトを予定どおり完了する」という目標がある場合、
- スケジュール進捗率
- マイルストーン達成率
- 遅延タスク数
などをKPIとして設定することができます。
KPIを見ることで、「目標に向かって順調に進んでいるのか」を客観的に判断しやすくなります。
KPIとは
KPIは、英語のKey Performance Indicatorの略です。
日本語では一般的に「重要業績評価指標」と訳されます。
KPIのポイントは、「何でも測定すればよい」というものではないことです。
プロジェクトには非常に多くの情報があります。
しかし、そのすべてを測定しても、プロジェクトマネージャが適切な判断をできるとは限りません。
そこで、目標達成に重要な指標を選んで継続的に測定することが重要になります。
KGIとKPIの違い
KPIと一緒に使われることが多い言葉にKGI(Key Goal Indicator)があります。
| 項目 | KGI | KPI |
|---|---|---|
| 意味 | 重要目標達成指標 | 重要業績評価指標 |
| 役割 | 最終的な目標の達成状況を確認する | 目標達成に向けた進捗や状態を確認する |
| 視点 | 最終的な成果 | 途中のパフォーマンス |
簡単に考えると、
KGI=最終的に何を達成したいのか
KPI=そこに向かって順調に進んでいるのか
という違いです。
プロジェクトでKPIを使う理由
プロジェクトでは、完成するまで成果が分からないという状況を避ける必要があります。
例えば、6か月後にシステムをリリースするプロジェクトがあるとします。
6か月後になって初めて「予定より遅れていました」と分かるのでは遅すぎます。
そこで、途中の段階でKPIを測定します。
例えば、
- 予定作業に対する完了率
- マイルストーン達成率
- スケジュールの遅延日数
- 予算消化率
- 不具合件数
などを確認します。
これによって、問題が大きくなる前に状況を把握し、必要な対応を取ることができます。
プロジェクトにおけるKPIの具体例
スケジュールに関するKPI
- スケジュール進捗率
- マイルストーン達成率
- 遅延タスク数
- 予定工数と実績工数の差
スケジュールについてKPIを設定することで、プロジェクトが計画どおり進んでいるのかを確認できます。
コストに関するKPI
- 予算消化率
- 予算と実績コストの差
- コスト超過額
- CPI
特にEVM(アーンド・バリュー・マネジメント)では、CPI(Cost Performance Index)などの指標を利用してコストパフォーマンスを評価します。
品質に関するKPI
- 不具合件数
- 重大不具合件数
- テスト消化率
- テスト合格率
- 不具合修正率
品質についてKPIを設定することで、成果物が求められる品質に近づいているのかを確認できます。
チームに関するKPI
- 作業完了率
- 予定工数と実績工数の差
- レビュー完了率
- 課題の解決件数
ただし、チームに関するKPIは、メンバーを単純に数値で評価するためだけに使わないことが重要です。
数字だけを追いかけることで、品質を犠牲にして作業件数を増やすなど、望ましくない行動を誘発する可能性があります。
KPIとKRIの違い
リスクマネジメントでは、KPIと似た言葉としてKRI(Key Risk Indicator)が使われることがあります。
KPIが目標達成に向けたパフォーマンスを測定する指標であるのに対し、KRIはリスクの兆候を把握するための指標です。
例えば、プロジェクトで「要員不足」がリスクになっている場合、
- 未充足ポジション数
- 必要要員に対する不足人数
- 重要ポジションの欠員期間
などをKRIとして設定することが考えられます。
KPIを設定するときのポイント
1.プロジェクトの目標と関連付ける
まず、何を達成したいのかを明確にします。
目標と関係のない指標をKPIにしても、プロジェクトの成功にはつながりません。
2.測定できる指標にする
KPIは、できるだけ客観的に測定できるものにします。
例えば、
「品質を良くする」
では測定が難しいため、
「重大不具合を0件にする」
など、具体的な指標にします。
3.多すぎるKPIを設定しない
KPIは多ければよいというものではありません。
大量の指標を毎週確認することになると、重要な情報が埋もれてしまいます。
本当に意思決定に必要な指標に絞ることが重要です。
4.測定するだけで終わらせない
KPIの最も重要なポイントは、測定結果を意思決定やアクションにつなげることです。
例えば、スケジュール進捗率が基準を下回った場合、
- 原因を分析する
- 影響を確認する
- 対策を検討する
- 必要に応じて計画を変更する
といった行動につなげます。
「測ること」が目的ではなく、「測って判断すること」が目的です。
KPIの目標値と許容範囲
KPIを有効に使うためには、単に数値を測定するだけでなく、どの程度なら問題ないのかを決めておくことも重要です。
例えば、スケジュールの遅延日数について、
- 0~2日:問題なし
- 3~5日:注意
- 6日以上:対策検討
というように基準を設定します。
こうすることで、KPIの数値を見たときに、どのような対応が必要なのかを判断しやすくなります。
KPIと測定パフォーマンス・ドメイン
PMBOK®第7版では、8つのパフォーマンスドメインの一つとして測定パフォーマンス・ドメインがあります。
測定パフォーマンス・ドメインでは、プロジェクトの状況やパフォーマンスを測定し、その結果を分析して意思決定につなげることが重視されています。
KPIは、この考え方と非常に相性のよい指標です。
例えば、
KPIを設定する
↓
実績を測定する
↓
目標や基準と比較する
↓
差異や傾向を分析する
↓
必要な意思決定・対応を行う
という流れです。
このように、KPIは単なる管理指標ではなく、プロジェクトの状況を把握し、適切な行動につなげるための道具として活用できます。
プロジェクトマネージャ試験ではここが重要
プロジェクトマネージャ試験では、単に「KPIとは重要業績評価指標である」と覚えるだけではなく、測定した結果をどのようにプロジェクト管理に活用するのかを理解しておくことが重要です。
特に重要なのは、
「指標を測定する → 状況を評価する → 必要な対応を判断する」
という流れです。
例えば、KPIが目標値を下回ったからといって、すぐに対策を実施するとは限りません。
まず原因や影響を分析し、必要な対応を検討します。
数値そのものだけを見るのではなく、その数値が何を意味しているのかを考えることがプロジェクトマネージャには求められます。
よくある勘違い
KPIは目標そのものではない
KPIは、目標達成に向けたパフォーマンスを測定するための指標です。
例えば「6月末までにシステムをリリースする」が最終的な目標であれば、スケジュール進捗率などがKPIになります。
KPIは多ければよいわけではない
指標を増やしすぎると、重要な情報が分かりにくくなります。
プロジェクトの意思決定に本当に必要な指標を選ぶことが重要です。
KPIの数値だけでプロジェクトを判断しない
KPIはプロジェクトの状況を把握するための重要な情報ですが、数値だけですべてを判断できるわけではありません。
例えば、進捗率が高くても、重大な品質問題が残っている可能性があります。
複数の観点からプロジェクトを評価することが重要です。
PM道場のワンポイント
KPIは「プロジェクトの健康診断」のようなものと考えると分かりやすいでしょう。
健康診断では、体温や血圧などを測定します。
しかし、数字を測ること自体が目的ではありません。
数値から状態を判断し、必要であれば生活習慣を改善したり、医師に相談したりします。
プロジェクトのKPIも同じです。
「測る → 状態を判断する → 行動する」
このサイクルを回すことが重要です。
プロジェクトマネージャにとって、KPIは「管理するための数字」ではなく、プロジェクトの状態を把握し、意思決定するための情報と考えるとよいでしょう。
関連用語
- パフォーマンスドメイン
- 測定パフォーマンス・ドメイン
- KGI
- KRI
- EVM
- EV
- PV
- AC
- CPI
- SPI
- BAC
- 品質メトリクス
- プロジェクトマネジメント計画書
まとめ
KPI(Key Performance Indicator)とは、目標達成に向けたプロジェクトのパフォーマンスや進捗を測定するための重要な指標です。
プロジェクトでは、スケジュール、コスト、品質、チームなど、さまざまなKPIを設定できます。
ただし、KPIは数値を測定すること自体が目的ではありません。
「測定する → 分析する → 判断する → 必要な行動を取る」という流れにつなげることが重要です。
また、KPIはKGIやKRIと組み合わせて理解すると、より分かりやすくなります。
- KGI:最終的に何を達成するのか
- KPI:そこに向けて順調に進んでいるのか
- KRI:リスクの兆候が出ていないか
PMBOK®第7版の測定パフォーマンス・ドメインにおいても、プロジェクトの状況を測定し、その情報を意思決定につなげることが重要です。
そのためKPIは、プロジェクトの状況を客観的に把握し、適切な意思決定を行うための重要な道具といえるでしょう。
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- 品質メトリクスとは?
よくある質問(FAQ)
Q. KPIとは何ですか?
A. KPIはKey Performance Indicatorの略で、日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれます。目標達成に向けたプロジェクトのパフォーマンスや進捗を測定するための重要な指標です。
Q. KPIとKGIの違いは何ですか?
A. KGIは最終的な目標の達成状況を示す指標で、KPIはその目標に向かう途中のパフォーマンスや進捗を測定する指標です。
Q. プロジェクトではどのようなKPIを使いますか?
A. スケジュール進捗率、マイルストーン達成率、予算消化率、不具合件数、テスト合格率、CPI、SPIなど、プロジェクトの目的や状況に応じてさまざまなKPIを設定できます。
Q. KPIはたくさん設定したほうがよいですか?
A. いいえ。KPIを増やしすぎると重要な情報が埋もれてしまいます。プロジェクトの意思決定に必要な重要な指標に絞ることが大切です。
Q. KPIを測定するだけでよいですか?
A. いいえ。KPIは測定することが目的ではありません。測定結果を分析し、プロジェクトの状況を評価して、必要な意思決定や対応につなげることが重要です。
Q. KPIとEVMは関係ありますか?
A. はい。EVMでは、CPIやSPIなどの指標を利用してコストやスケジュールのパフォーマンスを評価します。これらはプロジェクトの状態を客観的に把握するための指標として活用できます。
私は令和5年度 IPAプロジェクトマネージャ試験に合格しました。
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