「プロジェクトは予定どおり進んでいるのだろうか。」
「予算は使いすぎていないだろうか。」
進捗だけを見ても、コストだけを見ても、プロジェクトの本当の状況は分かりません。
そこで活用されるのがEVM(Earned Value Management:アーンド・バリュー・マネジメント)です。
EVMは、スケジュールとコストを同時に管理できるPMBOK®︎推奨の管理手法です。
この記事では、EVMの基本と、EV・PV・AC・CPI・SPI・BACについてまとめて解説します。
一言でいうと
EVMとは、「進捗・コスト・計画を数値で比較し、プロジェクトの健全性を客観的に評価する管理手法」です。
EVMとは
EVMは、実際に完了した作業量(出来高)を基準として、計画と実績を比較する管理手法です。
通常の進捗管理では「50%完了」という情報しか分かりませんが、EVMでは「予定より遅れているのか」「予算を超過しているのか」まで把握できます。
PMBOK®︎では、コスト・パフォーマンスとスケジュール・パフォーマンスを管理する代表的な手法として紹介されています。
EVMで使用する6つの重要な用語
① EV(Earned Value:出来高)
実際に完了した作業を金額で表した値です。
例えば、予算100万円の作業が50%完了した場合、EVは50万円になります。
計算式
EV = 完了率 × BAC
② PV(Planned Value:計画価値)
計画上、この時点で完了しているはずの作業額です。
コストベースラインをもとに算出されます。
計画どおり進んでいれば、EVとPVは一致します。
③ AC(Actual Cost:実コスト)
実際に支出した費用です。
人件費や外注費など、実際に発生したコストを表します。
④ CPI(Cost Performance Index:コスト効率指数)
コスト効率を表す指標です。
計算式
CPI = EV ÷ AC
| CPI | 意味 |
|---|---|
| 1.0 | 計画どおり |
| 1より大きい | 予算より効率的 |
| 1より小さい | 予算超過 |
⑤ SPI(Schedule Performance Index:スケジュール効率指数)
スケジュール効率を表す指標です。
計算式
SPI = EV ÷ PV
| SPI | 意味 |
|---|---|
| 1.0 | 計画どおり |
| 1より大きい | 予定より早い |
| 1より小さい | 予定より遅れている |
⑥ BAC(Budget at Completion:完成時総予算)
プロジェクト全体の承認済み予算です。
EVMでは、EVや将来予測の計算基準として利用されます。
BACは、プロジェクト開始時に設定されるコストベースラインの総額と考えると理解しやすいでしょう。
EVMのイメージ
| 指標 | 内容 |
|---|---|
| PV | 本来ここまで進んでいる予定 |
| EV | 実際に完了した成果 |
| AC | 実際に使った費用 |
この3つを比較することで、プロジェクトの状況を客観的に把握できます。
実務ではこんな場面で活用される
例えば、BACが1,000万円のプロジェクトで、3か月経過した時点の状況が次のとおりだったとします。
- PV:600万円
- EV:500万円
- AC:550万円
この場合、
- CPI=500÷550=0.91
- SPI=500÷600=0.83
となります。
つまり、予定より遅れており、さらに予算効率も悪化していることが分かります。
この結果をもとに、人員の再配置やスケジュール見直しなどの対策を検討します。
よくある勘違い
進捗率とEVは同じではない
進捗率は作業量の割合ですが、EVは金額換算した出来高です。
EVMでは金額ベースで管理することが特徴です。
CPIやSPIは1に近いほど良い
どちらも「1」が計画どおりです。
1未満なら改善が必要であり、1を大きく上回る場合も、計画自体が適切だったかを確認する必要があります。
プロジェクトマネージャ試験ではここが重要
IPAのプロジェクトマネージャ試験やPMP®試験では、EVMは頻出テーマです。
午後試験では、次のような内容を説明できることが重要です。
- EV・PV・ACの意味
- CPI・SPIの読み取り方
- コスト超過や遅延への対応
- EVMを活用したプロジェクト管理
計算問題だけでなく、「数値からどのような状況を判断するか」が問われることも多いため、意味まで理解しておくことが重要です。
PM道場のワンポイント
EVMは、「数字を計算すること」が目的ではありません。
目的は、問題を早期に発見し、プロジェクトを立て直すことです。
優れたプロジェクトマネージャは、CPIやSPIが悪化した理由を分析し、次のアクションにつなげています。
「計算するPM」ではなく、「数字から判断できるPM」になることが重要です。
関連用語
- コストマネジメント
- コストベースライン
- 予算
- 見積もり
- スケジュールベースライン
- マイルストーン
- クリティカルパス
- 進捗管理
まとめ
EVMとは、進捗・コスト・計画を金額ベースで比較し、プロジェクトの状況を客観的に把握する管理手法です。
EV・PV・ACを基礎として、CPIやSPIを活用することで、コスト超過やスケジュール遅延を早期に発見できます。
プロジェクトマネージャにとって、EVMはプロジェクトを数値で「見える化」し、適切な意思決定を支える重要なマネジメント手法と言えるでしょう。
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- コストマネジメントとは?
- コストベースラインとは?
- 予算とは?
- 見積もりとは?
- スケジュールベースラインとは?
- 進捗管理とは?
よくある質問(FAQ)
Q. EVMとは何ですか?
A. 進捗・コスト・計画を金額ベースで比較し、プロジェクトの状況を客観的に評価する管理手法です。
Q. EV・PV・ACの違いは何ですか?
A. EVは実際に完了した作業の価値、PVは計画上の作業価値、ACは実際に発生したコストです。
Q. CPIとSPIはどのように判断しますか?
A. CPIはコスト効率、SPIはスケジュール効率を表します。どちらも1が計画どおりで、1未満は改善が必要な状態を示します。
私は令和5年度 IPAプロジェクトマネージャ試験に合格しました。
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