「プロジェクトは計画どおり進んでいるのに、関係者の協力が得られない。」

「重要な変更を説明したつもりだったが、後から反対されてしまった。」

このような問題の多くは、ステークホルダーとの関わり方が十分ではないことが原因です。

そこで重要になるのがステークホルダーエンゲージメント(Stakeholder Engagement)です。

この記事では、ステークホルダーエンゲージメントの意味や目的、進め方、プロジェクトマネージャが意識すべきポイントについて解説します。

一言でいうと

ステークホルダーエンゲージメントとは、「プロジェクトに関わる人々の理解・協力・支援を得ながら、プロジェクトを成功へ導くための活動」です。

ステークホルダーエンゲージメントとは

ステークホルダーエンゲージメントとは、プロジェクトに影響を与える人、または影響を受ける人と継続的にコミュニケーションを取り、適切な関係を築きながらプロジェクトを進めることです。

対象となるステークホルダーには、次のような人々が含まれます。

  • 顧客
  • スポンサー
  • プロジェクトメンバー
  • 利用部門
  • 協力会社・ベンダー
  • 経営層

PMBOK®︎では、ステークホルダーエンゲージメントは独立した知識エリアとして扱われており、プロジェクト成功に欠かせないマネジメント活動とされています。

ステークホルダーエンゲージメントが重要な理由

どれだけ優れた計画を立てても、関係者の理解や協力が得られなければプロジェクトは成功しません。

例えば、次のようなケースがあります。

  • 利用部門が新システムの導入に消極的である
  • スポンサーへ十分な報告が行われていない
  • 顧客が仕様変更を理解していない
  • 他部署との調整不足で作業が遅れる

このような問題を防ぐためには、必要な情報を適切なタイミングで共有し、信頼関係を築くことが重要です。

ステークホルダーエンゲージメントの進め方

1. ステークホルダーを特定する

まず、プロジェクトに関係する人や組織を洗い出します。

影響力や関心度も整理しておくと、その後の対応を考えやすくなります。

2. 期待や関心事項を把握する

それぞれのステークホルダーが何を期待し、何を懸念しているのかを確認します。

立場によって重視するポイントは異なります。

3. コミュニケーション方法を決める

誰に、何を、いつ、どのような方法で共有するかを決めます。

定例会議、メール、チャット、報告書など、相手に応じた方法を選択することが重要です。

4. 継続的に関係を維持する

ステークホルダーエンゲージメントは、一度説明して終わりではありません。

プロジェクトの状況に応じて継続的に情報共有し、必要に応じて対応を見直します。

ステークホルダーエンゲージメントとステークホルダーマネジメントの違い

項目ステークホルダーマネジメントステークホルダーエンゲージメント
目的関係者全体を管理する関係者の協力・支援を引き出す
重視すること計画や管理信頼関係とコミュニケーション
イメージ管理する活動積極的に関わる活動

PMBOK®︎第7版では、「管理する」という考え方よりも、「関係者と協働しながら価値を生み出す」という考え方がより重視されています。

実務ではこんな場面で活用される

例えば、新しい業務システムを導入するプロジェクトを考えます。

利用部門は現在の業務に慣れているため、新システムへの移行に不安を感じています。

そこでプロジェクトマネージャは、定期的な説明会やデモを実施し、利用者の意見を取り入れながら改善を進めました。

その結果、利用部門の理解と協力を得られ、スムーズにシステムを導入することができました。

このように、関係者との信頼関係を築きながらプロジェクトを進めることが、ステークホルダーエンゲージメントです。

よくある勘違い

情報を伝えるだけでは十分ではない

一方的に報告するだけでは、エンゲージメントとは言えません。

相手の意見や不安を聞き、双方向のコミュニケーションを行うことが重要です。

全員に同じ対応をする必要はない

影響力や関心度はステークホルダーごとに異なります。

そのため、重要な関係者にはより丁寧な説明やコミュニケーションが必要になります。

プロジェクトマネージャ試験ではここが重要

IPAのプロジェクトマネージャ試験では、関係者との調整や信頼関係の構築について頻繁に出題されます。

午後試験では、次のような観点を説明できることが重要です。

  • 重要なステークホルダーをどのように特定したか
  • 期待や懸念をどのように把握したか
  • どのようなコミュニケーションを実施したか
  • その結果、どのような効果が得られたか

「報告した」だけではなく、「関係者の理解と協力を得るために継続的なコミュニケーションを行った」と説明できることが評価につながります。

PM道場のワンポイント

プロジェクトマネージャの仕事は、プロジェクトを管理することだけではありません。人との関係を築くことも重要な仕事です。

計画書が完璧でも、関係者が協力してくれなければプロジェクトは成功しません。

逆に、多少の問題が発生しても、日頃から信頼関係を築いていれば、多くの人が協力してくれます。

優れたプロジェクトマネージャは、成果物だけではなく、人とのつながりも大切にしています。

関連用語

  • ステークホルダー
  • コミュニケーションマネジメント
  • コミュニケーションマネジメント計画書
  • ファシリテーション
  • ネゴシエーション
  • 合意形成
  • 意思決定
  • スポンサー

まとめ

ステークホルダーエンゲージメントとは、プロジェクトに関わる人々の理解・協力・支援を得ながら、プロジェクトを成功へ導くための活動です。

重要なのは、情報を伝えることではなく、相手の期待や不安を理解し、継続的なコミュニケーションを通じて信頼関係を築くことです。

プロジェクトマネージャにとって、ステークホルダーエンゲージメントはプロジェクト成功を支える重要なマネジメント活動と言えるでしょう。


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よくある質問(FAQ)

Q. ステークホルダーエンゲージメントとは何ですか?

A. プロジェクトに関わる人々の理解・協力・支援を得ながら、信頼関係を築いてプロジェクトを成功へ導く活動です。

Q. ステークホルダーマネジメントとの違いは何ですか?

A. ステークホルダーマネジメントは関係者全体を管理する考え方、ステークホルダーエンゲージメントは関係者と積極的に関わり、協力を引き出す考え方です。

Q. ステークホルダーエンゲージメントで重要なことは何ですか?

A. 相手に応じたコミュニケーションを継続し、期待や懸念を理解しながら信頼関係を築くことです。

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まーも
はじめまして。 当ブログをご覧いただきありがとうございます。 私は EPCプロジェクトで10年間の実務経験 を積み、その後 企業研修の講師として4年目 になります。 現在は、年間300名以上の受講者に向けて、プロジェクトマネジメント研修の企画・開発・講師 を担当しています。 資格としては、 IPAプロジェクトマネージャ試験 合格 PMP®(Project Management Professional) CSM®(Certified ScrumMaster) FP2級 を取得しており、実務と理論の両面から「プロジェクトを成功に導くスキル」を伝えることを得意としています。 EPC業界で培った現場のマネジメント力と、研修講師としての教育経験を活かし、 プロジェクトを円滑に進めるための実践ノウハウ チームをまとめるコミュニケーション術 若手育成やキャリア形成のヒント などを、わかりやすく発信しています。 「現場で役立つ知識を、誰でも理解できる形で」 をモットーに、皆さまの成長と成功をサポートします。
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私は令和5年度 IPAプロジェクトマネージャ試験に合格しました。
実際に合格した経験をもとに、勉強方法やおすすめ参考書、最難関といわれる午後Ⅱ論文の対策方法を詳しく解説しています。

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