「人見知りは、プロジェクトマネージャに向いていない。」

PMになったばかりの頃、私はそんなことを考えていました。

PMにはコミュニケーション能力が必要です。

プロジェクトメンバーと話し、ステークホルダーと調整し、時には多くの人の前で説明する必要があります。

人と話すことが苦手な自分には、向いていない仕事なのではないか。

そう思うこともありました。

しかし、PMとして10年以上仕事を続けてきた今、少し違った考えを持っています。

人見知りだからPMに向いていないわけではありません。

かといって、人見知りだからPMに向いているわけでもありません。

大切なのは、自分がどのような性質を持っているのかを理解し、その性質を補う方法を身につけることです。

私の場合、それが次のようなPMスタイルにつながっていきました。

  • 準備する
  • よく聞く
  • 相手を観察する
  • 仕組みを作る

この記事では、私が10年以上PMを続ける中で感じた「人見知りだからこそ身についたPMスタイル」について紹介します。

人見知りだからこそ、準備を意識するようになった

私は今でも、初対面の人と話すことが苦手です。

懇親会も得意ではありません。

突然話を振られることも苦手です。

これは10年以上PMを経験したからといって、完全になくなったわけではありません。

ただ、PMとして仕事をする以上、人とコミュニケーションを取らなければなりません。

そこで私は、自分の性質を変えるのではなく、自分の性質を補完する方法を考えるようになりました。

その一つが「準備」です。

会議の前に、次のようなことを考えておきます。

  • 何を話すのか
  • 何を確認するのか
  • 相手からどんな質問が来るのか

初対面の人と話す必要があるなら、事前に相手の立場や役割を確認しておきます。

問題が起きたときには、以前のように完璧な原因分析や対策を準備してから報告するのではありません。

「問題だと思った時点で報告する」というルールを自分の中に作りました。

こうした工夫によって、人見知りという性質を補ってきました。

もちろん、社交的なPMでも準備はできます。

人見知りだから特別な能力を持っているわけではありません。

ただ、自分が人見知りだと理解しているからこそ、何を準備すれば自分が動きやすくなるのかを、より意識するようになったのだと思います。

「話す力」より「聞く力」がPMを助けてくれた

PMとして仕事をする中で、もう一つ自分の強みだと思うようになったものがあります。

それが、人の話を聞くことです。

私は、人前で話すことや初対面の人と会話することは得意ではありません。

一方で、相手の話を聞きながら、次のように考えることは比較的得意です。

  • この人は何を伝えたいのだろう
  • 本当に困っていることは何だろう

そして、相手の話を聞きながら質問することで、相手自身が気付いていなかったことに気付いてもらうこともあります。

これはPMにとって、非常に重要な能力だと感じています。

リスク検討の場で気付いた「自分の考えだけでは足りない」ということ

以前、リスクを検討する打ち合わせで印象に残っている出来事があります。

ある先輩PMが、事前に洗い出したリスクをプロジェクトメンバーに説明していました。

経験も豊富で、非常に社交的なPMでした。

そのため、自分の考えに自信を持ってプロジェクトを進めていました。

打ち合わせも終わりに近づいた頃、あるプロジェクトメンバーが、

「他にもリスクがあるのではないか。」

と発言しました。

ところが、その先輩PMは、その意見を十分に聞こうとはしませんでした。

結果として、その場では見逃されていたリスクを、そのメンバーの発言によって見つけることができました。

私はこの出来事を見て、

「PM自身が考えたことだけが正解ではない」

と強く感じました。

どれだけ経験があっても、どれだけ社交的でも、一人で考えられることには限界があります。

だからこそ、プロジェクトメンバーの意見を聞くことが重要なのです。

人見知りだった私は、もともと相手の話を聞くことを意識していました。

その経験が、PMとしての「聞く力」につながっていったのだと思います。

質問することで、相手自身に気付いてもらう

PMにとって、「聞く」とは、ただ黙って相手の話を聞くことではありません。

私は、適切な質問をすることも重要だと考えています。

例えば、次のような質問です。

  • 「それはなぜ問題だと思いますか?」
  • 「もしそのリスクが発生したら、何が一番困りますか?」
  • 「他に影響を受ける人はいませんか?」
  • 「今の話をもう少し詳しく教えてもらえますか?」

質問を重ねることで、相手自身が考えを整理できます。

そして、

「そうか。ここもリスクになるかもしれない。」

と、本人が自分で気付くことがあります。

PMが答えを教えるのではなく、質問によって相手を導く。

これは、私が人見知りであることをきっかけに身につけてきた、PMとしての一つのスタイルです。

人見知りだからこそ、相手を観察するようになった

もう一つ、PMとして意識していることがあります。

それは、相手によってコミュニケーションの方法を変えることです。

これはステークホルダーマネジメントにもつながります。

私はプロジェクトの中で、ステークホルダー登録簿などを活用しながら、次のようなことを考えていました。

  • この人にはどのように連絡した方がよいか
  • どのくらいの頻度で情報共有した方がよいか
  • メールがよいのか、電話がよいのか

人によって、コミュニケーションの取り方は違います。

こちらが話しやすい方法ではなく、相手が受け取りやすい方法を考える。

これは、PMにとって重要な考え方だと思います。

先輩PMを「そのまま真似しない」という学び

私がPMとして成長してきた過程では、先輩PMから多くのことを学びました。

先輩のやり方を真似することもありました。

しかし、すべてをそのまま真似したわけではありません。

むしろ、

「このやり方は、この人だからできるのではないか。」

と考えることもありました。

例えば、非常に社交的な先輩PMなら、初対面の相手とも自然に雑談をします。

そして、いつの間にか信頼関係を作ってしまいます。

その方法をそのまま人見知りの自分が真似しても、うまくいかないことがあります。

そこで、

「自分だったらどうするか。」

と考えるようにしました。

  • キックオフミーティングを設ける
  • 会議の前に準備する
  • 質問を用意する
  • 定例会で話す機会を作る
  • エスカレーションのルールを決める

こうして、自分に合った方法を少しずつ作ってきました。

人見知りを克服する必要はなかった

ここまでの話をすると、

「では、人見知りを克服したのですか?」

と思われるかもしれません。

答えは「いいえ」です。

私は今でも人見知りです。

初対面の人との会話も苦手です。

懇親会も苦手です。

突然人前で話すことも得意ではありません。

それでもPMを続けることはできました。

なぜなら、人見知りを克服することと、PMとして成果を出すことは別の話だからです。

必要なのは、自分を別人に変えることではありません。

自分の性質を理解し、その性質を補う方法を身につけることです。

PMには「絶対の正解」がない

PMとして10年以上仕事をしてきて、強く感じることがあります。

それは、

プロジェクトマネジメントには、これが絶対に正しいという方法はない

ということです。

プロジェクトによって、条件は変わります。

  • 規模が違う
  • メンバーが違う
  • ステークホルダーが違う
  • 組織が違う
  • 目的が違う
  • リスクが違う

だからこそ、同じ方法がすべてのプロジェクトで通用するわけではありません。

これは、自分自身についても同じです。

社交的なPMには、社交的なPMのやり方があります。

人見知りのPMには、人見知りのPMのやり方があります。

重要なのは、自分に合った方法を選ぶことです。

自分に合ったPMを作るために、知識と経験を増やす

ただし、

「自分に合った方法でやればいい。」

というだけでは不十分だと思います。

自分に合った方法を見つけるためには、知識と経験が必要だからです。

例えば、次のような知識を学びます。

  • PMBOK®︎
  • リスクマネジメント
  • ステークホルダーマネジメント
  • コミュニケーションマネジメント

そして、実際のプロジェクトで試してみます。

うまくいかなければ修正します。

先輩PMのやり方を見て、

  • これは自分にも使える
  • これは自分には合わない

と考えます。

こうした経験を積み重ねることで、少しずつ自分なりのPMスタイルができていきます。

まとめ:人見知りを克服するより、自分に合ったPMスタイルを作ろう

私は、PMになったばかりの頃、

「人見知りだからPMには向いていないのではないか。」

と思っていました。

しかし、10年以上PMを続けてきた今は、そうは思いません。

人見知りであることが、特別な強みだったわけではありません。

むしろ、自分が人見知りであることを理解していたからこそ、自分を補完する方法を考えるようになったのだと思います。

その結果、次のような自分なりのPMスタイルを作ることができました。

  • 事前に準備する
  • 相手の話をよく聞く
  • 質問によって相手の考えを引き出す
  • 相手に合わせてコミュニケーション方法を変える
  • コミュニケーションを仕組み化する

だから、もし今、

「自分は人見知りだからPMに向いていない。」

と思っている人がいたら、私はこう伝えたいです。

無理に社交的になる必要はありません。

プロジェクトマネジメントには、絶対の正解はありません。

自分に合ったやり方を選んで、マネジメントしていけばいいのです。

そして、自分に合ったやり方を見つけるためには、知識と経験が必要です。

たくさん学んで、たくさん経験してください。

その中から、

「自分だったらどうするか」

を考えてみてください。

きっと、少しずつ自分に合ったPMのスタイルが見えてくるはずです。

あなたへの問いかけ

あなたは、自分の性格や得意・不得意を理解した上で、どのようなPMスタイルを作っていますか?

そして、今の自分に合っていないと感じるプロジェクトマネジメントのやり方はありませんか?

「正解を探す」のではなく、「自分に合ったやり方を作る」。

それも、プロジェクトマネジメントの一つの楽しさなのではないでしょうか。