「この作業は遅れる可能性があります。」
「この仕様変更が発生すると、納期に影響するかもしれません。」
プロジェクトでは、将来発生する可能性のある不確実な出来事が数多く存在します。
これらの不確実性を適切に把握し、対応策を準備することが、プロジェクトマネージャの重要な役割です。
この管理対象となるものがリスク(Risk)です。
この記事では、リスクの意味や問題との違い、プロジェクトでの管理方法までわかりやすく解説します。
一言でいうと
リスクとは、「将来発生する可能性があり、発生した場合にプロジェクトへ影響を与える不確実な出来事」です。
リスクとは
リスクとは、将来起こる可能性がある出来事であり、その発生によってプロジェクトの目標(スコープ・スケジュール・コスト・品質など)へ影響を与えるものです。
PMBOKでは、リスクを「プロジェクト目標に影響を与える可能性のある不確実な事象」として扱います。
重要なのは、リスクは必ずしも悪いものだけではないという点です。
プロジェクトに悪影響を与えるリスクを脅威(Threat)、良い影響を与える可能性があるものを好機(Opportunity)として扱います。
リスクが重要な理由
プロジェクトには、未来を完全に予測できないという不確実性があります。
例えば、以下のような出来事です。
- 重要メンバーが急に離脱する
- 技術的な問題が発生する
- 顧客から追加要求が発生する
- 外部サービスの提供が遅れる
これらを事前に把握せず、問題が発生してから対応すると、大きな影響につながる可能性があります。
そのため、プロジェクトでは「起こってから対応する」のではなく、「起こる前に準備する」ことが重要です。
リスクと問題(Issue)の違い
| 項目 | リスク | 問題(Issue) |
|---|---|---|
| 状態 | まだ発生していない | すでに発生している |
| 対応 | 発生を防ぐ・影響を小さくする | 解決する |
| 例 | 担当者が不足する可能性がある | 担当者が不足して作業が遅れている |
簡単に言うと、
リスクは「未来の不確実な出来事」、問題は「現在発生している課題」です。
リスクの種類
| 種類 | 例 |
|---|---|
| スケジュールリスク | 作業遅延により納期に影響する |
| コストリスク | 追加費用が発生する |
| 技術リスク | 新技術の利用で問題が発生する |
| 人的リスク | メンバー不足やスキル不足が発生する |
| ステークホルダーリスク | 関係者間の認識がずれる |
リスクマネジメントの流れ
- リスクを特定する
- 発生確率や影響度を評価する
- 対応方針を決定する
- 対応策を実施する
- 継続的に監視する
リスク管理は、一度計画すれば終わりではありません。
プロジェクトの状況変化に合わせて、継続的に見直すことが重要です。
実務ではこんな場面で活用される
例えば、新しい技術を利用したシステム開発プロジェクトを考えます。
リスクとして、
- 技術検証が不足している
- 開発メンバーが経験不足である
- 想定より開発期間が長くなる
といったことが考えられます。
そこで、事前に技術検証を実施したり、有識者を参画させたりすることで、リスクが問題化する可能性を低減できます。
よくある勘違い
リスク管理とは、リスクをゼロにすることではない
すべてのリスクをなくすことは現実的ではありません。
重要なのは、影響の大きいリスクを優先的に管理し、発生した場合でもプロジェクトへの影響を最小限にすることです。
悪いことだけがリスクではない
リスクというと「問題になる可能性」と考えがちですが、PMBOKでは好機もリスクとして扱います。
例えば、新技術の活用によって開発期間を短縮できる可能性もリスクです。
プロジェクトマネージャ試験ではここが重要
IPAのプロジェクトマネージャ試験では、リスクをどのように特定し、評価し、対応したかが重要な論点になります。
午後試験では、単に「リスク管理を実施した」と書くのではなく、
- どのようなリスクを予測したか
- 発生確率や影響度をどう判断したか
- どのような予防策・対応策を実施したか
を具体的に説明できることが重要です。
優れたプロジェクトマネージャは、問題対応能力だけではなく、問題になる前に兆候を捉える力が求められます。
PM道場のワンポイント
リスク管理とは、「未来を予測する活動」ではなく、「未来の不確実性に備える活動」です。
実務では、リスク管理表を作成すること自体が目的になってしまうことがあります。
しかし、本当に重要なのは、リスクを登録することではありません。
「このリスクが発生すると何が起こるのか」
「どのタイミングで対応すべきなのか」
「どんな兆候を見逃してはいけないのか」
をチームで共有することです。
優れたプロジェクトマネージャは、問題が起きてから対応するのではなく、問題になる前の兆候を管理しています。
関連用語
- リスクマネジメント
- リスク登録簿(リスクレジスター)
- リスク対応計画
- リスク評価
- 課題(Issue)
- 変更要求
- 根本原因分析
- 教訓(Lessons Learned)
まとめ
リスクとは、将来発生する可能性があり、発生した場合にプロジェクトへ影響を与える不確実な出来事です。
重要なのは、リスクを完全になくすことではなく、事前に把握し、適切な対応策を準備することです。
プロジェクトマネージャは、問題が発生した後に対応するだけではなく、未来の不確実性を管理する役割を担っています。
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- リスクマネジメントとは?
- リスク登録簿(リスクレジスター)とは?
- 課題(Issue)とは?
- 根本原因分析とは?
- 教訓(Lessons Learned)とは?
よくある質問(FAQ)
Q. リスクとは何ですか?
A. 将来発生する可能性があり、発生した場合にプロジェクトへ影響を与える不確実な出来事です。
Q. リスクと問題の違いは何ですか?
A. リスクはまだ発生していない未来の不確実性であり、問題はすでに発生している事象です。
Q. リスクは悪いことだけを指しますか?
A. いいえ。PMBOKでは、プロジェクトに良い影響を与える可能性がある好機もリスクとして扱います。
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