「同じ不具合が何度も発生する。」

「対策したはずなのに、また同じ問題が起きた。」

このような経験は、プロジェクトで珍しくありません。

その原因は、表面的な問題だけを修正し、本当の原因までたどり着けていないことが多いためです。

そこで活用されるのが根本原因分析(Root Cause Analysis:RCA)です。

この記事では、根本原因分析の意味や代表的な分析手法、実務での活用方法までわかりやすく解説します。

一言でいうと

根本原因分析とは、「問題の本当の原因を特定し、再発を防止するための分析手法」です。

根本原因分析とは

根本原因分析(Root Cause Analysis:RCA)とは、不具合やトラブルが発生した原因を深く掘り下げ、再発防止につながる本当の原因を特定するための分析手法です。

単に「何が起きたか」を調べるだけではなく、「なぜ起きたのか」を繰り返し考えることが特徴です。

PMBOK®では、品質マネジメントやリスクマネジメントにおいて活用される代表的な分析手法の一つです。

根本原因分析が重要な理由

表面的な原因だけを修正すると、同じ問題が繰り返し発生する可能性があります。

例えば、「テストで不具合が見つかったから修正した」という対応だけでは、不具合が発生した原因は解決されていません。

設計レビューの不足や要求事項の曖昧さなど、本当の原因まで分析することで、再発防止につながります。

代表的な分析手法

手法概要
なぜなぜ分析(5 Whys)「なぜ?」を繰り返して真の原因を探る
特性要因図(フィッシュボーン図)人・方法・設備などの観点から原因を整理する
パレート図発生頻度や影響度の大きい原因を特定する
故障モード影響解析(FMEA)故障の原因や影響を事前に分析する

プロジェクトでは、問題の内容に応じて適切な分析手法を選択します。

実務ではこんな場面で活用される

例えば、システム障害が発生した場合を考えてみましょう。

表面的な原因は「プログラムのミス」かもしれません。

しかし、「なぜそのミスが発生したのか」を分析すると、次のような原因が見えてくることがあります。

  • レビューが十分に実施されていなかった
  • 要求事項が曖昧だった
  • テストケースが不足していた
  • 開発スケジュールが過密だった

このように、本当の原因を特定することで、プロセスそのものを改善できます。

なぜなぜ分析(5 Whys)の例

問題:本番環境でシステム障害が発生した。

  1. なぜ? → テストで不具合を見逃した。
  2. なぜ? → テストケースが不足していた。
  3. なぜ? → 要件変更が反映されていなかった。
  4. なぜ? → 変更要求の共有が不十分だった。
  5. なぜ? → 変更管理プロセスが整備されていなかった。

この場合、本当の原因は「変更管理プロセスの不足」であり、テストケースを増やすだけでは再発防止になりません。

よくある勘違い

担当者を責めることが目的ではない

根本原因分析は、「誰が悪かったか」を追及する活動ではありません。

プロセスや仕組みに改善点がないかを分析し、再発防止につなげることが目的です。

「なぜ?」を無理に5回繰り返せば良いわけではない

5 Whysは代表的な手法ですが、必ず5回質問することが目的ではありません。

本当の原因にたどり着いた時点で分析を終了します。

プロジェクトマネージャ試験ではここが重要

IPAのプロジェクトマネージャ試験では、不具合や障害が発生した際に、「どのように原因を分析し、再発防止策を実施したか」が問われることがあります。

午後試験では、「根本原因分析を実施し、レビュー手順を改善した」「変更管理プロセスを見直した」といった具体的な改善策を説明できると評価につながります。

重要なのは、不具合を修正したことではなく、同じ問題を繰り返さない仕組みを作ることです。

PM道場のワンポイント

根本原因分析で本当に改善したいのは、「人」ではなく「仕組み」です。

実務では、「担当者が確認不足だった」という結論で終わってしまうことがあります。

しかし、それでは次回も同じことが起こる可能性があります。

「レビュー時間が確保できなかった」「変更管理が機能していなかった」「チェックリストが存在しなかった」など、仕組みの改善まで踏み込むことが重要です。

優れたプロジェクトマネージャは、不具合を責任追及の材料ではなく、「プロジェクトを成長させる教材」として活用しています。

関連用語

  • 不具合(Defect)
  • 品質管理(Quality Control)
  • 品質保証(Quality Assurance)
  • 品質メトリクス
  • レビュー
  • 教訓(Lessons Learned)
  • 変更要求
  • 継続的改善

まとめ

根本原因分析とは、問題の本当の原因を特定し、再発防止につなげるための分析手法です。

表面的な問題だけではなく、その背景にあるプロセスや仕組みまで分析することで、継続的な品質向上につながります。

重要なのは、「誰が悪いか」を考えることではなく、「どうすれば同じ問題を繰り返さないか」を考えることです。


関連記事

よくある質問(FAQ)

Q. 根本原因分析とは何ですか?

A. 問題の本当の原因を特定し、再発防止につなげるための分析手法です。

Q. なぜなぜ分析(5 Whys)とは何ですか?

A. 「なぜ?」を繰り返し問いかけることで、表面的な原因ではなく、本当の原因を探る分析手法です。

Q. 根本原因分析の目的は担当者を特定することですか?

A. いいえ。目的は責任追及ではなく、プロセスや仕組みを改善し、同じ問題の再発を防ぐことです。

ABOUT ME
まーも
はじめまして。 当ブログをご覧いただきありがとうございます。 私は EPCプロジェクトで10年間の実務経験 を積み、その後 企業研修の講師として4年目 になります。 現在は、年間300名以上の受講者に向けて、プロジェクトマネジメント研修の企画・開発・講師 を担当しています。 資格としては、 IPAプロジェクトマネージャ試験 合格 PMP®(Project Management Professional) CSM®(Certified ScrumMaster) FP2級 を取得しており、実務と理論の両面から「プロジェクトを成功に導くスキル」を伝えることを得意としています。 EPC業界で培った現場のマネジメント力と、研修講師としての教育経験を活かし、 プロジェクトを円滑に進めるための実践ノウハウ チームをまとめるコミュニケーション術 若手育成やキャリア形成のヒント などを、わかりやすく発信しています。 「現場で役立つ知識を、誰でも理解できる形で」 をモットーに、皆さまの成長と成功をサポートします。
プロジェクトマネージャ試験に合格したい方へ

私は令和5年度 IPAプロジェクトマネージャ試験に合格しました。
実際に合格した経験をもとに、勉強方法やおすすめ参考書、最難関といわれる午後Ⅱ論文の対策方法を詳しく解説しています。

「これから勉強を始めたい」「効率よく合格したい」という方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。