「PMはコミュニケーション能力が命。」
プロジェクトマネージャについて調べると、必ずと言っていいほど目にする言葉です。
そのたびに私は思っていました。
「それなら、自分はPMに向いていない。」
私は昔から人見知りでした。
- 初対面の人と話すのが苦手
- 自分から声を掛けるのも苦手
- 雑談も得意ではない
プロジェクトマネージャになってからは、その苦手意識がさらに強くなりました。
- 毎日のようにプロジェクトメンバーへ声を掛ける
- ステークホルダーと調整する
- お客様へ報告する
「今日も誰かと話さなければならない。」
そんなことを考えるだけで、気持ちが重くなる日もありました。
それでも私は10年以上、PMとして仕事を続けることができました。
その理由は、コミュニケーション能力が高くなったからではありません。
コミュニケーションを「仕組み」で考えるようになったからです。
人見知りにもいろいろなタイプがある
一口に「人見知り」と言っても、その原因はさまざまです。
例えば、次のようなタイプがあります。
- 初対面だと緊張して話せない人
- 雑談が苦手な人
- 相手に気を遣いすぎる人
- 自分の意見に自信が持てない人
- 十分に整理できるまで話せない人
私は、この中でも「慎重すぎるタイプ」と「相手に気を遣いすぎるタイプ」でした。
いつも頭の中では、こんなことを考えていました。
- ちゃんと整理してから話そう
- 解決策まで考えてから相談しよう
- 忙しそうだから後で声を掛けよう
そうしているうちに、時間だけが過ぎていきました。
一番苦しかったのは、問題を抱え込んでしまうこと
今振り返ると、一番の問題は雑談が苦手だったことではありません。
問題が起きたときに、
「もう少し調べてから報告しよう。」
と思ってしまうことでした。
原因が分からないまま報告すると、
- 「なんでそんな状態で相談するの?」と思われるのではないか
- 質問に答えられなかったらどうしよう
そんな不安から、報告を後回しにしてしまうことが何度もありました。
しかし、PMとして経験を積むうちに、一つ気付いたことがあります。
プロジェクトでは、完成した情報より、早い情報の方が価値がある。
原因が分からなくても、
「納期に影響するかもしれません。」
この一言だけで、周りは動き始めることができます。
逆に、原因も対策も分かった頃には、打てる手が少なくなっていることもあります。
PMの仕事は、一人で問題を解決することではありません。
問題を見える化し、チームで解決することです。
私を助けてくれたのは、「コミュニケーション能力」ではなく「仕組み」だった
人見知りの私が頼ったのは、自分の性格を変えることではありませんでした。
代わりに考えたのは、コミュニケーションが自然に生まれる仕組みを作ることです。
例えば、次のような仕組みです。
- プロジェクト開始時には必ずキックオフミーティングを実施する
- 毎週決まった時間に定例会を行う
- 1on1を定期的に実施する
- 課題管理表を使って状況を見える化する
- 議事録を残し、決定事項を共有する
こうした仕組みがあると、
「話しかけたいから話す。」
ではなく、
「プロジェクト運営に必要だから話す。」
という状態になります。
人見知りにとって、この違いはとても大きいものです。
特にキックオフミーティングは重要でした。
一度でも顔を合わせることで、その後のチャットや相談の心理的ハードルは大きく下がります。
人見知りだからこそ、PMに向いている部分もある
人見知りだからPMに向いていない。
私はずっとそう思っていました。
でも今は違います。
人見知りだからこそ、次のような力が自然と身に付きました。
- 会議をしっかり準備する
- 相手の話をよく聞く
- 小さな変化に気付く
- コミュニケーションを仕組みとして設計する
もちろん、苦手なことは今でもあります。
それでも、PMに必要なのは社交性ではありません。
必要なのは、プロジェクトが前に進むように、人・情報・意思決定をつなぐことです。
コミュニケーションは、そのための手段に過ぎません。
まとめ
人見知りだからといって、PMを諦める必要はありません。
ただし、一人で頑張り続けることは危険です。
人見知りのPMほど、問題を抱え込みやすく、相談を後回しにしてしまう傾向があります。
だからこそ必要なのは、「もっと話せるようになること」ではありません。
話さなければならない状況を、自然につくる仕組みです。
私は、人見知りだったからこそ、コミュニケーションを「才能」ではなく「設計するもの」と考えるようになりました。
そして今では、それこそがプロジェクトマネージャに最も必要な能力の一つだと感じています。
あなたはどう思いますか?
あなたは、「コミュニケーション能力」と聞くと、どんな力を思い浮かべますか?
「話すのが上手な人」でしょうか。
それとも、「プロジェクトが前に進む仕組みをつくれる人」でしょうか。
人見知りという特性を、弱みではなく設計力へ変える視点が、あなた自身のプロジェクト運営のヒントになれば幸いです。
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