「業務の手順をわかりやすく図にまとめたい」

「作業の流れや判断の分岐をチーム内で共有したい」

プロジェクトを進めていると、このような場面があります。

複雑な作業や業務の順番を文章だけで説明しようとすると、認識のズレが発生したり、全体の流れが伝わりにくかったりすることがあります。

このように、作業や処理の手順を記号と矢印を使って視覚的に表現した図がフローチャートです。

フローチャートを作成することで、業務の流れを一目で理解できるようになり、プロジェクトの標準化や業務改善にも役立ちます。

一言でいうと

フローチャートとは、作業や処理の流れを図で見える化したものです。

作業を順番に並べ、矢印でつなぎ、必要に応じて判断や分岐を加えることで、業務全体の流れを視覚的に表現します。

例えば、システムの処理であれば、

「データを受信する」

「データをチェックする」

「問題がなければ登録する」

という流れを図として表現できます。

文章だけで説明するよりも、どの作業がどの順番で行われ、どこで判断が分かれるのかを理解しやすくなります。

フローチャートとは

フローチャートは、英語のFlowchartに由来する言葉です。

「Flow」は流れ、「Chart」は図表を意味します。

つまり、フローチャートは「流れを図にしたもの」と考えることができます。

業務手順、システム処理、意思決定、障害対応など、さまざまな場面で利用できます。

例えば、業務の流れを文章だけで説明すると、

  • 申請書を作成する
  • 上司に提出する
  • 上司が内容を確認する
  • 問題がなければ承認する
  • 問題があれば申請者に戻す

という説明になります。

これをフローチャートにすると、作業の順番や「承認されたか?」という判断による分岐を一目で確認できます。

フローチャートを使うメリット

業務の全体像を理解しやすくなる

複雑な業務でも、作業を順番に並べて図にすることで、全体の流れを把握しやすくなります。

特に、新しくプロジェクトに参加したメンバーや新人に業務を説明するときに役立ちます。

認識の違いを発見できる

同じ業務を担当していても、人によって作業の順番や判断方法が異なることがあります。

フローチャートを作成して関係者で確認することで、

  • 作業の順番が違う
  • 判断条件の認識が違う
  • 担当者の認識が違う
  • 作業が抜けている

といった認識の違いを発見できます。

業務上の問題を発見しやすくなる

業務を図にすると、文章では気づきにくかった問題が見えてくることがあります。

  • 同じ作業を何度も行っている
  • 不要な承認が存在する
  • 作業が特定の担当者に集中している
  • 待ち時間が長い
  • 手作業が多い

このような問題を発見することで、業務改善につなげることができます。

フローチャートの基本記号

フローチャートでは、目的に応じてさまざまな記号を使用します。

まずは、基本的な記号を覚えておけば十分です。

開始・終了

処理の開始や終了を表します。

例えば、

  • 業務開始
  • 処理開始
  • 処理終了

などを表現します。

処理

実際に行う作業や処理を表します。

例えば、

  • データを入力する
  • 申請書を作成する
  • メールを送信する
  • データを登録する

などです。

判断

条件によって処理が分岐することを表します。

例えば、

  • 承認されたか?
  • エラーが発生したか?
  • 条件を満たしているか?

などです。

「YES」「NO」などの条件によって、異なる処理へ進みます。

矢印

処理が進む方向や順番を表します。

フローチャートでは、基本的に上から下、または左から右へ流れるようにすると、読みやすくなります。

フローチャートの書き方

フローチャートを作るときは、いきなり図を描き始めるのではなく、まず何を整理したいのかを明確にします。

ステップ1:目的を決める

最初に、何のためにフローチャートを作るのかを決めます。

例えば、

  • 業務手順を整理する
  • 新人に業務を説明する
  • システム処理を整理する
  • 障害の原因を分析する
  • 業務改善のポイントを探す

などです。

目的によって、必要な情報の細かさも変わります。

ステップ2:作業を洗い出す

次に、対象となる業務で実際に行われている作業を洗い出します。

例えば、申請業務なら、

  • 申請書を作成
  • 申請
  • 上司が確認
  • 承認
  • 申請者へ通知

などを洗い出します。

ステップ3:作業を順番に並べる

洗い出した作業を、実際に行われる順番に並べます。

ここで重要なのは、「本来どうあるべきか」ではなく「実際にはどう行われているか」を確認することです。

特にトラブルの原因分析では、この点が重要になります。

ステップ4:判断や分岐を整理する

途中で判断が発生する場合は、分岐として整理します。

例えば、

「承認されたか?」

という判断がある場合、

  • YES → 次の処理へ進む
  • NO → 申請者へ差し戻す

というように整理します。

ステップ5:矢印でつなぐ

作業と判断を矢印でつなぎ、業務の流れを完成させます。

矢印が複雑に交差すると読みにくくなるため、できるだけ自然な方向に流れるように配置することがポイントです。

ステップ6:関係者に確認する

最後に、実際の業務を知っている関係者に確認してもらいます。

特に、フローチャートを原因分析に利用する場合は、現場担当者の確認が重要です。

作成者が知らない例外処理やイレギュラーな運用が存在する可能性があるからです。

フローチャートを原因分析に活用する

フローチャートは、トラブルや障害の原因分析にも活用できます。

トラブルが発生したとき、関係者から話を聞くだけでは、

  • 記憶が曖昧
  • 認識が違う
  • 思い込みで判断する
  • 人の責任にしてしまう

といった問題が起こることがあります。

そこで、実際に行われた処理をフローチャートにして整理します。

すると、「どの処理で正常な流れから外れたのか」を確認しやすくなります。

正常時と異常時を比較する

例えば、システムの正常な処理が、

  • データ受信
  • データチェック
  • データベース登録
  • 完了通知

だったとします。

一方、障害発生時には、

  • データ受信
  • データチェック
  • エラー発生
  • 処理停止

となっていたとします。

これをフローチャートで比較すると、データチェックの後に正常な処理から外れていることが分かります。

さらに調査すると、特定のデータ形式でエラーが発生していた、といった原因につながる可能性があります。

このようにフローチャートは、事実に基づいて問題が発生した場所を整理するための道具として活用できます。

フローチャートと根本原因分析

フローチャートは、根本原因分析を行う際にも役立ちます。

ただし、フローチャートだけで根本原因が自動的に分かるわけではありません。

フローチャートによって、

  • どこで問題が発生したのか
  • 正常時と何が違うのか
  • どの判断が分岐点になったのか
  • どこに追加調査が必要なのか

を整理し、その後になぜその問題が発生したのかを掘り下げます。

例えば、「データチェックでエラーが発生した」ことが分かったとしても、それだけでは根本原因とは限りません。

さらに、

「なぜそのデータが入力されたのか」

「なぜチェックで検出できなかったのか」

「なぜその運用になっていたのか」

などを掘り下げる必要があります。

このように、フローチャートは原因分析の入口として非常に有効なツールです。

フローチャートを業務改善に活用する

フローチャートを作成すると、現在の業務の問題点が見えることがあります。

例えば、

  • 同じ情報を複数回入力している
  • 不要な承認を行っている
  • 担当者間の待ち時間が長い
  • 手作業が多い
  • 同じ確認を複数人が行っている

といった問題です。

こうした問題を発見したら、

  • 作業を削減する
  • 作業を自動化する
  • 承認プロセスを変更する
  • 担当者を変更する
  • チェック方法を変更する

などの改善策を検討できます。

つまり、

業務を見える化する → 問題を発見する → 改善する

という流れを作ることができます。

フローチャート作成でよくある失敗

情報を詰め込みすぎる

一つのフローチャートにすべての情報を入れようとすると、複雑になってしまいます。

必要に応じて、全体フローと詳細フローを分けると分かりやすくなります。

「あるべき姿」を書いてしまう

特に原因分析では注意が必要です。

「本来はこの手順で処理するはずだ」という理想の流れを書いてしまうと、実際に何が起きたのかが分からなくなります。

原因分析では、実際に行われた処理を事実として整理することが重要です。

判断条件が曖昧

「確認する」「チェックする」だけでは、何を基準に判断したのか分かりません。

「金額が100万円以上か?」など、できるだけ具体的な判断条件を記載しましょう。

矢印が複雑に交差する

矢印があちこちに交差すると、処理の流れが分かりにくくなります。

基本的には、上から下、または左から右に流れるように配置すると読みやすくなります。

フローチャートを作成するときのポイント

目的に合わせて細かさを変える

新人教育のためのフローチャートと、システム障害の原因分析に使うフローチャートでは、必要な細かさが異なります。

目的に応じて情報量を調整しましょう。

関係者と一緒に作る

フローチャートは一人で完成させるより、実際の業務担当者と確認しながら作る方が正確になります。

特に、例外処理やイレギュラーな運用は、現場担当者でなければ分からないことがあります。

「実際」と「あるべき」を分ける

業務改善では、「現在の業務フロー」と「改善後の業務フロー」を分けて作ると効果的です。

現在の流れを正確に把握したうえで、改善後の流れを検討することが重要です。

プロジェクトマネジメントでの活用例

プロジェクトマネジメントでは、フローチャートをさまざまな場面で利用できます。

場面活用方法
業務整理業務の流れを見える化する
要件定義システムの処理や業務フローを整理する
障害対応障害発生までの処理を整理する
原因分析正常時と異常時の流れを比較する
業務改善無駄な作業やボトルネックを発見する
教育業務手順を分かりやすく説明する

プロジェクトマネージャ試験ではここが重要

フローチャートについては、単に「業務の流れを図にするもの」と暗記するだけではなく、何のために使うのかを理解しておきましょう。

特に重要なのは、

  • 業務や処理の流れを可視化する
  • 処理の順番や判断を整理する
  • 関係者間の認識を合わせる
  • 問題が発生した箇所を特定する
  • 業務改善につなげる

という使い方です。

また、障害やトラブルの原因分析では、「本来どうだったか」ではなく「実際にどうだったか」を整理することが重要です。

事実を整理したうえで、正常時との差異を確認すると、問題が発生したポイントを特定しやすくなります。

PM道場のワンポイント

フローチャートは「説明するための図」だけではなく、「考えるための図」として使うと非常に便利です。

例えば、トラブルが発生したとき、いきなり「原因は何だろう?」と考えると、関係者の記憶や思い込みに引っ張られてしまうことがあります。

そんなときは、まず、

「実際には、何がどの順番で起きたのか?」

をフローチャートにしてみます。

すると、

  • 正常な流れから外れた場所
  • 判断が分かれた場所
  • 想定外の処理が行われた場所
  • 確認が不足していた場所

などが見えてきます。

そこから「なぜ?」を掘り下げていけば、根本原因分析につなげることができます。

つまり、フローチャートは「流れを描くための図」ではなく、「事実を整理して問題を発見するための道具」として活用できます。

関連用語

  • 根本原因分析
  • 不具合
  • インシデント
  • 継続的改善
  • 品質管理
  • レビュー
  • プロセス
  • 業務改善
  • 意思決定
  • プロトタイプ

まとめ

フローチャートとは、作業や処理の流れを図として見える化する方法です。

基本的には、処理を順番に並べ、矢印でつなぎ、必要に応じて判断や分岐を加えて作成します。

フローチャートを活用することで、

  • 業務の全体像を理解しやすくなる
  • 関係者間の認識を合わせられる
  • 業務上の問題を発見できる
  • トラブルの原因を整理できる
  • 業務改善につなげられる

といったメリットがあります。

特にプロジェクトマネジメントでは、トラブルや障害が発生したときに、実際に何が起きたのかを事実ベースで整理するための道具として有効です。

ただし、原因分析を行う場合は「あるべき姿」ではなく「実際の流れ」を整理することが重要です。

フローチャートを使って流れを見える化し、問題が発生した箇所を特定したうえで、さらに「なぜ?」を掘り下げていくことで、根本原因の特定や再発防止につなげることができます。

フローチャートは、業務を説明するためだけではなく、業務や問題を整理し、改善するための重要なプロジェクトマネジメントツールです。


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よくある質問(FAQ)

Q. フローチャートとは何ですか?

A. フローチャートとは、作業や処理の流れを図として表現したものです。作業の順番や判断、分岐などを視覚的に整理できます。

Q. フローチャートは何のために使いますか?

A. 業務の流れを整理したり、関係者間の認識を合わせたり、業務改善やトラブルの原因分析を行ったりするために使います。

Q. フローチャートの基本的な記号には何がありますか?

A. 開始・終了、処理、判断、矢印などの記号があります。まずはこれらの基本記号を理解しておけば、一般的な業務フローを作成できます。

Q. フローチャートは原因分析に使えますか?

A. はい。トラブル発生時の実際の処理の流れをフローチャートにすることで、正常時との違いや問題が発生した箇所を整理できます。ただし、フローチャートだけで根本原因が分かるわけではなく、その後に原因を掘り下げる必要があります。

Q. 原因分析では「あるべき流れ」を書けばよいですか?

A. いいえ。原因分析では、まず「実際にどう処理されたのか」を整理することが重要です。理想的な流れを書いてしまうと、実際に発生した問題を見つけられなくなる可能性があります。

Q. フローチャートを作るときのポイントは何ですか?

A. まず目的を明確にし、実際の作業を洗い出して順番に並べます。その後、判断や分岐を整理して矢印でつなぎ、最後に関係者と内容を確認することが重要です。