パレート図とは?意味・作り方・活用方法をわかりやすく解説
「問題がたくさん発生していて、どこから改善すればよいか分からない」
「不具合の原因がいくつもあるが、優先順位をつけたい」
このようなときに役立つのがパレート図です。
パレート図とは、発生した問題や原因を多い順に並べ、それぞれの割合や累積割合を示したグラフです。
問題を「多いものから順番に並べる」ことで、どの問題に優先して取り組むべきなのかを視覚的に把握できます。
特に品質管理や問題分析では、限られた時間やリソースを影響の大きな問題に集中させるために活用されます。
一言でいうと
パレート図とは、「問題や原因を多い順に並べ、重要な問題がどれなのかを見える化する図」です。
棒グラフと累積比率を示す折れ線グラフを組み合わせて表示することが一般的です。
例えば、システム障害の原因を調査した結果、
- 設定ミス:40件
- 操作ミス:25件
- プログラム不具合:15件
- 環境設定:10件
- その他:10件
という結果だったとします。
これをパレート図にすると、どの原因が多くの問題を占めているのかを一目で確認できます。
その結果、まず「設定ミス」や「操作ミス」への対策を優先する、といった判断ができます。
パレート図とは

パレート図は、棒グラフと累積比率を表す折れ線グラフを組み合わせた図です。
一般的には、横軸に問題や原因の種類、左側の縦軸に件数、右側の縦軸に累積比率を配置します。
そして、問題や原因を発生件数の多い順に左から並べます。
このようにすることで、
- どの問題が多いのか
- 上位の問題だけで全体のどの程度を占めているのか
- どこまで対策すれば大きな改善効果が期待できるのか
を確認できます。
パレートの法則との関係
パレート図を理解するうえで、パレートの法則を知っておくと分かりやすくなります。
パレートの法則とは、一般的に「全体の結果の大部分は、少数の要因によって生み出される」という考え方です。
例えば、
「問題の80%が、原因の20%によって発生している」
といった考え方で説明されることがあります。
ただし、実際のプロジェクトや業務で必ず「80%と20%」になるわけではありません。
重要なのは、多くの問題を引き起こしている少数の重要な要因を見つけるという考え方です。
パレート図の構成
パレート図は、大きく分けて棒グラフと累積比率の折れ線グラフから構成されます。
棒グラフ
棒グラフは、問題や原因の発生件数を表します。
通常は、発生件数が多い順に左から並べます。
そのため、左側にある棒ほど大きくなります。
累積比率
折れ線グラフは、左から順番に問題を合計した累積比率を表します。
例えば、全体の問題が100件あり、最も多い原因が40件だった場合、その原因だけで累積比率は40%になります。
次の原因が25件なら、40%+25%で累積比率は65%になります。
この折れ線を見ることで、上位の問題が全体のどの程度を占めているのかを確認できます。
パレート図の作り方
1.問題やデータを集める
まず、分析対象となる問題や不具合のデータを集めます。
例えば、システム障害について分析するのであれば、過去に発生した障害を原因別に分類します。
2.項目ごとの件数を集計する
次に、分類した項目ごとに発生件数を集計します。
例えば、
| 原因 | 発生件数 |
|---|---|
| 設定ミス | 40 |
| 操作ミス | 25 |
| プログラム不具合 | 15 |
| 環境設定 | 10 |
| その他 | 10 |
といった形です。
3.多い順に並べる
発生件数が多い順にデータを並べます。
パレート図では、基本的に多い項目を左側、少ない項目を右側に配置します。
4.累積件数を計算する
左から順番に件数を足して、累積件数を計算します。
例えば、100件の問題があり、
- 設定ミス:40件
- 操作ミス:25件
- プログラム不具合:15件
- 環境設定:10件
- その他:10件
であれば、累積件数は、
- 40件
- 65件
- 80件
- 90件
- 100件
となります。
5.累積比率を計算する
累積件数を全体の件数で割り、累積比率を計算します。
上記の例であれば、
- 40%
- 65%
- 80%
- 90%
- 100%
となります。
6.棒グラフと折れ線グラフを作成する
最後に、発生件数を棒グラフ、累積比率を折れ線グラフとして表示します。
これでパレート図が完成します。
パレート図を使うメリット
問題の優先順位をつけやすい
問題が大量に発生している場合、すべてを同時に改善するのは難しいことがあります。
パレート図を使えば、どの問題が全体に大きな影響を与えているのかを確認できます。
そのため、改善活動の優先順位を決めやすくなります。
重要な問題を視覚的に把握できる
数字だけを見ていると、どの問題が重要なのか分かりにくいことがあります。
パレート図にすると、棒の高さや累積比率によって、重要な問題を直感的に把握できます。
関係者と問題意識を共有しやすい
プロジェクトでは、メンバーによって「何を優先すべきか」という認識が異なる場合があります。
パレート図を使ってデータを共有することで、感覚ではなくデータをもとに優先順位を議論できます。
プロジェクトマネジメントでの活用例
パレート図は、品質管理だけではなく、プロジェクトマネジメントのさまざまな場面で利用できます。
| 場面 | 活用例 |
|---|---|
| 品質管理 | 不具合の多い原因を特定する |
| 障害管理 | 障害原因を件数順に整理する |
| 課題管理 | 発生件数の多い課題を把握する |
| リスク管理 | 発生したリスク事象を分類して分析する |
| 業務改善 | 問題の多い工程を特定する |
| 顧客対応 | 問い合わせやクレームの多い項目を把握する |
パレート図と品質管理
パレート図は、品質管理における代表的な分析手法の一つです。
例えば、システム開発で100件の不具合が発生したとします。
不具合を原因別に分類すると、
- 要件定義の誤り:45件
- 設計ミス:25件
- 実装ミス:15件
- テスト不足:10件
- その他:5件
となったとします。
この場合、要件定義の誤りと設計ミスだけで70%を占めています。
そのため、すべての原因に同じだけ対策を行うよりも、まず要件定義や設計の品質を改善することが効果的だと判断できます。
もちろん、件数が少ない問題でも重大な影響を及ぼす場合があります。
したがって、パレート図は「件数が多いものから必ず対応する」ためのルールではなく、改善の優先順位を検討するための材料として利用することが重要です。
パレート図を使うときの注意点
件数だけで重要度を判断しない
発生件数が少なくても、重大な問題があります。
例えば、1件しか発生していなくても、顧客の重大な損失やシステム停止につながる問題であれば、優先して対応する必要があります。
そのため、パレート図だけで優先順位を決めるのではなく、影響度や緊急度、リスクなども合わせて判断することが重要です。
分類方法によって結果が変わる
どのような分類方法を採用するかによって、パレート図の結果は大きく変わります。
例えば、「設計ミス」という大きな分類にするのか、「データベース設計ミス」「画面設計ミス」などに細かく分類するのかによって、見える結果が変わります。
分析の目的に合わせて、適切な分類方法を考える必要があります。
「80%」にこだわりすぎない
パレート図では「80:20」という数字がよく使われますが、実際のデータが必ず80:20になるわけではありません。
重要なのは、全体への影響が大きい項目を見つけることです。
パレート図と他の分析手法
問題分析では、パレート図だけですべてを解決する必要はありません。
目的に応じて、他の分析手法と組み合わせると効果的です。
パレート図と特性要因図
パレート図で「どの問題が多いのか」を特定した後、特性要因図を使って「なぜその問題が発生しているのか」を分析することができます。
パレート図と根本原因分析
パレート図で重要な問題を絞り込み、その問題について根本原因分析を行うという使い方もできます。
例えば、100件の不具合のうち、50件が要件定義の問題だったとします。
そこで、要件定義に問題が集中している理由をさらに分析します。
「なぜ要件漏れが発生したのか?」
「なぜレビューで発見できなかったのか?」
「なぜ顧客との認識に差が生じたのか?」
と掘り下げることで、根本原因の特定につなげます。
プロジェクトマネージャ試験ではここが重要
パレート図については、単に「80:20の法則」として覚えるのではなく、問題の優先順位を判断するために使う分析手法として理解しておくことが重要です。
特に、
- 問題や原因を多い順に並べる
- 棒グラフで件数を表す
- 累積比率を折れ線で表す
- 重要な問題を特定する
- 改善の優先順位を検討する
という流れを押さえておきましょう。
また、件数が少ないから重要ではないとは限らない点にも注意が必要です。
重大度や影響度など、他の情報と組み合わせて判断することが重要です。
PM道場のワンポイント
パレート図は「全部を頑張らないための道具」と考えると分かりやすいです。
プロジェクトでは、問題が一つだけ発生するとは限りません。
不具合、課題、問い合わせ、障害など、さまざまな問題が同時に発生することがあります。
すべての問題を同じ優先度で解決しようとすると、チームのリソースが分散してしまいます。
そこでパレート図を使って、
「今、一番多く発生している問題は何か?」
「上位の問題だけで全体のどれくらいを占めているか?」
を確認します。
そして、影響度や緊急度なども考慮しながら、どこから改善するかを決めます。
つまり、パレート図は「問題を見つけるための図」ではなく、「限られたリソースをどこに集中させるかを考えるための図」として使うと、プロジェクトマネージャにとって非常に有効なツールになります。
関連用語
- 品質管理
- 品質メトリクス
- 不具合
- 根本原因分析
- 特性要因図
- レビュー
- インスペクション
- 継続的改善
- リスク
- 課題
- インシデント
まとめ
パレート図とは、問題や原因を発生件数の多い順に並べ、累積比率と合わせて表示する分析手法です。
問題が大量に発生している場合でも、どの問題が全体に大きな影響を与えているのかを視覚的に確認できます。
そのため、
- 品質管理
- 不具合分析
- 障害分析
- 課題管理
- 業務改善
- 原因分析
など、さまざまな場面で活用できます。
パレート図を使うときに重要なのは、「80:20」という数字を覚えることではありません。
多くの問題の中から、全体への影響が大きい問題を見つけ、限られたリソースをどこに集中させるのかを考えることが本来の目的です。
ただし、発生件数が少ない問題でも重大な影響を与える場合があります。
そのため、パレート図の結果だけで判断せず、影響度や緊急度、リスクなども考慮して優先順位を決めることが重要です。
「すべての問題に同じ力を注ぐのではなく、重要な問題を見極めて、限られたリソースを集中させる」
これがパレート図をプロジェクトマネジメントで活用するポイントです。
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よくある質問(FAQ)
Q. パレート図とは何ですか?
A. パレート図とは、問題や原因を発生件数の多い順に並べ、棒グラフと累積比率の折れ線グラフによって、全体への影響が大きい問題を把握するための分析手法です。
Q. パレート図は何のために使いますか?
A. 多くの問題の中から、発生件数が多く全体への影響が大きい問題を把握し、改善の優先順位を検討するために使います。
Q. パレート図は必ず80:20になりますか?
A. いいえ。実際のデータが必ず80:20になるわけではありません。重要なのは、少数の重要な要因が全体にどの程度の影響を与えているのかを確認することです。
Q. パレート図では件数が多い問題から対応すればよいですか?
A. 必ずしもそうとは限りません。発生件数が少なくても重大な影響を与える問題があります。件数だけではなく、影響度や緊急度、リスクなどを合わせて優先順位を判断する必要があります。
Q. パレート図と根本原因分析はどのように使い分けますか?
A. パレート図は「どの問題が多いのか」を把握するために使い、根本原因分析は「なぜその問題が発生したのか」を掘り下げるために使います。パレート図で重要な問題を絞り込んだ後、その問題について根本原因分析を行うという使い方ができます。
Q. パレート図は品質管理以外でも使えますか?
A. はい。品質管理だけでなく、障害管理、課題管理、顧客からの問い合わせ分析、業務改善など、問題を分類して優先順位を決める必要があるさまざまな場面で活用できます。
私は令和5年度 IPAプロジェクトマネージャ試験に合格しました。
実際に合格した経験をもとに、勉強方法やおすすめ参考書、最難関といわれる午後Ⅱ論文の対策方法を詳しく解説しています。
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